機械設計では、シール材や緩衝材などにゴム材料が幅広く使用されます。
しかし、ゴムにはさまざまな種類があり、
用途に応じた適切な選定が重要です。
本記事では、代表的なゴム材料6種類の特性と選定ポイントを解説します。
ウレタンゴム(PU)
ウレタンゴムの特徴
高い耐摩耗性と引張強度
耐油性があり、機械部品向け
弾性が高く、衝撃吸収性も優れる
ウレタンゴムの主な用途
耐熱性・耐候性が低く、屋外使用には不向き
ニトリルゴム(NBR)
ニトリルゴムの特徴
優れた耐油性(鉱物油・グリース・燃料)
引張強度が高く、機械部品向け
価格が比較的安価
ニトリルゴムの主な用途
耐候性・耐オゾン性が低く、屋外使用には不向き
クロロプレンゴム(CR, ネオプレン)
クロロプレンゴムの特徴
耐候性・耐オゾン性に優れる
一定の耐油性・耐熱性を持つ
耐炎性があり、火災リスクが低い
クロロプレンゴムの主な用途
燃料や強酸・強アルカリには弱い
エチレンプロピレンゴム(EPDM)
エチレンプロピレンゴムの特徴
非常に優れた耐候性・耐オゾン性
耐熱性・耐寒性が高い
電気絶縁性に優れる
エチレンプロピレンゴムの主な用途
耐油性が低く、油がかかる環境には不向き
シリコンゴム(Si)
シリコンゴムの特徴
優れた耐熱性(250℃程度まで対応)
低温でも弾性を維持(-60℃対応)
医療・食品用途にも適した安全性
シリコンゴムの主な用途
耐油性・耐摩耗性が低く、機械部品には向かない
フッ素ゴム(FKM,FPM)
フッ素ゴムの特徴
耐熱性・耐薬品性・耐油性に優れる(200℃対応可)
✅ 耐オゾン性・耐候性も高い
✅ 燃料・有機溶剤にも耐性あり
フッ素ゴムの主な用途
価格が高いため、コストを考慮する必要あり
ゴム材料の選定ポイントまとめ
| ゴム材料 | 耐熱性 | 耐寒性 | 耐油性 | 耐候性 | 耐摩耗性 |
|---|---|---|---|---|---|
| ウレタンゴム(PU) | △ | △ | ◎ | △ | ◎ |
| ニトリルゴム(NBR) | △ | △ | ◎ | × | ◎ |
| クロロプレンゴム(CR) | △ | △ | ○ | ◎ | ○ |
| エチレンプロピレンゴム (EPDM) | ○ | ◎ | × | ◎ | △ |
| シリコンゴム(Si) | ◎ | ◎ | △ | ◎ | × |
| フッ素ゴム(FKM) | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
ゴム材料のコスト比較と選定ポイント
ゴム材料を選定する際、性能だけでなくコストも重要な要素です。
用途に適したゴムを選びつつ、コストパフォーマンスを考慮することで、
適正な材料選定が可能になります。
本項では、主要なゴム6種類のコスト比較と、それぞれのコストパフォーマンスについて解説します。
ゴム材料のコスト比較
ゴム材料のコストは、
一般的に天然ゴム(NR)やニトリルゴム(NBR)が安価であり、
フッ素ゴム(FKM)やシリコンゴム(Si)が高価です。
以下の表は、一般的な市場価格をもとにした相対的なコスト評価です。
(低コスト=★、高コスト=★★★★★)
| ゴム材料 | コスト | 主なコスト要因 |
|---|---|---|
| ウレタンゴム(PU) | ★★☆☆☆ | 特殊な合成プロセス、耐摩耗性が高い |
| ニトリルゴム(NBR) | ★☆☆☆☆ | 石油系材料を使用、比較的安価 |
| クロロプレンゴム(CR) | ★★☆☆☆ | 耐候性・耐炎性向上によりNBRより若干高価 |
| エチレンプロピレンゴム(EPDM) | ★★☆☆☆ | 優れた耐候性を持つが、原材料は比較的安価 |
| シリコンゴム(Si) | ★★★☆☆ | 耐熱性・医療用途対応のため製造コストが高い |
| フッ素ゴム(FKM) | ★★★★★ | 耐薬品・耐熱性が非常に高く、製造コストも高価 |
ゴム材料のコストと性能のバランス
コストが高いゴムは性能も優れていますが、
必ずしも高価な材料を選ぶ必要はありません。
用途に応じたコストパフォーマンスの良いゴムを選定することが重要です。
| コスト重視の選定ポイント | 推奨ゴム |
|---|---|
| コストを抑えつつ、耐油性を確保したい | NBR(ニトリルゴム)が最適 |
| 耐候性を確保しつつ、コストを抑えたい | EPDM(エチレンプロピレンゴム)が有効 |
| 耐摩耗性を確保しつつ、比較的安価にしたい | PU(ウレタンゴム)が候補 |
| 高温環境で長寿命化したい(コストより性能優先) | Si(シリコンゴム) or FKM(フッ素ゴム) |
コスト削減の工夫
高価なゴムを使用する場合でも、以下の工夫でコストを削減できます。
用途に応じたコスト最適化を!
コストを考慮した最適なゴム材料選定のポイントは以下の通りです。
低コストならNBR(ニトリルゴム)やEPDMが最適
耐摩耗性を考慮しつつコストを抑えるならPU(ウレタンゴム)
高温・耐薬品用途ならシリコンゴム(Si)やフッ素ゴム(FKM)を選ぶが、
部分的な使用を検討
適切な材料選定により、性能とコストのバランスを最適化し、
無駄なコストを削減することができます。

「この用途に最適なゴムは?」と迷ったら、
コスト・性能のバランスを考えて選定しましょう!
まとめ
ゴム材料はそれぞれ特性が異なり、
適切な選定が機械の性能や耐久性に大きく影響します。
✅ 耐摩耗性が必要なら → ウレタンゴム(PU)
✅ 耐油性が必要なら → ニトリルゴム(NBR)
✅ 耐候性・耐オゾン性が必要なら → EPDM・CR
✅ 高温・低温環境なら → シリコンゴム(Si)
✅ 耐薬品・耐油・耐熱性が必要なら → フッ素ゴム(FKM)
使用環境に応じた最適なゴム材料を選定し、
機械の寿命や性能を向上させましょう!









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