【アルミ合金まとめ】特性・種類・使い分けを徹底解説【機械設計の材料選定】

材料選定

アルミ合金は、軽くて強く、加工しやすいことから、機械設計で非常に多く使われている材料です。

でも一口にアルミ合金といっても、「2000番台?」「A5052とA7075ってどう違うの?」「SS400との違いは?」と、迷うことも多いですよね。

この記事では、アルミ合金の基礎から各合金の特性・選び方・他素材との比較まで、シリーズ記事を一気にまとめてご紹介します!


アルミ合金の基本特性と選定のポイント


まずは基礎知識!

  • 軽量で比重は鉄の約1/3(約2.7)
  • 錆びにくく、加工しやすい
  • 強度や剛性は種類によって大きく違う
はじめ
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比重、強度、耐食性、加工性、コストなど、目的に応じて最適なグレードを選ぶことが大切です。

アルミ合金の特性と選定ポイントについての詳細記事はこちら

【A2000番代】ジュラルミン系アルミ合金の特性と用途

  • 代表格:A2017(ジュラルミン)A2024(超ジュラルミン)
  • 強度は高いが、耐食性はやや低め
  • 加工精度が必要な精密機械部品や航空機部品に使われる
はじめ
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強度重視なら2000番代!ただし防錆対策が必要なケースも。


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【5000番代】A5052・A5056の違いと特性

  • A5052:最もよく使われる汎用アルミ。加工性・耐食性◎
  • A5056:A5052より少し強く、強度と溶接性のバランスが良い
はじめ
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加工しやすく、屋外使用や曲げ加工部品に最適!

A5000番代についての詳細記事はこちら

【6000番代】アルミフレームに最適な万能合金

  • 代表格:A6061、A6063
  • 押出性・耐食性・強度のバランスが良い
  • アルミフレームや構造材に最適
はじめ
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迷ったら6000番代!設計の自由度が高く、コストも安定。


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【7000番代】A7075の特性と選定ポイント

  • 圧倒的な強度!アルミ合金最強クラス(引張強さ約570MPa)
  • 剛性は鉄に劣るが、軽さと強度を両立したい部品に最適
  • 一方、溶接性や耐食性はやや低め
はじめ
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搬送部、可動部品や軽量化が命の機構に!ただし用途選定には注意。


アルミ合金の引張強さランキングと使い分け

順位材料名熱処理引張強さ(N/㎟)特徴・用途例
🥇1位A7075T6約 570超々ジュラルミン。強度最優先の構造材。
🥈2位A2024T3,T4約 470-485超ジュラルミン。航空部品、自転車フレームなど。
🥉3位A2017T4約 425ジュラルミン。機械部品、構造材で広く使われる。
4位A2011T3約 380高い被削性で自動旋盤加工に向く。ネジ・軸。
5位A6061T6約 310強度・耐食性・溶接性のバランスが良く万能型。
6位A5056約 290耐食性と強度のバランス良好。ボルト・リベット。
6位A5083約 290高耐食・中強度。船舶や車両部品に最適。
8位A5052約 260耐食性に優れた汎用合金。板金・筐体部品など。
9位A6063T5,T6約 185-240押出成形しやすい。アルミサッシやフレーム材。
10位A3004約 180飲料缶材などに使われる加工性重視の合金。
11位A3003約 110加工性・耐食性に優れるが強度は低め。
はじめ
はじめ

強度・加工性・コスト・溶接性のバランスで選ぼう!


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アルミ vs SS400!鉄との違いと使い分け

  • 剛性(ヤング率)ではSS400が3倍以上高い
  • 強度ではA7075が同等以上
  • 重量や防錆性ではアルミが有利
はじめ
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剛性が必要 → SS400
軽量高強度 → A7075が有利


アルミ vs 樹脂!軽量化素材の選び方

  • 樹脂はさらに軽く安価だが、強度・剛性はアルミに劣る
  • 精度や熱変形の問題で、構造材にはアルミが有利な場面が多い
はじめ
はじめ

軽さ最優先 → 樹脂
精度・構造剛性重視 → アルミ合金

アルミ合金と樹脂についての詳細記事はこちら

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アルミ合金は「軽くて強い」を活かして適材適所に!

系統特性の要点主な用途例
A2000番代高強度、やや耐食性△精密機械部品、可動部品
A5000番代加工性・耐食性に優れる一般構造材、筐体、曲げ部品など
A6000番代バランス◎で万能アルミフレーム、汎用機械部品
A7000番代超高強度、高コスト搬送可動部品、軽量治具など
はじめ
はじめ

材料は「剛性」「強度」「加工性」「コスト」「用途」で選びましょう!

まとめ:アルミ合金を理解して、賢い材料選定を!

アルミ合金は、機械設計における“軽量化”と“高強度”を両立するための非常に重要な材料です。鉄と比べて約1/3の比重でありながら、適切なグレードを選べば鉄に近い強度や剛性を得ることも可能です。さらに、耐食性や加工性に優れたものが多く、構造部材やカバー、フレームなど多くの用途で活用されています。

ただし、一口にアルミ合金といってもその種類は多岐にわたり、用途に応じた選定が欠かせません

たとえば、

A2000番代(ジュラルミン系)は引張強さに優れていますが、耐食性が低く注意が必要です。
A5000番代(汎用アルミ)は耐食性や溶接性に優れ、加工も容易なため、広く使われています。
A6000番代(万能型)はバランスが良く、特にアルミフレームや汎用構造材で人気があります。
A7000番代(超々ジュラルミン)は最高レベルの強度を持つ一方で、耐食性には注意が必要です。

これらのグレードに加え、熱処理状態(T3~T6など)によっても機械的性質は大きく変わります。さらに、SS400(鉄)との比較や、樹脂との比較も設計上重要な検討ポイントです。
剛性が必要ならSS400、有機的な形状や軽量化を重視するならアルミ合金や樹脂が候補になります。
特にA7075のような高強度アルミ合金は、鉄に代わる強度部材として非常に有効です。

このように、アルミ合金は単なる「軽い金属」ではなく、設計要件や使用環境に応じて多様な選択肢がある奥深い材料です。どの合金を選ぶかによって、コスト・加工性・性能が大きく変わるため、材料特性を正しく理解して選ぶことが、設計の品質と信頼性を左右するポイントとなります。

今後の材料選定において、本記事が少しでも判断材料となれば幸いです。
あなたの設計がより良いものとなるよう、引き続き素材の特性と選定ポイントを学び、現場で活かしていきましょう。


はじめ
はじめ

設計において欠かせない材料の特性や用途を解説しています。
適材適所の選定をサポートします。

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