ワンタッチクランプの特徴と選定ポイント|簡単・確実な固定を実現する仕組みとは?

機械要素

機械設計や治具設計において、
作業効率や精度を左右する「クランプ機構」は重要な要素の一つです。

その中でも「ワンタッチクランプ」は、
ワンタッチで簡単に固定・解除ができる構造として、
多くの現場で活用されています。

本記事では、ワンタッチクランプの仕組み・メリット・種類・
使用上の注意点や選定のコツまで、初心者でもわかりやすく解説します。


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ワンタッチクランプとは?基本の構造と仕組み

ワンタッチクランプとは、カムの回転やバネの力よって
クランプ力(締付け力)を発生させるクランプ機構です。

カムとは?

カムとは、回転によって非対称な動作を生み出す部品で、
回転角度に応じて軸方向の移動や力の増幅が可能です。

カムクランプでは、このカム形状を利用して
「手動レバーを少し動かすだけで大きなクランプ力を得る」ことができます。


カムについての関連記事はこちら

ワンタッチクランプの主な特徴

ワンタッチ操作で簡単に締結できる

  • レバーを起こす or 倒すだけでクランプが完了
  • 繰り返し作業が必要な場面で作業性が大幅に向上

確実なクランプ力を発揮

  • カムによる力の増幅作用により、手動でもしっかり固定
  • ねじ締結と比べても速く、しかも確実

クランプ力を維持しながらも脱着が容易

  • 一度締結しても、解除時はスムーズに離脱
  • 治具や検査装置など頻繁に着脱が必要な用途に最適

占有スペースが小さい

  • スライドクランプやボルトと比べて、装置の省スペース化に有利
  • 部品同士の干渉リスクが少なく、自由度の高い設計が可能


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ワンタッチクランプの活用シーン

以下のような場面で特に有効です。

  • 加工治具のワーク固定
    • 繰返し取り付け取り外しが必要、
      かつ固定力も欲しい場合
  • 検査・組立ラインでの冶具
    • 手動で簡単に操作でき、
      作業効率が良い
  • 製造装置のカバー固定
    • 工具なしでワンタッチ着脱でき、
      安全性と保守性の向上
  • 省スペース設計が求められる場所
    • カム構造でコンパクト、
      機構部品の干渉も回避できる

ワンタッチクランプの設計・選定ポイント

カムクランプをうまく使いこなすには、
以下のポイントを押さえましょう。

クランプ力(締付力)の確認

必要な固定力(ワーク重量、加工時の反力など)を見積もる

製品仕様書には「最大クランプ力」が記載されているため、
それに対して安全率を考慮して選定

使用環境に応じた材質選び

一般的には鋼製 or ステンレス製

高湿度や腐食環境
→ ステンレス

軽量化や樹脂製ワークとの接触
→ アルミ・樹脂製のクランプも選択肢

繰り返し使用の耐久性

繰返し回数の多い場合 → 耐摩耗性・カムの寿命が重要

高頻度の治具では、交換部品の供給性もチェック

クランプ解除のしやすさ

作業者の位置、力のかけやすさを考慮してレバー位置を設計

必要に応じて「カム角度の微調整機構」があるものを採用

干渉回避とストローク量

レバーの開閉範囲や動作ストロークが、他部品と干渉しないか確認

コンパクトな治具では「開閉方向(縦/横)」も設計上の重要ポイント


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使用時の注意点

締付不足に注意

レバーがカムの最上点で止まっていないと、
十分な締付力が出ないことがあります。

過剰締めによる変形や摩耗

カム形状が潰れると本来の動作ができなくなるため、
指定トルクや手応えを守ること。

可動部のグリスアップ

スムーズな動作と摩耗防止のため、
定期的な潤滑が必要です。


ワンタッチ着脱ならイマオコーポレーション!

機械設計や治具設計において、
素早く確実にワークや部品を固定・脱着したい」という
ニーズは非常に多く存在します。

特に製造現場では、作業効率・安全性・再現性の向上が重要視され、
ワンタッチで操作できるクランプ機構の導入が進んでいます。

その中で高い信頼性と実績を持つのが、
イマオコーポレーションのクランプ製品群です。

今回は、数あるワンタッチ着脱クランプの中から代表的な3機種

サムターンクランパー
くさびロッククランパー
ボタンロッククランパー

を取り上げ、それぞれの特長・用途・選定ポイントを紹介します。


サムターンクランパー|コンパクトなのに強力固定!

  • サムターンクランパーの特徴
    • レバーや工具を使わず、親指と指先だけで締結・解除が可能
    • 回転動作により、内蔵のカムが押し広げることでしっかりとクランプ
    • クランプ完了時にクリック感があり、確実な固定を触感で確認できる
  • 主な用途
    • 小型ワークの固定
    • 検査冶具・簡易治具・試験機など
    • 軽負荷な締結箇所での素早い脱着が求められる場面
  • 選定ポイント
    • クランプ対象の重量・振動の有無を確認(軽負荷用途向け)
    • 繰り返し頻度が高い工程や、工具を使いたくない現場に最適
    • 外観部品の装飾カバーや、安全カバーなどにおすすめ


くさびロッククランパー|高剛性で微小なズレも許さない!

  • くさびロッククランパーの特徴
    • くさび機構により、わずかなストロークで大きな締付力を発揮
    • クランプと同時に位置決めも可能(インロー機構付き)
    • 高い再現精度と剛性を両立し、振動・切削荷重にも対応
  • 主な用途
    • 加工治具、組立治具、測定機器など高精度を要する固定
    • ワークの位置決めとクランプを同時に行いたい設計に最適
    • 工作機械の着脱ユニットや交換部品の固定
  • 選定ポイント
    • インロー精度とくさび角度のバランスを確認
    • 荷重条件(せん断・トルク)に応じた材質とサイズ選定が必要
    • 部品の位置ズレを極限まで抑えたい場合は最有力候補

ボタンロッククランパー|片手でパチン!素早く簡単にロック

  • ボタンロッククランパーの特徴
    • ボタンを押しながら挿入後放すとロック
    • 解除はボタンを引き抜く片手操作
    • ワンウェイタイプは挿入時ボタン操作不要。
    • ピンとスリーブの組み合わせで位置決め+保持が同時に可能
  • 主な用途
    • 装置カバー・パネルの着脱
    • 治具プレートや軽量ユニットの簡易固定
    • 組立ラインでの作業性向上・ミス防止
  • 選定ポイント
    • 繰り返し操作に強い材質(ステンレス or 表面処理)を選ぶ
    • ワークにかかる荷重が大きい場合は別途位置決めピンとの併用を推奨
    • ボタン部が突出しない「埋込み型」も選べ、
      外観性が必要な箇所に有効

3製品の比較表

製品名主な特徴クランプ力保持力操作性
サムターンクランパー指先で操作可能
スナップ感で確実固定
くさびロッククランパーくさび構造
高剛性・高精度
ボタンロッククランパー片手で着脱
軽量コンパクト型

ワンタッチクランプ製品選定時のチェックリスト

クランプ力と保持力の確認

使用環境に合わせて、適切な締付力を選ぶこと

せん断強度と引張強度の確認

使用環境に合わせて、適切な必要強度を選ぶこと

再現性(位置ズレ)への要求レベル

高精度が必要な場合は「くさびロック」や「インロー構造」との併用が効果的

操作性・作業者の作業性

工具レス、片手操作など、現場の作業環境に合った形状を選ぶ

取り付けスペースと形状制約

複数製品を比較して、占有スペースや可動範囲を検討

使用回数(耐久性)と材質

 長期間使用する場合は、摩耗対策されたモデルがおすすめ


イマオのクランプで「作業性×精度」を両立!

イマオコーポレーションが提供する
サムターンクランパー」「くさびロッククランパー」「ボタンロッククランパー」は、
それぞれ異なる特徴を持ち、幅広い現場ニーズに対応できます。

目的と使用環境に応じて適切に使い分けることで、
作業効率はもちろん、設計の自由度も大きく広がります。

はじめ
はじめ

治具の刷新や固定方式の改善を検討されている方は、
ぜひ一度イマオ製品の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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高精度にはクランプ+位置決めの併用が必須!

機械設計や治具設計において、
ワーク(部品)を固定する際に重要なのは
しっかり固定すること」と「正しい位置に固定すること」の2つです。

これを混同してしまうと、
ズレ不具合の原因になります。

たとえば、クランプだけでワークを固定した場合、
荷重や振動により微妙に位置がズレることがあります。

特に加工や検査など、
高精度が求められる場面では致命的です。

そこで重要なのが、
クランプと位置決め要素の併用です。


クランプと位置決めの役割の違い

  • クランプの役割
    • ワークを押さえて「動かないようにする」ための力を加える
  • 位置決めの役割
    • ワークを「正しい場所に導く」「ズレないように支える」

この2つは、目的も構造も異なる機能です。

たとえば、
位置決めには「インロー(はめ合い)」「位置決めピン」などが使われ、
クランプには「トグルクランプ」や「カムクランプ」などが使われます。


併用のメリット

  • 位置精度の再現性が高まる
  • クランプによる位置ズレを防げる
  • 加工時の切削抵抗やせん断力にも耐えられる

特に、繰り返し脱着がある場合は、位置決め機構があることで、
誰が操作しても同じ位置にセット可能となり、品質の安定にもつながります。


精度が必要な設計では、クランプだけで固定するのではなく、
必ず位置決め要素と組み合わせることが大切です。

クランプ=固定力、位置決め=精度保持、と覚えておくとよいでしょう。

はじめ
はじめ

設計段階で「どう固定するか」だけでなく
「どう位置を決めるか」も意識することで、
品質も作業性も一段アップしますよ!

クランプと位置決めについての関連記事はこちら

ワンタッチクランプは“スピード”と“確実性”を両立できる優秀な要素

ワンタッチクランプは、手軽な操作でしっかりとした
固定ができる非常に便利な機構です。

特に、繰返しの脱着作業が必要な治具や製造装置では、
作業効率と信頼性の両立に大きく貢献します。

選定の際は、
「クランプ力」「材質」「耐久性」「ストローク」「干渉回避」などを
総合的に見て、使用環境に合ったタイプを選ぶことが重要です。

これからワンタッチクランプを取り入れる方も、
すでに使っている方も、ぜひ設計・運用に役立ててみてください。


はじめ
はじめ

ボルトやナット、軸受け、ギアといった
基本的な要素部品の機能と選び方を
詳しく紹介します。

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