機械設計において、配管材料として広く使用されるSGP(炭素鋼鋼管)は、その扱いやすさと適切な強度で多くの設計現場で採用されています。本記事では、SGPの規格寸法、特徴、選定ポイントについて詳しく解説します。
SGPとは?
SGPは、配管用炭素鋼鋼管(Steel Gas Pipe)を指し、主にガスや水道管などの配管用途で使用される材料です。JIS G3452で規定されており、表面が亜鉛メッキされたもの(白管)と、メッキのない黒管があります。特に、機械設計では構造材や配管用途としての採用が一般的です。
SGPの規格寸法表
以下に、SGPの代表的な規格寸法を表にまとめます。寸法はJIS G3452に準拠しています。
呼び径 (A) | 外径 (mm) | 肉厚 (mm) | 内径 (mm) |
---|---|---|---|
6A | 10.5 | 2.0 | 6.5 |
8A | 13.8 | 2.3 | 9.2 |
10A | 17.3 | 2.3 | 12.7 |
15A | 21.7 | 2.8 | 16.1 |
20A | 27.2 | 2.8 | 21.6 |
25A | 34.0 | 3.2 | 27.6 |
32A | 42.7 | 3.5 | 35.7 |
40A | 48.6 | 3.5 | 41.6 |
50A | 60.5 | 3.8 | 52.9 |
65A | 76.3 | 4.2 | 67.9 |
80A | 89.1 | 4.2 | 80.7 |
90A | 101.6 | 4.2 | 93.2 |
100A | 114.3 | 4.5 | 105.3 |
125A | 139.8 | 4.5 | 130.8 |
150A | 165.2 | 5.0 | 155.2 |
175A | 190.7 | 5.3 | 180.1 |
200A | 216.3 | 5.8 | 204.7 |
※上記は代表的な寸法であり、さらに大きな呼び径も規格として存在します。
規格寸法について
SGPの特性
以下は、SGP(炭素鋼鋼管)の機械的特性を表にまとめたものです。SGPはJIS G3452に規定されており、その基準値として以下の特性が一般的です。
SGPの機械的特性(JIS G3452準拠)
項目 | 特性値 | 説明 |
---|---|---|
引張強度 | 290 MPa 以上 | 材料が引張り力に耐えられる最大強度 |
伸び | 30% 以上(公称厚さ < 8mm) | 破断するまでの変形率(延性の指標) |
試験温度 | 室温(20°C) | 上記の特性値は通常室温条件での測定値 |
硬さ(Brinell硬さ) | 約120 HB | SGPの標準的な硬さ(参考値) |
解説
硬さ
Brinell硬さ(HB)で約120程度であり、加工性に優れていることを示します。切削、曲げ、溶接などの作業が容易です。
引張強度
SGPは引張強度290 MPa以上を満たす必要があります。この値は一般的な用途における強度要求を満たしやすく、配管や軽負荷の構造材として適しています。
伸び
30%以上の伸びは、SGPの高い延性を示しており、衝撃や負荷がかかった際に破断せず吸収する能力が高いことを意味します。
SGPの選定ポイント
用途に応じた選択
SGPは主に配管用途に使われますが、機械設計においては次のような用途に適しています。
- 構造材:強度が求められるフレームや支持材
- 配管部品:ガス、水道、エアー配管
- 組立治具:手軽に加工できるため、プロトタイプや治具設計にも便利
表面処理の選択
- 亜鉛メッキ(白管)
- 防錆性能が高く、屋外使用や水分の多い環境に適しています。
- 黒管
- 防錆性が低いものの、コストが抑えられるため、室内用途や塗装仕上げを行う場合に適しています。
加工性
- SGPは比較的柔らかいため、切削、溶接、ねじ切りなどの加工が容易です。
- ただし、亜鉛メッキ品ではメッキ層が溶接に影響を与えることがあるため、加工時の注意が必要です。
強度とコストのバランス
- SGPは高い強度を必要としない部材に最適です。
- 過剰な強度が不要な場合、他の高価な材料よりも低コストで設計可能です。
用途に応じた選定ポイント
- 低強度でも問題ない用途(軽負荷の構造材や配管部品)に最適。
- 必要に応じて亜鉛メッキ(防錆)を施したSGP白管を選ぶことで耐候性が向上。
- 強度や降伏点が必要な場合は、より高強度な材料(STKMやSTKRなど)を検討。
注意事項
SGPは低強度で加工性に優れた材料であるため、過負荷や衝撃が予想される用途では注意が必要です。また、亜鉛メッキ層がある場合、溶接や切削時には健康への影響を防ぐため適切な対策(換気や防護具)が求められます。
SGPのメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
– 配管用途に最適化された規格寸法 | – 高強度材料と比較すると強度や耐荷重性能が劣る |
– 加工性が高く、溶接や切削が容易 | – 黒管は防錆性が低く、塗装や追加処理が必要 |
– 比較的低コストで利用可能 | – 亜鉛メッキ管は溶接時に有害ガスが発生する可能性がある |
– 規格寸法がJISに準拠しており、部品設計との適合性が高い |
まとめ
SGPはその扱いやすさ、コストパフォーマンス、豊富な規格寸法により、配管用途や構造材として機械設計で広く利用されています。選定時には、用途に応じた表面処理の選択や、設計負荷に適した呼び径・肉厚の選定を行うことが重要です。また、加工性に優れるため、プロトタイプや治具設計の際にも有用な材料です。
SGPの使用を検討する際には、他の管材(STKMやSTKRなど)と比較し、必要な強度や環境条件に応じた最適な選定を行いましょう。
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