機械設計の図面や材料表を見ていると、
SS400D や S45CD といった
材料表記を目にすることがあります。
「SS400やS45Cは知っているけど、最後の “D” って何?」
「指定しないと問題になるの?」
こうした疑問を持つ設計初心者は少なくありません。
この記事では、
機械設計における材料表記の「D」の意味を中心に、
▶ SS400D・S45CDの違い
▶ なぜ「D」を付けるのか
▶ 設計・図面での正しい使い方
を、現場経験のない方でも
理解できるようにわかりやすく解説します。
SS400D・S45CDの「D」とは何か?
結論から言うと、
「D」は“Drawn(引抜き材)”を意味します。
Dの意味
つまり、
という違いになります。
引抜き材(D材)とは?
引抜き加工とは?
引抜き加工とは、
金型(ダイス)を通して材料を引っ張り、断面精度を高める加工です。
この加工によって、
という特徴が生まれます。
引抜材とミガキ材は同じ意味?
機械設計で混乱しやすい材料用語をわかりやすく解説
機械設計や加工現場でよく耳にする、
- 「この部品、引抜材でいいです」
- 「ここはミガキ材を使って」
という言葉。
設計初心者の方ほど、
「引抜材とミガキ材って、結局同じ意味?」
と疑問に感じることが多いのではないでしょうか。
結論から言うと、
引抜材とミガキ材は
“ほぼ同じ意味で使われることが多いが、厳密には加工視点が違う言葉”です。
本項では、
を、わかりやすく解説します。
引抜材とは?
引抜材の定義
引抜材とは、
ダイス(金型)を通して材料を引き抜く
「冷間引抜加工」によって作られた材料です。
引抜材の特徴
材料記号では、
- SS400D
- S45CD
のように、末尾に「D」が付くことがあります。
ミガキ材とは?
ミガキ材の定義
ミガキ材とは、
表面がきれいに仕上げられた棒材の総称です。
重要なのは、
ミガキ材は「加工方法」ではなく「仕上がり状態」を表す言葉
という点です。
ミガキ材の特徴
なぜ「引抜材=ミガキ材」と言われるのか?
ここが一番の混乱ポイントです。
実務での理由
冷間引抜加工をすると、
結果として、
引抜加工された材料 = 表面がきれいな棒材
となるため、
現場では
- 「引抜材」
- 「ミガキ材」
が ほぼ同義語のように使われることが多いのです。
厳密には「視点」が違う
| 用語 | 視点 | 意味 |
|---|---|---|
| 引抜材 | 加工方法 | 冷間引抜加工された材料 |
| ミガキ材 | 仕上がり状態 | 表面がきれいな棒材 |
同じ材料を指していることが多いが、言葉の成り立ちが違う
という点が重要です。
図面・設計ではどう書くべき?
設計者としてのおすすめ
なぜ図面では「引抜材」が良い?
- JIS記号として明確
- 材料メーカー・加工業者に誤解がない
- 品質・精度の意図が伝わる
「ミガキ材」は便利な言葉ですが、
図面では曖昧になりやすい点に注意が必要です。
よくある初心者の勘違い
❌ ミガキ材は研磨している?
→ 多くの場合、研磨ではなく引抜加工の副産物です。
❌ ミガキ材=高精度材?
→ 一般加工には十分だが、精密用途では追加加工が必要な場合もあります。
引抜材とミガキ材は、
という違いはありますが、
実務ではほぼ同じ意味で使われることが多いのが実情です。
ただし設計者としては、
という使い分けができると、
材料トラブルのない、信頼される設計につながります。
SS400とSS400Dの違い
| 項目 | SS400 | SS400D |
|---|---|---|
| 製造方法 | 熱間圧延 | 冷間引抜 |
| 寸法精度 | 普通 | 良い |
| 表面粗さ | 粗め | 比較的きれい |
| 主な用途 | 構造材・溶接 | 部品材・見た目重視 |
実務での使い分け例
- 構造フレーム → SS400
- 部品材・見た目重視 → SS400D
S45CとS45CDの違い
S45Cは機械設計で非常によく使われる材料ですが、
回転軸や精度が必要な部品では S45CD が選ばれることがあります。
S45CDの特徴
ただし、
という点には注意が必要です。
図面で「D」を指定する意味
なぜ設計で「D」を明記するのか?
理由は明確です。
材料の状態が変わると、加工性・精度・コストが変わるから
「SS400」とだけ書いた場合、
- 圧延材が来る可能性
- 引抜き材が来る可能性
があり、
加工現場で想定とズレが出ることがあります。
設計で「D」を付けるべきケース
- 軸・ピン・スペーサー
- 外径精度をある程度期待したい部品
- 下加工を減らしたい場合
よくある初心者の勘違い
❌ D材は「高強度」になる?
→ 強度が大きく上がるわけではありません。
引抜きにより多少硬くなることはありますが、
設計強度として期待するのは危険です。
❌ すべてD材にすれば良い?
→ コストアップ・残留応力の問題があります。
構造材や溶接前提の部品では、
通常材の方が適しています。
まとめ
SS400D・S45CDに付く 「D」 は、
引抜き材(Drawn材)であることを示す重要な記号です。
▶ D = 冷間引抜材
▶ 寸法精度・表面性状が良い
▶ 軸・ピン・部品用途に向く
▶ 強度目的での指定はNG
材料表記は、
単なる記号ではなく、
設計意図を伝える重要な情報です。





コメント