機械に欠かせない部品のひとつが「ベアリング」。
モーター、車、工具、家電製品など、回転が必要なあらゆる場面で使われています。
でも、なぜベアリングを使うと「回転が滑らかになる」のでしょうか?
この記事では、ベアリングの基本的な仕組みと役割について、初心者にもわかりやすく解説します。
ベアリングとは?「軸を支えて回す部品」
ベアリング(bearing)は直訳すると「支えるもの」という意味。
機械の中で、回転する軸(シャフト)を正しい位置に支えながら、スムーズに回転させる部品です。
代表的な役割は次の2つ
- 軸をしっかり支える(=位置を安定させる)
- 摩擦を減らして、滑らかに回転させる
なぜ摩擦が減るの?
~ベアリングの“転がり”が生む驚きの効果~
機械がスムーズに動くために欠かせない部品のひとつが「ベアリング」。
中でもよく使われているのが「玉軸受(ボールベアリング)」です。
ではなぜ、ベアリングを使うと“滑らかに回る”のでしょうか?
キーワードは「摩擦を減らす」という働きにあります。
摩擦があるとどうなる?
通常、金属の軸が金属の穴に直接はまって回ると、金属同士がこすれ合ってしまいます。
これを「滑り摩擦(すべりまさつ)」といいます。
この摩擦が大きいと、
🚫 回すのに力がたくさん必要になる
🚫 熱が出て、部品がどんどんすり減ってしまう
🚫 音や振動が発生し、機械がうるさくなる
といった問題が起きます。

つまり、スムーズに動かしたいのに、無駄なエネルギーを使ってしまうのです。
ベアリングは「転がして」摩擦を減らす
ベアリングの中でもっとも代表的な「玉軸受(たまじくうけ)」は、
軸と外側の枠の間に「小さな玉(ボール)」が入っているのが特徴です。
この玉がくるくる転がることで、金属が直接こすれるのではなく、
ボールが転がるように接して動く=「転がり摩擦」になります。
転がり摩擦は、滑り摩擦と比べて 摩擦力がとても小さく、効率が良いのです!
ポイントは「すべらず、転がす」
ベアリングの工夫は、この「滑る」ではなく「転がる」こと。
ボールが回転しながら動くことで、
摩擦が減ってスムーズに回り、機械の動きが軽くなるのです。
イメージ図

【ボールベアリングの構造】
- 外輪(がいりん):外側の枠
- 内輪(ないりん):軸に取り付けられる内側のリング
- ボール(玉):摩擦を小さくする役割
- 保持器(ケージ):ボールの間隔を保つ
外輪と内輪の間をボールが転がって動くことで、滑らかな回転を実現しています。
ベアリングで動きが変わる!
- 摩擦が大きいと、部品がすぐにダメになる
- ベアリングの「転がる力」で、摩擦を大きく減らせる
- そのおかげで、機械はスムーズに動き、長持ちする
つまり、ベアリングは「滑らかに回る機械の秘密兵器」なんです!
ベアリングがないとどうなる?
~“転がり”のない世界はトラブルだらけ~
機械の中には、スムーズに回転する仕組みがあります。
その裏側で活躍しているのが「ベアリング(軸受)」という部品です。
では、もしベアリングがなかったらどうなるのでしょうか?
ベアリングがないと起きる問題
🚫 回転が重たくなる
金属の軸が直接、金属の穴とこすれ合う「滑り摩擦」の状態になります。
結果、手で回しても重たいし、動力を伝えるのにも大きな力が必要です。
🚫 部品がすぐに壊れる
摩擦によって熱が発生し、こすれた金属がすぐに削れて摩耗します。
これにより、部品の寿命が極端に短くなります。
🚫 音や振動が大きくなる
摩擦が大きいと、「キーキー」「ガタガタ」といった異音が出たり、
振動が発生し、機械の精度や安定性が低下します。
ベアリングを使うとどう変わる?
ベアリングがあると、「すべる」動きが「転がる」動きに変わります。
この“転がり摩擦”は、摩擦抵抗がとても小さいのが特徴です。
軽い力でスムーズに回る
ボールやローラーが転がることで、少しの力でもスルスル動くようになります。
モーターの力を無駄なく使える
摩擦が小さいので、モーターの回転力(トルク)を効率的に伝えることができます。
機械の寿命が伸びる
摩耗が少なく、熱や摩擦のダメージが減るため、部品の劣化が抑えられます。
結果として、長く安定して使える機械になります。
ベアリングは縁の下の力持ち!
ベアリングがないと、
👉 重たい・壊れやすい・うるさいというトラブルだらけの機械になります。
ベアリングを使えば、
👉 軽く・長く・静かに回り続ける、信頼性の高い設計が可能になります。

見えないけれど、なくてはならない部品、
それがベアリングなんです!
ベアリングの種類と使い分け
種類 | 特徴 |
---|---|
ボールベアリング | 一般的。小さな玉で回転を支える。 |
ローラーベアリング | 円筒状のローラーで支える。重荷重に強い。 |
スラストベアリング | 軸方向の力(押し引き)を支えるのが得意。 |
使用条件(回転速度、荷重方向、取付スペースなど)によって適切なベアリングを選定することが重要です。
ベアリングを使った設計のポイント
- 回転中心を正確に設けること
- 軸とベアリングの取付精度が重要です。
- 潤滑(グリス・オイル)を忘れずに
- 摩耗や焼き付きの防止になります。
- 取付け・締め付けのバランスに注意
- ベアリングに偏った力がかかると寿命が縮みます。
まとめ:ベアリングは回転の縁の下の力持ち!
ベアリングは、回転部品を支えながら、摩擦を減らして動きを滑らかにしてくれる縁の下の力持ち。
✔ 「転がる」ことで摩擦が小さくなる
✔ 回転の効率や寿命が大きくアップする
✔ 機械の安定性・静音性・精密性にもつながる
身の回りの「回るもの」には、ほぼ必ずと言っていいほどベアリングが使われています。
機械設計においても、ベアリングの正しい使い方を知ることはとても重要です。
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