歯車を設計する際に重要なのが強度計算です。
強度計算を正しく行わないと、
歯が折れる・摩耗が早い・騒音が大きいなどの
問題が発生することがあります。
この記事では、初心者でも理解しやすいように、
平歯車の強度計算について解説します!
平歯車の強度計算の基本
歯車の強度計算には、大きく分けて
「歯元強度計算」と「表面疲労強度計算」の2つがあります。
| 計算の種類 | 目的 | 影響する要素 |
|---|---|---|
| 歯元強度計算 | 歯が折れないようにする | 歯の形状、材質、荷重 |
| 表面疲労強度計算 | 歯が摩耗やピッチング(表面破損)を 起こさないようにする | 歯面の接触圧力、潤滑状態 |
それぞれの計算について、簡単に説明していきます。
歯元強度計算(歯の折れを防ぐ)
歯元強度計算は、歯が折れないようにするための計算です。
歯車の歯は「はり(梁)」のような構造をしているため、
歯元(根元)には大きな応力がかかります。
設計のポイント
表面疲労強度計算(摩耗やピッチングを防ぐ)
歯車の接触面では、荷重が集中するため、
摩耗やピッチング(表面が剥がれる現象)が発生しやすくなります。
このため、表面疲労強度の計算が必要です。
設計のポイント
平歯車の強度計算とは?
平歯車は、回転運動を伝える重要な機械要素ですが、
使用中に歯が折れたり摩耗したりしないよう、
強度計算 を行う必要があります。
強度計算では、歯にかかる「曲げ応力」や「接触応力」を考え、
耐えられる設計になっているかを確認します。
平歯車の強度を評価する方法はいくつかありますが、
代表的なものに JGMA 401-01 と ルイスの式 があります。
JGMA 401-01とルイスの式の違い
JGMA 401-01(鋼鉄歯車向けの計算規格)
ルイスの式(樹脂歯車や簡易計算向け)

簡単な樹脂歯車にはルイスの式、
高精度な鋼鉄歯車にはJGMA 401-01が適している!
ルイスの式とJGMA 401-01の違いと使い分け
なぜ強度計算が必要なのか?
歯車は回転しながら力を伝える部品ですが、
過負荷によって歯が折れる・摩耗すると、
機械全体が正常に動作しなくなります。
そのため、歯車の強度計算を行い、
適切な寸法や材質を選定することが重要です。
強度計算には主に
「ルイスの式」 と 「JGMA 401-01」 の2つの方法があります。
どちらを使うかは歯車の使用環境によって変わります。
ルイスの式とは?
ルイスの式は、歯車の1つの歯を「はり(梁)」と
みなして応力を計算するシンプルな方法です。
🔍 ルイスの式の特徴
✅ ルイスの式が適しているケース
⚠️ ルイスの式が不向きなケース

ルイスの式は簡易的な設計には便利ですが、
詳細な評価には不十分なことが多いです。
JGMA 401-01とは?
JGMA 401-01は、日本歯車工業会(JGMA)が定めた
動的な影響を考慮した歯車強度計算基準です。
🔍 JGMA 401-01の特徴
✅ JGMA 401-01が適しているケース
⚠️ JGMA 401-01が不向きなケース

JGMA 401-01は、より正確な強度評価ができるため、
産業用の機械設計では主流となっています。
ルイスの式とJGMA 401-01の比較と使い分け
| 計算方法 | ルイスの式 | JGMA 401-01 |
|---|---|---|
| 計算の種類 | 静的な曲げ強度計算 | 動的な影響や疲労を考慮 |
| 適用範囲 | 低速・小型の歯車 | 高速・高負荷の歯車 |
| 考慮する要素 | 歯の曲げ強度のみ | 摩耗・疲労・動的荷重 |
| 計算の複雑さ | 簡単 | 詳細で複雑 |
| 主な使用例 | 玩具・家電 | 自動車・産業機械 |
適切な計算方法を選ぼう!
もし、「簡単な強度チェックをしたい!」という場合は ルイスの式 を使い、
「実際の運用条件まで考慮した設計をしたい!」なら JGMA 401-01 を使いましょう。
設計する歯車の用途に応じて、適切な計算方法を選ぶことが重要です!
ルイスの式 → 簡単な設計向け(低速・小型の歯車)
JGMA 401-01 → 高精度な設計向け(高負荷・高回転の歯車)
平歯車の強度を上げる方法
「強度を計算することも大切ですが、設計の工夫で強度を上げることもできます!」
歯幅を広くする
歯の幅が広いほど、一つの歯にかかる力が分散し、強度が向上します。
🔍例)
▶ 歯幅を 10mm → 20mm にするだけで、強度が2倍近くになる!
大きなモジュール(歯のサイズ)を選ぶ
モジュール(m)が大きいと、歯が厚くなり、折れにくくなります。
🔍例)
▶ モジュール 1.5 → 2.0 にすることで、歯の強度が向上!
強度の高い材料を選ぶ
熱処理や表面処理を活用する(鋼鉄歯車)
歯車のかみ合いを適切に設計する
複数の歯で力を受ける設計(歯当たり率を上げる)をすると、1つの歯への負担が減る。
歯すじ修正(クラウニング) を行うと、均等に力が分散され、局所的な負荷を軽減!
高速回転する場合は潤滑をしっかり行う
油潤滑 や グリス潤滑 を適切に選び、摩耗を減らす。
オイルバス方式(歯車をオイルに浸す方式)にすると、
熱や摩耗の影響を大きく軽減!
まとめ
▶ 鋼鉄歯車にはJGMA 401-01、樹脂歯車にはルイスの式がよく使われる!
▶ 歯幅を広げたり、モジュールを大きくすると強度UP!
▶ 材料選びや熱処理で耐久性を向上させることも可能!
▶ 適切な潤滑やかみ合い設計で長寿命化ができる!
強度計算だけでなく、設計の工夫も取り入れて、壊れにくい歯車を作りましょう!




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