SS400とは?特性・規格・他材料との比較から選定ポイントまで徹底解説!

材料選定

SS400は、構造用鋼材の中でももっとも使用頻度の高い材料のひとつです。建築、機械部品、治具、架台、フレームなど、あらゆる分野で使われており、コスト・加工性・入手性に優れた万能型の鋼材です。

この記事では、過去に取り上げた以下の記事を総合的にまとめ、SS400の理解を深めるためのガイドとして提供します。


SS400の特性と材料選定のポイント

SS400は、JIS G3101に規定される一般構造用圧延鋼材です。大きな特長として以下が挙げられます。

  • 引張強さ:400〜510 N/mm²程度
  • 降伏点:245 N/mm²程度(板厚による)
  • 溶接性・加工性:良好
  • 価格:安価でコストパフォーマンスに優れる
  • 熱処理性:不可(焼入れ・焼戻しにより硬度向上は不可)
はじめ
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したがって、熱処理不要な構造部材や強度をそれほど要求しない部品に適しています。


SS400の特性と材料選定のポイントについての詳細記事はこちら

SS400の平鋼の規格寸法と把握

SS400の「平鋼(フラットバー)」は、幅×厚みのサイズ展開が豊富です。たとえば以下のような規格が一般的です:

  • 厚み:3mm〜25mm程度
  • :13mm〜150mm程度

また、寸法にはある程度の公差がありますが、精密さは求められない用途向けのため、図面に直接使う際は注意が必要です。

はじめ
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部品化する際は仕上げ加工を前提にするのが一般的です。


SS400の平鋼の規格寸法と把握についての詳細記事はこちら

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SS400のミガキ材と黒皮材の違い

SS400には、表面仕上げ方法の違いによって以下のような分類があります。

種類特徴寸法公差用途
黒皮材熱間圧延後スケールあり精度は粗め架台、溶接構造
外装に使わない部品
ミガキ材冷間圧延または引抜き
仕上げ、表面が滑らか
h13程度のマイナス公差ベースプレート、外観部品
加工前素材など

精度や外観が求められる場合はミガキ材、コストと溶接性重視なら黒皮材を選ぶという使い分けが基本です。


SS400のミガキ材と黒皮材の違い

【SS400】【S45C】徹底比較!どっちを使う?【生材比較】

SS400とS45C(機械構造用炭素鋼)は用途や性能が異なります。

項目SS400S45C
強度中程度(引張400〜510N/mm²)高い(引張570〜700N/mm²程度)
熱処理不可可(焼入れ・焼戻しにより硬度向上)
加工性良好やや硬くなるが加工性も良好
コスト安価やや高価
はじめ
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精密機械部品や軸物など強度・硬度が必要な場合はS45C
汎用構造材にはSS400が適しています。


SS400とS45Cの比較についての詳細記事はこちら

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SS400とSUS304の違いと使い分け【コスト・錆び・加工性】

SS400は鉄ベースの鋼材であり、錆びるのが最大の弱点です。
一方でSUS304はオーステナイト系ステンレス鋼で、耐食性が非常に高いです。

項目SS400SUS304
錆び錆びる(要塗装)錆びにくい(無塗装可)
加工性良好加工硬化しやすいが切削は可能
溶接性良好良好(ただし熱変色に注意)
コスト安価高価(2~4倍)

屋外や水回り、食品機械など腐食リスクがある環境ではSUS304が必須。
一方でコスト重視の室内構造物などにはSS400が適します。


SS400とSUS304の違いと使い分けについての詳細記事はこちら

SS400とアルミ合金(A5052など)の違いと使い分け【比重・剛性・コスト】

SS400は比重7.85、A5052は比重2.68で圧倒的にアルミが軽量です。
しかし、剛性(ヤング率)ではSS400が3倍程度高いため、剛性設計には注意が必要です。

項目SS400A5052
比重7.852.68
ヤング率約200GPa約70GPa
コスト安価やや高い(2倍程度)
加工性優れる優れる
錆び錆びる耐食性良好

軽量化が求められる構造物にはアルミが向いていますが、同じ板厚で考えると剛性が不足しやすいため、厚みや補強設計が必要です。


SS400とアルミ合金の違いと使い分けについての詳細記事はこちら

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【剛性比較】軽量化と剛性のバランス【SS400】【A5052】

A5052とSS400を比較した場合、同じ寸法では剛性不足になるケースが多いため、「軽量化=材料をアルミに変更」ではなく、設計変更(リブ追加・断面増加)を同時に行うことが重要です。

たとえば、SS400のフレームをそのままアルミで置き換えると、振動が大きくなったりたわみ量が増えたりして、設計要件を満たせなくなる可能性があるため要注意です。


軽量化と剛性のバランスについての詳細記事はこちら

まとめ:SS400を使いこなすには「特徴」と「代替材との比較」がカギ!

SS400はコスト、加工性、入手性に優れた万能材料ですが、万能であるがゆえに「適材適所で選ぶ知識」が重要です。

以下のポイントを押さえましょう。

外観や精度が必要ならミガキ材、溶接構造なら黒皮材
高強度・焼入れが必要ならS45C
耐食性が必要ならSUS304
軽量化が必要ならA5052(ただし剛性に注意)

SS400の理解は、他材料との違いを知ることでさらに深まります。材料選定の際には、用途・性能・コストのバランスを総合的に考慮することが重要です。


はじめ
はじめ

設計において欠かせない材料の特性や用途を解説しています。
適材適所の選定をサポートします。

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