機械設計において、ゴム材料の選定は環境や用途に応じた適切な特性を持つものを選ぶことが重要です。その中でも、クロロプレンゴム(CR)は耐候性・耐油性・耐熱性・難燃性などのバランスが取れたゴムとして、多くの用途で使用されています。
本記事では、クロロプレンゴムの特性や選定ポイントについて、初心者にもわかりやすく解説します!
クロロプレンゴム(CR)とは?
クロロプレンゴム(CR)は、合成ゴムの一種で「ネオプレン」とも呼ばれる材料です。天然ゴム(NR)と比較して、耐候性・耐油性・耐熱性に優れ、燃えにくいという特徴を持ちます。
そのため、屋外環境や耐油用途、火にさらされる可能性のある用途でも使用されることが多いです。
✅ 主な用途
✔ シール材(Oリング、ガスケット)
✔ 防振ゴム、緩衝材
✔ コンベヤーベルト
✔ 電線被覆、ホース
✔ ウェットスーツ、ゴム手袋
クロロプレンゴムの主な特性
耐候性が高い(紫外線やオゾンに強い)
クロロプレンゴムは、紫外線やオゾン、風雨などの影響を受けにくく、屋外環境でも長期間劣化しにくい特性を持っています。
💡 ポイント
✅ 屋外で使用しても劣化しにくい(ひび割れや硬化しにくい)
✅ 紫外線に強く、直射日光が当たる環境でも長持ち
🚫 天然ゴム(NR)やニトリルゴム(NBR)は、紫外線やオゾンに弱く、屋外では劣化しやすいので、屋外用途ではクロロプレンゴムが優れた選択肢となります。
適度な耐油性がある
クロロプレンゴムは鉱物油やグリースに対して、ある程度の耐性を持っています。 ただし、ニトリルゴム(NBR)ほどの耐油性はないため、強い耐油性が必要な場合はNBRを選ぶ方が適しています。
💡 ポイント
✅ 一般的な潤滑油や作動油には耐性がある
✅ ニトリルゴムよりは耐油性が劣るが、天然ゴムよりは優れる
🚫 ガソリンや極性溶剤には弱いため注意!
耐熱性が比較的高い(使用温度範囲が広い)
クロロプレンゴムの使用温度範囲は約 -35℃~100℃と、比較的広い温度環境に対応できます。
💡 ポイント
✅ 常温~100℃までの環境で安定した性能を発揮
✅ 低温環境(-35℃)でも硬化しにくい
🚫 高温(120℃以上)になると劣化が早まるため、高温用途ではフッ素ゴム(FKM)やシリコーンゴムを選択
難燃性があり、燃えにくい
クロロプレンゴムは自己消火性を持っており、火がつきにくく、燃え広がりにくい特性があります。そのため、電線被覆や防火性が求められる場所で使用されることが多いです。
💡 ポイント
✅ 電気設備や火気を扱う機械のシール材に適している
✅ 火がついても自然に消火する特性を持つ
🚫 完全な耐火性があるわけではないため、高温用途ではフッ素ゴム(FKM)などを検討
機械的強度が高く、摩耗しにくい
クロロプレンゴムは、引張強さや耐摩耗性が比較的高いため、機械的負荷がかかる環境でも使用可能です。
💡 ポイント
✅ ゴムの弾力性があり、衝撃を吸収する(防振材や緩衝材に適している)
✅ 摩耗しにくく、長期間使用可能
🚫 耐摩耗性を最重視する場合はウレタンゴム(PU)の方が優れる
クロロプレンゴムの選定ポイント
クロロプレンゴムを選定する際は、以下の点に注意しましょう。
項目 | クロロプレンゴム(CR)の適性 | 代替材料 |
---|---|---|
耐候性(紫外線・オゾン) | ◎ 非常に優れる | EPDMがさらに優れる |
耐油性 | ○ 一般的な鉱物油には耐性あり | NBR(ニトリルゴム)がより強い |
耐熱性 | ○ 100℃程度まで使用可能 | FKM(フッ素ゴム)は200℃まで耐えられる |
難燃性 | ◎ 自己消火性あり | FKMの方が耐熱性も高い |
耐摩耗性 | ○ ある程度強い | PU(ウレタンゴム)が最も優れる |
✅ 屋外環境や耐油性・耐熱性が求められる用途に適している
✅ 難燃性が必要な場合に優れた選択肢となる
✅ 一般的な機械部品、シール材、防振ゴムに幅広く使用可能
🚫 極端な耐油性が必要ならニトリルゴム(NBR)を選ぶ
🚫 120℃以上の高温環境ではフッ素ゴム(FKM)を検討
🚫 耐摩耗性を最重視する場合はウレタンゴム(PU)を選ぶ
まとめ:クロロプレンゴムはバランスの取れた万能ゴム!
クロロプレンゴム(CR)は、耐候性・耐熱性・耐油性・難燃性のバランスが取れたゴムであり、屋外環境や油に触れる機械部品、防振材、電線被覆などの幅広い用途に適しています。
✅ 紫外線・オゾンに強く、屋外で使用可能
✅ 一般的な鉱物油には耐性がある
✅ 100℃までの耐熱性を持ち、難燃性にも優れる
✅ 防振材やシール材としても使いやすい
用途や環境に応じて、適切なゴム材料を選ぶことで、機械設計の信頼性を向上させることができます!
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