空圧機器は圧縮空気を使用するため、エア漏れを防ぐことが重要です。エア漏れが発生すると、エネルギーロスや装置の性能低下につながり、運用コストの増加を招きます。本記事では、エア漏れ対策とシールテープの活用について解説します。
エア漏れの主な原因
エア漏れは以下の要因で発生することが多いです。
✅ 継手や接続部の緩み:振動や経年劣化によるゆるみが原因で漏れが発生。
✅ シール材の劣化:Oリングやパッキンの摩耗・硬化により密閉性が低下。
✅ 配管の損傷:ホースやチューブのひび割れ、ピンホールによるエア漏れ。
✅ 組付け不良:締め付け不足やシールテープの巻き方の不適切な処理。
エア漏れ対策
エア漏れを防ぐためには、以下の対策が有効です。
📌適切な締め付けを行う
- 継手やネジ部の適切なトルク管理を行い、締めすぎや緩みを防ぐ。
📌シール材を適切に選定・交換する
- Oリングやパッキンの摩耗や劣化を定期的にチェックし、交換する。
- 適切な材質(NBR、FKMなど)を選定し、使用環境に適したものを採用する。
📌シールテープを適切に使用する
- ネジ部の密閉性を高めるために、シールテープを適切に巻く。
📌定期的な点検・メンテナンス
- 石鹸水を用いたエア漏れチェックを実施し、漏れ箇所を特定。
- 定期的に配管や継手の点検を行い、異常があれば交換・補修する。
シールテープの活用方法
シールテープはネジ継手部の密閉性を向上させるために使用されます。適切な巻き方を行うことで、エア漏れを防ぐことが可能です。
💡シールテープの巻き方のポイント
- ネジ山を清掃
- 汚れや油分を除去し、テープの密着性を向上させる。
- テープの方向
- ネジを締める方向(時計回り)に対して、逆らわないように巻く。
- 巻き数
- 一般的に 3~5回 巻くのが適切。厚く巻きすぎるとネジが奥まで締まらなくなるため注意。
- 先端を避ける
- ネジの先端にテープを巻くと、締め込み時に剥がれ、異物混入の原因になるため避ける。
- しっかり押さえる
- 巻いた後に軽く押さえて、しっかり密着させる。
🚫注意点
- シールテープはストレートネジ(テーパーネジ以外)には適用しない。
- 液体シール材(ねじ用シール剤)を併用する場合、材質や使用環境に適したものを選定する。
- 使用環境によってはフッ素系(PTFE)や特殊材質のシールテープを選ぶ。
エアチューブのエア漏れ対策
エア配管のチューブからのエア漏れは、エネルギー損失や機器の性能低下を引き起こす原因となります。特に、ナイロンチューブやウレタンチューブは経年劣化によるエア漏れが発生しやすいため、適切な対策が必要です。本項では、エアチューブのエア漏れに関する注意点と対策について解説します。
エアチューブのエア漏れの主な原因
エアチューブからのエア漏れは、以下のような原因によって発生します。
🚫 経年劣化によるひび割れや硬化
- ナイロンチューブやウレタンチューブは、長期間使用すると硬化・ひび割れを起こし、エア漏れの原因になります。
- 特にウレタンチューブは柔軟性がある一方で、紫外線や油分の影響を受けやすく、劣化が早まることがあります。
🚫 ワンタッチ継手への差し込み不良
- ワンタッチ継手は、しっかりと奥まで差し込まないとエア漏れが発生します。
- 中途半端な接続では、チューブが外れたり、継手のシール部に隙間が生じることがあります。
🚫 チューブの折れ・曲がり
- 配管レイアウトが適切でないと、チューブが極端に曲がったり、折れたりしてエア漏れが発生します。
- 最小曲げ半径を守らないと、チューブ内部の圧力が均一にかからず、継手部から漏れやすくなります。
🚫 継手内部のOリングの摩耗・劣化
- ワンタッチ継手のOリング(シール部)が摩耗すると、チューブをしっかり差し込んでも密閉性が保たれなくなります。
- Oリングの劣化により、チューブを引き抜いた際にOリングが破損してしまうこともあります。
🚫 圧力が高すぎる、または低すぎる
- 指定圧力以上のエアを供給すると、チューブが膨張して継手との接続部が緩み、エア漏れが発生します。
- 逆に、圧力が低すぎると、継手内部のシールが十分に作動せず、密閉が不完全になることがあります。
エア漏れ対策
📌 定期的な点検と交換
- ウレタンチューブは特に経年劣化が早いため、1~2年ごとに交換を検討する。
- ナイロンチューブは耐久性が高いが、硬化やひび割れが見られたら交換する。
- 継手のOリングも消耗品のため、定期的にチェックし、摩耗していたら交換する。
📌 ワンタッチ継手への正しい挿入
- チューブをカットする際は、カッターを使用して直角に切る(斜めに切ると密閉性が低下)。
- チューブをしっかりと奥まで差し込み、軽く引っ張って抜けないことを確認する。
📌 適切な配管レイアウトを設計する
- 最小曲げ半径を超えないように配管する。
- チューブが極端に折れたり、ねじれたりしないように配置する。
- 必要に応じて、チューブを固定するクランプや配線ガイドを活用する。
📌 適正な圧力設定を行う
- メーカー指定の使用圧力範囲を守る。
- 圧力が高すぎる場合は、レギュレーターで適正値に調整する。
📌 エア漏れの検出を行う
- 石鹸水を継手やチューブの接続部に塗布し、泡が発生しないか確認する。
- 超音波リーク検出器を使用し、微細なエア漏れも見逃さない。

エアチューブのエア漏れは、経年劣化、差し込み不良、チューブの折れ、Oリングの摩耗、圧力設定の不適切などが原因で発生します。
これらの要因を理解し、定期的な点検と適切な取り扱いを行うことで、エア漏れを防ぎ、安定した機器の運用が可能になります。
まとめ
空圧機器のエア漏れはエネルギー効率の低下を招くため、適切な対策が必要です。継手や配管の適切な締め付け、シール材の選定・交換、シールテープの正しい使用方法を理解し、エア漏れを防ぐことで、効率的で安定した運用を実現できます。
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