ベアリングユニットは、軸受とハウジングを一体化した機械要素で、
回転軸を支えるために使われます。
機械設計においては、
軸の支持、動力伝達、振動の抑制など多様な役割を果たします。
本記事では、ベアリングユニットの基本的な特徴、
種類、選定ポイントについて詳しく解説します。
ベアリングユニットの特徴

簡単な取り付け
軸受とハウジングが一体化しているため、
部品を個別に取り付ける必要がなく、設置が簡単。
初心者でも扱いやすい設計になっている。
耐久性と振動吸収性
ハウジングが衝撃や振動を吸収する役割を果たすため、
負荷の大きい環境でも使用可能。
ベアリング本体の寿命を延ばす工夫が施されている。
メンテナンスが容易
グリスニップルやシール構造が付属しているモデルが多く、潤滑や清掃が容易。
シール性能が高く、異物や水分の侵入を防ぐ設計になっている。
多様な種類と用途
標準型から防水型、耐腐食型まで多様な種類があり、用途に応じた選択が可能。
自動調心機能
自動調心機能を持つものが多く、
軸の微小なずれや取り付け時の不正確さを補正することができます。
調心機能が働くことで、軸とハウジングの不整合によるストレスや
異常摩耗を軽減し、長寿命化を実現します。
特に長いシャフトや取り付け誤差が発生しやすい環境で効果を発揮します。
自動調心機能のメリット
取り付け精度の緩和
設置時の軸ずれに敏感な設計が不要になるため、作業が簡略化されます。
特に大規模な装置で役立ちます。
振動や衝撃の吸収
稼働中の機械で発生する微小な振動や動的負荷による
ずれを自動で吸収するため、性能が安定します。
コスト削減
軸の調整や加工精度を厳密に管理する必要がなくなるため、
設計や製造工程でのコストを抑えることが可能です。
選定時の注意点
自動調心機能の効果が最大限発揮されるのは、軽微なずれに限ります。
大幅なずれや負荷の集中がある場合、
ユニットや機械に過剰なストレスがかかる可能性があるため、
設置時に適切な範囲内での調整が必要です。
調心範囲や耐荷重性能は製品ごとに異なるため、用途に合わせた選定が重要です。

この自動調心機能を活用することで、
設計の自由度が広がり、メンテナンス頻度の低減にもつながります。
ベアリングユニットの種類

ピロー形(UCP)
フランジ形(UCF)
ひしフランジ形(UCFL)
変形フランジ形(UCFH)
心高ピロー形 (UCHP)
狭幅ピロー形 (UCUP)
テイクアップ形(UCT)
ベアリングユニットの選定ポイント
使用環境を考慮する
回転速度
- 高速回転の場合、精度が高く、摩擦が少ないユニットを選ぶ。
- 必要に応じて高速グリスが塗布されたユニットを選択する。
設置条件
- 設置スペースの制約に応じて、ピローブロック型やフランジ型を選ぶ。
- 水平方向か垂直方向かで選択が異なる。
- 狭いスペースや特殊な設置環境では、ひしフランジ形や狭幅ピロー形が有利。
- 心高ピロー形は高さ調整が可能で、装置全体の構成を整えやすい。
メンテナンス性
- グリス給油の頻度を減らすため、密封型のシールを選ぶ。
- メンテナンスが困難な場所では、メンテナンスフリー型が推奨される。
耐久性
- 長期間使用する場合、信頼性の高いメーカー製品を選ぶ。
- 負荷容量が余裕を持つユニットを採用することで、寿命を延ばすことができる。
- 軽負荷の場合は狭幅タイプや変形フランジ形が適しているが、
重負荷では通常のピローブロック型やフランジ形が推奨される。
主なメーカー
NTN株式会社 メーカーページはこちら
FYH株式会社 メーカーページはこちら
まとめ
ベアリングユニットは、軸を支持しながら
スムーズな回転運動を実現するための重要な機械要素です。
これらのユニットは、ベアリングとハウジングが一体化した設計であり、
組み立てやメンテナンスが簡単で、さまざまな産業で広く使用されています。
その用途は農業機械やコンベアシステム、
食品加工機械から精密機器まで多岐にわたります。
種類も豊富で、ピローブロック型やフランジ型のような標準的なものから、
ひしフランジ形や心高ピロー形などの特殊形状タイプまで存在します。
それぞれの形状や特徴は、取り付け面の条件、設置スペース、
負荷条件、環境の影響といった要因によって選定されます。
たとえば、狭いスペースでの取り付けには狭幅ピロー形が適しており、
不規則な設置環境には変形フランジ形が効果を発揮します。
また、自動調心機能を備えたタイプを選ぶことで、
軸やハウジングの微妙なずれを吸収し、
装置全体の耐久性を向上させることができます。
さらに、使用環境に応じた材質選定も重要です。
食品加工や水回り設備などでは、
耐腐食性に優れたステンレス製やプラスチック製のベアリングユニットが使用されます。
一方で、一般産業用途では鋳鉄製や鋼製のユニットが主流です。
設置場所が振動や衝撃を受けやすい場合には、
ダンパー機能やグリス潤滑の適切な選定が必要となります。
ベアリングユニットの適切な選定と管理は、
機械の性能と寿命を大きく左右します。
設計段階で慎重に検討することで、故障のリスクを低減し、
メンテナンスコストの削減や機械全体の効率向上が可能です。
機械設計者にとって、ベアリングユニットの種類や特性を
十分に理解しておくことは、信頼性の高い設計を実現するための重要なスキルとなります。




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