金属やガラスの表面仕上げ方法のひとつに 「ビーズブラスト」 があります。
サンドブラストやショットブラストと同じ「ブラスト処理」の仲間ですが、より繊細で美しい仕上がりが得られるのが特徴です。
この記事では、ビーズブラストの仕組みや特徴、主な用途を初心者向けにわかりやすく解説します。
ビーズブラストとは?
ビーズブラストとは、ガラスビーズ(丸い研磨材) を圧縮空気で吹き付けて表面を処理する方法です。
サンドブラストが「鋭い研磨材」で削り取るのに対し、ビーズブラストは「丸い粒子」で表面をやさしく叩くため、削りすぎずにマットで上品な質感に仕上げられます。

ポイントは「削る」というより「整える」仕上げ処理というイメージです。
ビーズブラストの特徴とメリット|精密部品や外観仕上げに最適な表面処理
金属や樹脂、ガラスなどの部品の仕上げ方法として、ビーズブラストは幅広く使われています。
サンドブラストやショットブラストと同じ「ブラスト処理」の一種ですが、
仕上げ重視で寸法精度を保ちつつ、外観を美しく整えられる点が大きな特徴です。
この記事では、ビーズブラストの特徴、メリット、用途、注意点を初心者向けに詳しく解説します。
ビーズブラストの特徴
1. 美しい外観仕上げが可能
- 光沢を抑えたサテン調やマット調に仕上げられる
- 高級感のある部品やデザイン性の高い製品に最適
- 製品ブランドや意匠性を重視する場合に効果的
2. 寸法精度をほとんど変えない
- 丸いビーズで表面を整えるため、削りすぎず寸法精度を維持
- 精密部品や組み立て精度が重要な部品にも対応可能
3. バリ取りや微細な表面調整に最適
- 切削加工後の微細なバリや加工痕をきれいに除去
- 手作業による仕上げ工数を削減できる
- 部品の機能性と外観を同時に改善できる
4. 環境にやさしい処理
- 薬液を使用せず物理的に処理するため、作業環境にやさしい
- 廃液や化学物質の処理が不要で、安全性が高い
- 比較的低コストで導入可能
5. 多様な素材に対応
- 金属(アルミ・ステンレスなど)、ガラス、アクリル、樹脂など
- 機能部品から装飾部品まで幅広く活用できる
- 素材ごとに粒子の種類や圧力を調整することで最適な仕上がりに
ビーズブラストの主な用途
- 金属部品の外観仕上げ
- サテン調やマット調に仕上げて高級感を演出。
- 自動車部品や家電部品、装飾部品で活用されます。
- 精密部品のバリ取り・微細加工
- 切削後の微細なバリや加工痕を除去し、組立精度や操作性を向上。
- ガラスやアクリルの装飾加工
- 模様入れやマット加工でデザイン性を向上させ、光の反射を抑える。
- 塗装・めっき前の下地処理
- 表面を均一に整えることで、塗装やめっきの密着性・仕上がり品質を安定。
ビーズブラストの注意点
- 強く削る加工には向かず、サビや古い塗膜の除去はサンドブラストの併用が必要
- 粒子の種類や圧力によって仕上がりが変わるため、試作や条件調整が重要
- ガラスビーズが飛散するため、保護具や集塵設備の使用が推奨
ビーズブラストは、丸い粒子で表面を整える「やさしいブラスト処理」です。
- 光沢を抑えた美しい仕上げが可能
- 寸法精度をほぼ保てる
- バリ取りや微細加工にも最適

外観重視の部品や精密部品、装飾加工には特に向いているため、
仕上げ品質とデザイン性を同時に求める場合は積極的に活用しましょう。
ビーズブラストとサンドブラスト・ショットブラストの違い
金属や樹脂、ガラスの部品仕上げで使われるブラスト処理には、
サンドブラスト・ショットブラスト・ビーズブラストなどの種類があります。
それぞれの特徴や用途を理解することで、部品の仕上げ方法を適切に選べるようになります。
本項では、特にビーズブラストの特徴と他のブラスト処理との違いをわかりやすく解説します。
サンドブラストとは?
- 処理方法
- 鋭い砂や研磨材を圧縮空気の力で吹き付ける
- 目的
- 表面を削り、サビや古い塗膜、黒皮(酸化被膜)を除去する
- メリット
- 表面の汚れや酸化被膜を効率的に除去できる
- 塗装やめっき前の下地処理に最適
- 注意点
- 削る力が強いため、寸法精度を保つのが難しい
- 外観仕上げや精密部品には不向き
ショットブラストとは?
- 処理方法
- 金属製のショット(丸い粒子)を機械的な力で吹き付けて表面に衝撃を与える
- 目的
- 表面の清浄化・強化や、大規模な部品の処理
- メリット
- 表面硬化や疲労強度アップが可能
- 大型部品や連続処理に向いている
- 注意点
- 鋭い研磨ほどではないが、表面粗さが増す
- デザイン性や高精度寸法の部品には不向き
ビーズブラストとは?
- 処理方法
- 丸いガラスビーズを圧縮空気の力で吹き付け、表面を「整える」
- 目的
- 外観仕上げや微細な表面調整、バリ取り
- メリット
- 光沢を抑えたサテン調・マット調に仕上げられる
- 寸法精度をほぼ維持できる
- 切削後の微細なバリや加工痕を除去できる
- 環境にやさしい(薬液不要)
- 注意点
- 強く削る用途には不向き
- 粒子の種類や圧力によって仕上がりが変わるため、条件設定が重要
ブラスト処理の選び方のポイント
処理方法 | 特徴 | 向いている用途 |
---|---|---|
サンドブラスト | 鋭い研磨材で「削る」 | サビ除去、塗膜除去、下地処理 |
ショットブラスト | 金属ショットで衝撃を与える | 表面強化、大型部品処理 |
ビーズブラスト | ガラスビーズで「整える」 | 外観仕上げ、バリ取り、精密部品 |
ビーズブラストは、仕上がりの美しさや寸法精度を重視する部品に最適な処理方法です。
加工の目的や部品の性質に応じて、サンドブラスト・ショットブラストと使い分けましょう。
まとめ
ビーズブラストは、ガラスビーズを使って表面をやさしく処理する方法で、
- 美観向上
- 寸法精度を保った表面仕上げ
- 微細なバリ取り
といった用途に最適です。

「強く削る」サンドブラストやショットブラストとは違い、
仕上げ重視のブラスト処理として覚えておくと便利です。
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