機械設計では、軸と穴の関係を適切に設計することが重要です。
その中でも、
「部品をしっかり固定したい」ときに使われるのが、しまりばめ(圧入)です。
実務では、
▶ ベアリング固定
▶ ギア固定
▶ 位置決めピン固定
など、さまざまな場面で使用されます。
しかし初心者の方は、
『すきまばめとの違いが分からない』
『どのくらいきつくするのか分からない』
『圧入がなぜ必要なのか理解しにくい』
と悩むことも多いです。
本記事では、機械設計における「しまりばめ(圧入)」の
基本から、メリット・使用例・注意点・実務での考え方までを
初心者向けにわかりやすく解説します。
しまりばめ(圧入)とは?
しまりばめとは、軸の方が穴より少し大きい状態のはめあいです。
そのため、
- 手では入らない
- 押し込む必要がある
- 圧入して固定する
という状態になります。
「圧入」とは?
圧入とは、力をかけて押し込む組立方法です。
例えば、
などがあります。
なぜしまりばめを使うのか?
最大の目的は、部品を強固に固定するためです。
もしすきまばめだったら?
例えば軸と穴に隙間があると、
といった問題が発生します。
しまりばめの特徴
■ 強固に固定できる
最大のメリットです。
圧入することで、
- 抜けにくい
- 動きにくい
- 高い固定力を得られる
ようになります。
■ 高い位置精度を出しやすい
すきまが少ないため、
- 軸ブレが少ない
- 位置ズレが起きにくい
という特徴があります。
■ 部品点数を減らせる
ボルトやキーを使わなくても固定できる場合があります。
そのため、
- 構造を簡略化できる
- コンパクト化できる
というメリットもあります。
しまりばめの代表例
実務では以下のような組み合わせがよく使われます。
| 穴 | 軸 | はめあい |
|---|---|---|
| H7 | p6 | 一般的なしまりばめ |
| H7 | r6 | 強いしまりばめ |
| H7 | s6 | 非常に強いしまりばめ |
まず「H7」って何?
新人が最初につまずきやすいポイントです。
H7とは?
穴の公差記号を表します。
簡単に言うと、
- どのくらいの寸法誤差を許容するか
- 穴をどの範囲で作るか
を示しています。
記号の意味
■ H
→ 公差位置(穴の基準位置)
■ 7
→ 公差等級(精度レベル)
なぜH7が多いのか?
実務では、穴側をH7にするケースが非常に多いです。
理由はシンプル
「迷ったらH7」
と言われるほど一般的です。
よく使う『しまりばめ(圧入)』の種類
ここからは、実務で頻繁に使われる代表的なしまりばめの組み合わせを解説します。
■ H7/p6
代表的な「一般的なしまりばめ」です。
実務では最もよく使われる組み合わせの1つです。
軸公差がプラス側になるため、
確実なしまり(圧入)を確保できます。
- 安定した圧入ができる
- 固定力と組立性のバランスが良い
- 実務で最も使用頻度が高い
『軽く圧入する』
プレスや打込みで組み立てる感覚です。
🔍 使用例
- 位置決めピン(固定側)
- ギア固定
- ベアリング固定
などでよく使われます。
実務での使いやすさ
固定力と加工性のバランスが良いため、
実務では最もよく使われる標準的なしまりばめです。
迷ったらまずH7/p6が検討候補になります。
■ H7/r6
H7/p6よりもしまり量が大きい、
「強めのしまりばめ」です。
固定力をより高めたい場合に使用されます。
- 強い固定力
- 抜けにくい
- 回転ズレを防止しやすい
『かなりきつい』
常温では入りにくいケースもあります。
🔍 使用例
- 高トルク伝達部
- 大型ギア
- 強固な固定が必要な部品
実務での使いやすさ
固定力は高いですが、
『圧入荷重が大きい』『部品へ負荷がかかる』ため注意が必要です。
焼きばめが必要になることもある
H7/r6クラスになると、常温圧入が難しい場合があります。
そのため、
「焼きばめ」を使用するケースもあります。
■ H7/s6
非常に強いしまりばめです。
r6よりさらにしまり量が大きく、
高固定力を目的としたはめあいになります。
- 非常に抜けにくい
- 高トルク伝達向き
- 高い固定力
『かなり強引に入れる』
常温圧入では厳しい場合が多いです。
🔍 使用例
- 大型回転体
- 重荷重部品
- 高トルク機構
実務での使いやすさ
固定力は非常に高いですが、
『加工精度管理』『組立条件管理』が重要になります。
焼きばめが前提になることも多い
H7/s6では、焼きばめを前提にするケースも少なくありません。
焼きばめとは?
例えば、
- 穴を加熱して膨張させる
- 軸を冷却して縮小させる
ことで、一時的に組みやすくする方法です。
p6・r6・s6 の比較表
| 軸公差 | 特徴 | 固定力 | 組立性 |
|---|---|---|---|
| p6 | 標準的なしまりばめ | ○ | ○ |
| r6 | 強めのしまりばめ | ◎ | △ |
| s6 | 非常に強いしまりばめ | ◎◎ | × |
φ100の代表イメージ
| はめあい | H7/p6 | H7/r6 | H7/s6 |
|---|---|---|---|
| 穴 H7 | 100.000-100.035 | 100.000-100.035 | 100.000-100.035 |
| 軸 | 100.037-100.059 | 100.051-100.073 | 100.071-100.093 |
| 最大しまり | 0.059 | 0.073 | 0.093 |
| 最小しまり | 0.002 | 0.016 | 0.036 |
実務で重要なのは「固定力」と「組立性」のバランス
しまりばめでは、「強ければ良い」わけではありません。
きつすぎると…
可能性があります。
実務で最も使いやすいのは?
多くの機械設計では、
が最もバランスが良く、よく使用されます。
しまりばめが使われる場所
- ベアリング固定
- 外輪・内輪の固定。
- ギア、プーリー固定
- 軸との回転ズレ、空転防止。



- 位置決めピン(固定側)
- 基準位置固定。
しまりばめの注意点
■ 圧入しすぎると組立できない
きつすぎると、
可能性があります。
■ 分解しにくい
固定力が高い反面、
というデメリットがあります。
■ 温度変化に注意
熱膨張によって、
が発生することがあります。
実務で重要な考え方
しまりばめ設計では、「固定力」と「組立性」のバランスが重要です。
きつすぎてもダメ
固定力を求めすぎると、
- 現場で組めない
- 圧入荷重が大きすぎる
という問題になります。
ゆるすぎてもダメ
逆に弱すぎると、
- 抜ける
- 回転する
- 位置ズレする
可能性があります。
実務では現場理解が重要
理論上問題なくても、
によって状態は変わります。
そのため、実際の組立や加工を考慮することが非常に重要です。
すきまばめ・しまりばめ・中間ばめの違い
機械設計における「はめあい」は、
軸と穴の寸法関係を表しています。
大きく分けると、
の3種類があります。
■ すきまばめ
軸より穴の方が大きい状態
軸と穴の間に隙間があります。
- スムーズに入る
- 脱着しやすい
- 回転・摺動に向く
🔍 使用例
- 回転軸
- スライド部
- 位置決めピン(組立側)
■ しまりばめ
軸の方が穴より大きい状態
圧入しないと入りません。
- 抜けにくい
- 固定力が高い
- 高精度固定に向く
🔍 使用例
- ギア固定
- ベアリング固定
- 位置決めピン(圧入側)
■ 中間ばめ
すきまにも、しまりにもなる中間状態
寸法公差によって状態が変わります。
- 軽く圧入する場合もある
- ガタを少なくできる
- 高精度組立向け
🔍 使用例
- 高精度軸
- 精密機械
- 位置決め部品
すきまばめ・しまりばめ・中間ばめの違い
機械設計における「はめあい」は、
軸と穴の寸法関係を表しています。
大きく分けると、
の3種類があります。
■ すきまばめ
軸より穴の方が大きい状態
軸と穴の間に隙間があります。
- スムーズに入る
- 脱着しやすい
- 回転・摺動に向く
🔍 使用例
- 回転軸
- スライド部
- 位置決めピン(組立側)
■ しまりばめ
軸の方が穴より大きい状態
圧入しないと入りません。
- 抜けにくい
- 固定力が高い
- 高精度固定に向く
🔍 使用例
- ギア固定
- ベアリング固定
- 位置決めピン(圧入側)
■ 中間ばめ
すきまにも、しまりにもなる中間状態
寸法公差によって状態が変わります。
- 軽く圧入する場合もある
- ガタを少なくできる
- 高精度組立向け
🔍 使用例
- 高精度軸
- 精密機械
- 位置決め部品
まとめ
しまりばめ(圧入)とは、
軸の方が穴より少し大きいはめあいのことです。
主な特徴は、
▶ 強固に固定できる
▶ 位置ズレしにくい
▶ 高い固定力を得られる
という点です。
実務では、
■ H7/p6
などが代表的に使用されます。
ただし、『きつすぎる』『温度変化』『加工誤差』には注意が必要です。
重要なのは、「固定力」と「組立性」のバランスを考えることです。
しまりばめは、機械設計における基本かつ重要な技術です。
単に「きつくする」のではなく、加工・組立・使用環境まで考慮して
設計することが、実務では非常に重要になります。









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