センサーにおけるチャタリングとは?

機械要素

機械装置や自動化設備において、センサーは「今、何が起きているか」を機械に伝える非常に重要な役割を担っています。しかし、センサーが発する信号は常に安定しているとは限らず、「チャタリング」と呼ばれる信号のバタつきが思わぬトラブルを引き起こすことがあります。

「センサーが反応したのに動かない」「1つのものを2回カウントしてしまう」など、現場でよくあるこのような問題は、チャタリングが原因かもしれません。

この記事では、センサーのチャタリングとは何か?なぜ起こるのか?どう対策すればよいのか?について、初心者の方にもわかりやすく解説します。


スポンサーリンク

チャタリングとは?

チャタリングとは、センサーやスイッチが「オン/オフ」などの状態を切り替える瞬間に、意図しない微小な信号のバタつき(ノイズ)が発生する現象です。

たとえば、本来は「オン」になるべきタイミングで、

オン→オフ→オン→オフ→オン

というように、ほんの数ミリ秒の間に何度も切り替わることがあります。
この現象がチャタリング(chattering)と呼ばれます。


チャタリングが起こる原因

チャタリングは、センサーやスイッチの構造的な要因や物理的な衝撃、振動などによって発生します。

以下は主な原因です。

機械的要因

  • マイクロスイッチなどの接点が跳ねる
  • 可動部分が物理的にバウンドする

電気的要因

  • ケーブルや機器のノイズ影響
  • 電源電圧の揺らぎ

環境要因

  • 振動環境下での誤検出
  • 金属粉や油が付着して誤動作する場合も

スポンサーリンク

どんなセンサーで起こるの?

センサーの種類チャタリングの可能性
機械式スイッチ(リミットスイッチなど)非常に高い
近接センサ少ないがあり得る
光電センサ対象物の微妙な反射などで起こる場合あり
オートスイッチ(有接点タイプ)発生する可能性あり
オートスイッチ(非接点タイプ)基本的に少ない(電子回路処理済み)

チャタリングが原因で起こるトラブル

🚫 誤カウント(1個を複数回カウント)
🚫 PLCの誤信号処理(ON→OFF→ONと瞬間的に信号が変化)
🚫 動作の不安定化(シリンダーやモーターが誤作動)
🚫 装置の安全機能が誤動作する危険


スポンサーリンク

チャタリングの対策方法

ハード的対策

非接点タイプのセンサーを使用する
 👉 チャタリングが少なく信頼性が高い。

バッファ回路・コンデンサを使って信号を平滑化
 👉 電気回路的にスパイクを吸収する。

センサーの取り付け位置や感度を調整
 👉 対象物が確実に検出されるようにする。


ソフト的対策(PLCやマイコン側)

ON時間のフィルタ処理
 🔍:「連続してONが20ms以上続いた場合のみ有効」とする。

タイマ処理を用いるデバウンス制御
 一定時間以上変化がないときだけ入力を採用する。

複数回の信号一致を確認するロジック
 フリッカ(バタつき)を排除して安定信号に変換。


チャタリング対策の例(実際の現場で)

現象:ワークがコンベアに流れるたびに、1個が2回カウントされてしまう。

📌対策

  • 使用センサーを高応答・非接点タイプに変更
  • PLC側で0.05秒以下の信号は無視するフィルタ処理を実装
    👉 誤カウントが解消!

スポンサーリンク

初心者向けワンポイントアドバイス

チャタリング=センサーの“信号のガタつき”と覚えておこう
✅ 初めての設計では、非接点センサー+タイマ処理が安心
✅ トラブル時は「チャタリングかも?」と疑ってみるのが大事!


まとめ

センサーのチャタリングは、信号のバタつきによって設備に誤作動や誤カウントを引き起こす原因となります。特に、精度が求められる自動化ラインや、安全性が重視される装置では、見逃せない問題です。

チャタリングを防ぐには、
🔸 センサーの選定(非接点タイプなど)
🔸 取り付け方法の工夫
🔸 ソフトウェアでのフィルタ処理
など、ハードとソフトの両面からの対策が重要です。

トラブルが起きたときには、「もしかしてチャタリングかも?」と視点を変えてみることが、問題解決の第一歩になります。正しい理解と対策で、センサーの信頼性を高めましょう。



はじめ
はじめ

ボルトやナット、軸受け、ギアといった基本的な要素部品の機能と選び方を詳しく紹介します

コメント