タイミングベルトは、モーターなどの動力を正確に伝達するために使用される重要な機械要素です。しかし、用途によって最適なベルトの種類が異なるため、適切に選定しないと寿命の短縮や伝達効率の低下を招くことも…。
この記事では、分かりやすく、一般用・高トルク用・高精度用・軽負荷用のタイミングベルトの種類と選定ポイントを解説します!
タイミングベルトの基本構造
タイミングベルトは、主にゴム製のベルトに内部の補強材(ワイヤー)が組み込まれた構造を持ち、歯付きのプーリーと組み合わせて使用します。
✅ スリップしないため、正確な動力伝達が可能
✅ 低騒音・低振動でメンテナンスが容易
用途に応じて最適な種類を選定することで、機械の性能向上や耐久性の向上につながります。
一般用途向けタイミングベルト(XL・L・Hなど)
一般的な動力伝達に使用される汎用タイミングベルトです。主に次の規格があります。
規格 | ピッチ(mm) | 特徴 |
---|---|---|
XL | 5.08 | 小型機械向け |
L | 9.525 | 汎用的に使用される |
H | 12.7 | 高トルク対応可 |
XH | 22.225 | 大型機械向け |
XXH | 31.75 | さらに大きな負荷対応 |
✅ 特長
- 汎用性が高く、多くの産業機械で使用
- コストが比較的安価
- 動力伝達能力は標準的で、過負荷には不向き
✅ 主な用途
- 一般的な産業機械
- 搬送装置や自動機
高トルク向けタイミングベルト(PXベルト・STSベルト)
高負荷での使用を想定した強力なタイミングベルトです。
【PXベルトとは?】ツバキの高効率タイミングベルト
産業機械や自動機の動力伝達には、高精度・高効率なタイミングベルトが求められます。ツバキ(椿本チエイン)が提供するPXベルトは、従来のタイミングベルトに比べて静音性・クリーン性・高速運転性能に優れており、幅広い用途で活躍します。
本項では、PXベルトの特長や選定のポイントについてわかりやすく解説します!
PXベルトとは?
PXベルトは、高精度な動力伝達が可能なタイミングベルトで、従来のHTDベルト(高トルク伝達ベルト)よりも高性能です。
✅ 従来の歯付きベルトよりも高精度な動力伝達を実現!
✅ バックラッシを抑えた設計でスムーズな運転!
✅ 低騒音・クリーンな環境にも対応!
PXベルトの主な特徴
1️⃣ 高精度な動力伝達
PXベルトは、従来のHTDベルトと比較して、歯のかみ合いが向上し、バックラッシ(ガタつき)が少ないため、精密な動作が求められる機械にも最適です。
👉 工作機械、ロボット、精密搬送装置などに適用!
2️⃣ 低騒音設計
歯形の最適化により、動作時の摩擦や振動を低減。その結果、静かでスムーズな運転が可能になります。
👉 オフィス機器や医療機器など、静音性が求められる環境にも最適!
3️⃣ クリーンな動力伝達
PXベルトは、粉塵の発生を抑える特殊設計が施されており、クリーンルームなどの清潔な環境にも対応可能です。
👉 食品・医療・半導体製造など、クリーンな環境で使用可能!
4️⃣ 高効率で省エネ
歯形が最適化されており、従来のベルトと比較して摩擦損失が少なく、高効率な動力伝達が可能です。
👉 省エネ効果も期待でき、コスト削減につながる!
5️⃣ 高速運転に対応
PXベルトは、高精度な成型技術によって均一な歯形を実現。これにより、高速回転時でも安定した運転が可能です。
👉 高速搬送装置やロボットアームなど、高速運転が求められる場面で活躍!
PXベルトの種類と選定ポイント
PXベルトには、用途に応じたさまざまな規格があり、ピッチ(歯の間隔)が異なります。
規格 | ピッチ(mm) | 特徴 |
---|---|---|
P2M | 2 | 小型精密機器向け、静音性が高い |
P3M | 3 | コンパクトな機械に適用、精度重視 |
P5M | 5 | 一般的な産業機械に広く使用される |
P8M | 8 | 高トルク対応、工作機械や搬送装置向け |
P14M | 14 | 大型機械向け、耐久性と強度に優れる |
✅ 選定のポイント
✔ 小型・静音重視なら「P2M・P3M」
✔ 一般的な産業機械なら「P5M」
✔ 高トルク・高負荷なら「P8M・P14M」
用途に応じたPXベルトの選定を!
ツバキのPXベルトは、従来のタイミングベルトと比較して、高精度・低騒音・クリーン・高効率・高速運転対応といった多くのメリットがあります。
✅ 精密な動力伝達が必要なら「PXベルト」!
✅ 静音性やクリーン性が求められるなら最適!
✅ 種類が豊富なので、用途に応じた適切な選定が重要!

適切なベルトを選ぶことで、機械の性能向上・省エネ・メンテナンスコストの削減が可能になります。
ぜひ、PXベルトを活用して、最適な機械設計を行いましょう!
【STSベルトとは?】バンドー化学の高トルクタイミングベルト
機械の動力伝達には、高精度かつ高トルク対応のタイミングベルトが欠かせません。バンドー化学が提供するSTSベルトは、従来のタイミングベルトと比較して高トルク伝達・低騒音・コンパクト化に優れており、多くの産業機械で採用されています。
本項では、STSベルトの特徴や選定ポイントについて、わかりやすく解説します!
STSベルトとは?
STSベルトは、高トルク伝達が可能な特殊歯形を採用したタイミングベルトで、一般的なHTDベルトよりもさらに効率的な動力伝達を実現します。
✅ 高いトルク伝達能力!
✅ 静音設計で騒音を大幅に低減!
✅ 省スペース化に貢献するコンパクト設計!
STSベルトの主な特徴
1️⃣ 高トルク伝達
STSベルトは、特殊な歯形設計により、従来のHTDベルトよりも約30%高いトルク伝達能力を実現。これにより、強力な動力伝達が可能になります。
👉 工作機械、ロボット、搬送装置など、高負荷がかかる装置に最適!
2️⃣ 低騒音で静かに運転
STSベルトは、歯のかみ合い時の衝撃を抑える設計が施されており、動作時の振動や騒音を大幅に低減。
👉 オフィス機器や医療機器など、静音性が求められる場面にも適用可能!
3️⃣ コンパクト設計で省スペース化
STSベルトは、高いトルク伝達能力を持つため、従来より小径のプーリでも使用可能。これにより、装置のコンパクト化が可能になります。
👉 限られたスペースでも強力な駆動が可能!
STSベルトの種類と選定ポイント
STSベルトには、用途に応じたさまざまな規格があり、ピッチ(歯の間隔)が異なります。
規格 | ピッチ(mm) | 特徴 |
---|---|---|
S2M | 2 | 精密機器向け、小型・静音性が高い |
S3M | 3 | 省スペース化が可能、精密な動力伝達 |
S5M | 5 | 一般的な産業機械に幅広く使用 |
S8M | 8 | 高トルク対応、搬送装置やロボット向け |
S14M | 14 | 大型機械向け、耐久性・強度に優れる |
✅ 選定のポイント
✔ 小型・静音重視なら「S2M・S3M」
✔ 一般的な産業機械なら「S5M」
✔ 高トルク・高負荷なら「S8M・S14M」
用途に応じたSTSベルトの選定を!
バンドー化学のSTSベルトは、従来のタイミングベルトに比べて高トルク伝達・低騒音・コンパクト化といった多くのメリットがあります。
✅ 強力な動力伝達が必要なら「STSベルト」!
✅ 静音性や省スペース化が求められる機械に最適!
✅ 豊富な規格から用途に応じた適切な選定が重要!

適切なベルトを選ぶことで、機械の性能向上・省エネ・コスト削減が可能になります。
ぜひ、STSベルトを活用して、最適な機械設計を行いましょう!
高精度向けタイミングベルト(GTベルト)
高精度な位置決めが必要な場面に使用されるベルトです。
【GTベルトとは?】ゲイツ・ユニッタ・アジアの高精度タイミングベルト
機械設計において、精密な動力伝達が求められる場合、通常のタイミングベルトではバックラッシや歯飛びが問題になることがあります。そんな課題を解決するのが、ゲイツ・ユニッタ・アジアの「GTベルト」です。
GTベルトは、従来のタイミングベルトと比べてバックラッシが極めて少なく、高い歯飛びトルクを発揮するため、精密な動力伝達が可能になります。本項では、GTベルトの特徴と選定ポイントを分かりやすく解説します!
GTベルトとは?
GTベルト(Giga Torque Belt)は、ゲイツ・ユニッタ・アジアが開発した高精度・高トルク対応のタイミングベルトです。
✅ バックラッシを最小限に抑えた高精度伝動!
✅ 従来ベルトよりも高い歯飛びトルクを実現!
✅ 精密機器やロボットに最適!
GTベルトの主な特徴
1️⃣ 最小のバックラッシ
GTベルトは、独自の歯形設計により、プーリとベルトのかみ合い精度を向上。その結果、バックラッシ(隙間によるズレ)を最小限に抑え、正確な位置決めが可能になります。
👉 ロボットや半導体製造装置など、精密な位置決めが求められる用途に最適!
2️⃣ 高い歯飛びトルク
一般的なHTD(High Torque Drive)ベルトと比べて、GTベルトは歯飛びトルクが大幅に向上しています。
👉 急激な負荷変動がある場面でも確実に動力を伝達!
👉 コンパクトな設計でも強力なトルク伝達が可能!
3️⃣ 精密伝動
GTベルトは、高精度な歯形によりスムーズな動力伝達が可能です。ベルトの伸びも少なく、長時間の使用でも安定した性能を維持します。
👉 工作機械や医療機器など、精密な動作が求められる機械に適用!
GTベルトの種類と選定ポイント
GTベルトには、用途に応じたさまざまなピッチサイズがあります。
規格 | ピッチ(mm) | 特徴 |
---|---|---|
1.5GT | 1.5 | 小型精密機器向け、低トルクでも高精度伝動 |
2GT | 2 | 省スペース化が可能、高精度制御に最適 |
3GT | 3 | 一般産業機械向け、安定した動力伝達 |
5GT | 5 | 高トルク対応、ロボット・搬送装置向け |
✅ 選定のポイント
✔ 精密位置決めなら「GT2M・GT3M」
✔ 一般的な産業機械なら「GT5M」
✔ 高トルク・高負荷なら「GT8M・GT14M」
GTベルトで高精度な動力伝達を!
ゲイツ・ユニッタ・アジアのGTベルトは、従来のタイミングベルトよりも精密な動力伝達・高トルク・低バックラッシを実現するベルトです。
✅ 精密機器やロボットに最適な「最小のバックラッシ」!
✅ 急な負荷変動にも対応する「高い歯飛びトルク」!
✅ 安定した動作を可能にする「高精度な伝動」!

適切なベルトを選定することで、機械の精度向上・長寿命化・コスト削減が可能になります。
ぜひ、GTベルトを活用し、より精密な機械設計を実現してください!
🪶 軽負荷向けタイミングベルト(Tベルト)
軽負荷や小型機械向けに設計されたベルトです。
【Tベルトとは?】軽負荷向けタイミングベルト
機械設計において、軽負荷で正確な動力伝達が求められる場合、Tベルト(タイミングベルト)が適した選択肢になります。Tベルトは、比較的シンプルな構造ながら、一定の精度と耐久性を持ち、小型機器や軽負荷用途で広く使用されています。
本項では、Tベルトの特徴や選定のポイントについて、分かりやすく解説します!
Tベルトとは?
✅ シンプルな歯形で、コストパフォーマンスに優れる!
✅ 一定の精度と動力伝達能力を持つ!
✅ コンパクトな設計が可能で、小型機器に最適!
Tベルトの主な特徴
1️⃣ 軽負荷向けでコストパフォーマンスに優れる
Tベルトは、中・高トルク向けのベルトと比べて製造コストが低く、手軽に導入可能です。そのため、搬送機器・軽量ロボット・小型自動機などの軽負荷用途に適しています。
👉 コストを抑えつつ、確実な動力伝達を実現!
2️⃣ スムーズな動力伝達が可能
Tベルトは、シンプルな歯形設計ながら、滑らかな動力伝達が可能です。そのため、低速・中速域での安定した回転が求められる場面に適しています。
👉 騒音を抑え、スムーズな動作が可能!
Tベルトの種類と選定ポイント
Tベルトには、用途に応じたさまざまなピッチサイズがあります。
規格 | ピッチ(mm) | 特徴 |
---|---|---|
T2.5 | 2.5 | 小型機器向け、低トルクでもスムーズな伝動 |
T5 | 5 | 一般的な軽負荷用途、安定した伝動性能 |
T10 | 10 | 搬送機器や軽量ロボット向け、耐久性向上 |
✅ 選定のポイント
- 小型機器なら「T2.5」
- 汎用用途なら「T5」
- 搬送・軽量ロボットなら「T10」
Tベルトで軽負荷の動力伝達をスムーズに!
Tベルトは、軽負荷用途に適したタイミングベルトで、低コストながら確実な動力伝達を実現します。
✅ コストを抑えつつ、一定の動力伝達性能を確保!
✅ 欧州規格準拠で、互換性が高く設計しやすい!
✅ 軽負荷機器に適したスムーズな回転!

適切なTベルトを選定することで、機械の小型化・低コスト化・スムーズな動作が可能になります。
ぜひ、用途に応じたTベルトを活用し、最適な機械設計を実現してください!
📌 まとめ:用途に合わせた適切な選定を!
タイミングベルトは用途によって適した種類が異なります。
✅ 一般的な動力伝達なら「XL・L・Hベルト」
✅ 高負荷なら「PXベルト・STSベルト」
✅ 高精度なら「GTベルト」
✅ 軽負荷なら「Tベルト」
適切なタイミングベルトを選ぶことで、機械の性能向上やメンテナンスの軽減につながります。設計の際は、それぞれの特徴を理解した上で、最適なものを選定しましょう!
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