【鉄パイプ】STKM13Aの規格寸法と選定ポイント【STKM】

材料選定

STKM(Steel Tube K(構造) Machine)は、機械構造用炭素鋼管として広く使用される材料です。優れた加工性とコストパフォーマンスにより、多くの機械設計で採用されています。本記事では、STKMの代表的な種類や特性の違い、主にSTKM13Aの外径と肉厚の規格寸法について解説します。


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STKMとは

STKMはJIS G3445規格に準拠した材料で、主に機械構造部品やパイプフレームに使用されます。その特徴として以下が挙げられます。

軽量で強度が高い

✅中空構造のため、軽量化と高剛性を両立。

加工性に優れる

✅曲げ、溶接、切削加工が容易。

規格が明確

✅外径や肉厚の規格が豊富で設計自由度が高い。

代表的なSTKMの種類と特徴

STKMは強度、加工性、成形性などの特性によっていくつかのグレードに分類されます。以下に主な種類とその特徴を示します。

種類主な用途特徴
STKM11A軽負荷構造部品、配管最も加工性が良く、一般的な用途に広く使用される。
STKM13A中負荷の構造部品、シャフト加工性と強度のバランスが良い。
STKM13B高負荷の機械部品、構造体13Aよりも引張強度が高く、耐久性に優れる。
STKM13C高負荷で衝撃が加わる部品高い強度を持ち、耐衝撃性が要求される部品に使用される。

製管方法の違い

STKM鋼管は、以下の製管方法に応じて特性が異なります。

継ぎ目なし管(シームレス管)

特徴

  • 製造工程に溶接を含まないため、均一な強度と優れた圧力耐性を持つ。

🔍用途:高圧配管、精密機械部品、シャフトなど。

📌製造方法:熱間押出法や冷間引抜き法など。

電気抵抗溶接管(ERW管)

特徴

  • シームレス管よりも安価で、均一な厚さと形状精度が得られる。

🔍用途:構造部材、配管用途。

📌製造方法:電気抵抗溶接(ERW)を用いて板材を溶接し、円筒形に成形。


仕上げ方法の違い

製造後の仕上げ工程によって、鋼管の表面状態や特性が異なります。

  1. 熱間仕上げ(Hot Finished)
    • 特徴:粗い表面仕上げであるが、コストが低い。加工前提で使用されることが多い。
    • 用途:建築や機械部品での下地材として使用。
  2. 冷間仕上げ(Cold Finished)
    • 特徴:寸法精度や表面仕上げが優れ、強度が向上する。
    • 用途:シャフト、精密機械部品など、寸法精度が重要な部品。

選定のポイント

強度と加工性のバランス

部品にかかる負荷や要求される耐久性に応じて、適切なSTKMの種類を選択します。

製管方法の選択

高い圧力や負荷が予想される場合はシームレス管を、コストを抑えたい場合はERW管を選ぶと良いでしょう。

仕上げ方法の選択

寸法精度が求められる部品では冷間仕上げを選択しますが、大まかな形状で十分な場合は熱間仕上げを使用します。

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STKM13Aの特性について

一般的に使用頻度が高く流通量も多いSTKM13Aについての特性と規格寸法についてまとめました。

STKM13Aは、耐久性と加工性のバランスが良く、多くの機械設計において適切な材料選定となります。設計要件に応じて、他のSTKMの種類と比較しながら選択してください。

以下は、STKM13Aの特性を表にまとめたものです。

項目詳細
規格JIS G3445
材質名機械構造用炭素鋼管
主な用途シャフト、建築用構造材、産業機械など
強度引張強度と降伏点が標準的なバランスで、加工性と耐久性を両立している。
製管方法電気抵抗溶接(ERW)
シームレス(継ぎ目なし)
仕上げ方法熱間仕上げ、冷間仕上げ(選択可能)
引張強度 (N/mm²)370以上
降伏点 (N/mm²)215以上
伸び (%)30以上(鋼管の肉厚による)
溶接性良好(一般的な溶接作業が可能)
加工性冷間加工、切削加工に適している。
耐圧性高い(シームレス管の場合、さらに向上)
主な特徴– 軽量化と高い加工性
– 中程度の強度で幅広い用途に対応
– コストパフォーマンスに優れる

STKM13Aの選定ポイント

  1. 用途に応じた強度の確認
    中程度の強度であるため、高負荷部品には向かないが、多用途に使いやすい。
  2. 仕上げ方法の選択
    精密な寸法が必要な場合は冷間仕上げを選び、コスト重視の場合は熱間仕上げを使用。
  3. 製管方法の選択
    高い耐圧性が必要な場合はシームレス管を選択し、一般的な構造材にはERW管を使用。

STKM13Aの規格寸法

以下にSTKM13A(熱間圧延・シームレス管)の代表的な規格寸法(外径および肉厚)をまとめます。STKM13Aは、JIS G3445に準拠した機械構造用炭素鋼管の一つで、強度が求められる機械部品や構造部品に使用されることが多い材料です。

STKM13Aの外径と肉厚の規格寸法表 [単位:mm]

外径肉厚
27.2568
31.83.23.5455.5678
3455.566.478910
38.13.23.544.555.5678910
404567810
42.75.566.4789101215
453.544.5567891012
48.65.567.18910111215
50.83.54567891011121518
54456789101215
5545678101215
575678910111215
60.56788.710111213151820
63.53.2455.56789101215
65456781012151820
703.545678910111213151820
7356781012151820
76.3899.5101112131415182025
8056789101215182025
82.65678101215182025
855678101215182025
89.1678910121314151618202225
9568101215182025
9681012151820
101.68910111212.71415182022253035
10567810121518202530
110567891012151820253035
114.381011.11213.515182022253035
1205678101215182022253035
1274.55678101112151820253035
13056781012151820253035
1357810121520253035
139.810111212.71515.9182025303540
1468101215202530
150810121520253035
152.4567810121518202530354045
15481215202530
1598101215182025303540
165.28101214.31518.2202530354045
168.3810121520253035
177.86810121518202530354045
1808101215182025303540
185810121520253035
190.767810111215182025303540
193.781012152025303540
2038121520253035
2058101215182025303540
216.318.22023253035404550

規格寸法における留意点

📌肉厚の選定

  • 必要な強度や剛性に応じて、適切な肉厚を選定します。
  • 厚肉管ほど高い強度を発揮しますが、重量が増加するため注意が必要です。

📌加工性

  • 曲げ加工や溶接加工を行う場合は、適切な外径と肉厚の組み合わせを確認し、加工時のひずみや溶接性に配慮します。

📌設計効率

  • JIS規格に準じた寸法を利用することで、在庫材から迅速に部品製作が可能となり、コスト削減にもつながります。
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材料選定時のポイント

STKMの種類や寸法を選ぶ際には、以下の点を考慮することが重要です。

強度と用途のバランス

✅強度が必要な部品にはSTKM13Cのような高強度材を選定。
✅軽量化が求められる場合にはSTKM11Aが適します。

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加工性と精度

✅曲げや溶接加工が多い場合、STKM11Aの選択が適切。
✅高精度を求める場合には冷間引抜加工品を選びます。

コストと入手性

✅規格寸法に合わせた材料を選定することで、加工コストと廃材を削減できます。
✅必要な材料が在庫として市場に流通しているかも確認が重要です。

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使用例と応用

  • フレーム設計
    機械フレームにおいて、STKM13Bや13Cを使用することで剛性と耐久性を確保。
  • シャフトやパイプ構造
    STKM13Aを使用し、加工精度が求められる構造部品を製作。
  • 軽量化設計
    STKM11Aを採用することで、軽量かつ低コストな設計が可能。

STKMとSGPの違いと使い分け

鉄パイプは機械設計において幅広い用途で使用される基本材料の一つです。その中でも代表的な種類としてSTKM(機械構造用炭素鋼鋼管)とSGP(配管用炭素鋼鋼管)が挙げられます。これらの材料は似ているようで用途や特性が異なり、適切な選定が重要です。本記事では、それぞれの違いや使い分けについて解説します。


STKMとSGPの概要

項目STKMSGP
規格JIS G3445JIS G3452
用途機械構造部品、動力伝達部品、精密機器流体配管、軽負荷構造材
製管方法継目無鋼管(シームレス)
または電気抵抗溶接鋼管
電気抵抗溶接鋼管
機械的特性高い(引張強度、降伏点が明確)比較的低い(汎用用途向け)
寸法精度高い(外径や肉厚のばらつきが少ない)標準的(流体用途として十分)
価格高い低い

STKMの特徴

STKMは機械構造用鋼管として、強度や精度が求められる設計に適しています。

主な特徴

  1. 高強度:機械的特性が規定されており、引張強度や降伏点が高い。
  2. 寸法精度の高さ:加工精度が重要な部品に最適。
  3. 種類の多様性:STKM11A、13A、13B、13Cなど、強度や加工性に応じた選択が可能。
  4. 仕上げ方法:熱間仕上げ、冷間仕上げがあり、表面の仕上がりや寸法精度に影響。

🔍用途

  • 機械部品:シャフト、フレーム、ピストンロッドなど。
  • 動力伝達部品:回転軸や駆動部。
  • 精密機器:精度の高い部品に使用。

SGPの特徴

SGPは主に配管用鋼管として、流体を輸送する用途で使われます。

主な特徴

  1. 加工性に優れる:切断や溶接が容易で汎用的。
  2. 低価格:コストパフォーマンスが高く、大量使用に向く。
  3. 防錆性の向上:亜鉛メッキ(白管)が施されたものは耐候性が高い。

🔍用途

  • 配管:水道管、ガス管、油圧配管。
  • 軽負荷の構造材:簡易フレームやサポート材。

STKMとSGPの使い分け

選定ポイントSTKMを選ぶべき場合SGPを選ぶべき場合
強度が必要か高い強度が必要な場合(動力部品や機械部品)強度がそれほど求められない場合
寸法精度高精度が必要な場合(精密機器や加工部品)標準的な精度で問題ない場合(配管用途)
コスト優先か強度と精度が優先でコストより品質を重視コストパフォーマンスを重視する場合
加工性機械加工が必要な場合切断や溶接が中心で容易に加工できる場合
用途機械構造、精密部品配管、簡易フレーム、軽負荷の構造材

STKMは、強度や精度が必要な機械部品に適しており、設計自由度が高い反面、コストが高めです。
SGPは、コストパフォーマンスに優れた配管や軽負荷構造材に最適で、防錆性の向上が期待できます。


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STKMとSTKの違いと使い分け

鉄パイプは多様な機械設計の場面で使用される基本的な材料ですが、その種類によって特性や用途が異なります。代表的なものにSTKM(機械構造用炭素鋼鋼管)とSTK(一般構造用炭素鋼鋼管)があります。これらは似た名称ながら異なる特性を持つため、適切な使い分けが求められます。本記事では、それぞれの違いや選定ポイントについて解説します。


STKMとSTKの概要

項目STKMSTK
規格JIS G3445JIS G3444
用途機械構造部品(精密部品や動力部品)建築構造材、軽負荷の機械構造材
機械的特性高い(引張強度、降伏点が規定される)比較的低い(許容範囲が広い)
製管方法シームレス(継目無鋼管)
または電気抵抗溶接鋼管
電気抵抗溶接鋼管
寸法精度高い(外径や肉厚のばらつきが少ない)標準的(建築や大型構造材として十分)
コスト高い低い

STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)

特性

  1. 高い機械的特性
    • 引張強度や降伏点が規定されており、強度や安全性を重視する機械設計に適しています。
  2. 寸法精度の高さ
    • 加工や組み立てにおいて厳しい精度が求められる場合に有利です。
  3. 種類の多様性
    • STKM11A、13A、13B、13Cなどがあり、用途に応じた選択が可能。
  4. 仕上げ方法
    • 熱間仕上げ(高い強度が必要な場合)
    • 冷間仕上げ(寸法精度が必要な場合)

🔍用途

  • 機械部品:シャフト、フレーム、ピストンロッド。
  • 動力伝達部品:回転軸や駆動部。
  • 精密機器:高精度を必要とする機械部品。

STK(一般構造用炭素鋼鋼管)

特性

  1. 加工性に優れる
    • 切断や溶接が容易で、大型構造材や建築用途に適しています。
  2. 機械的特性の許容範囲が広い
    • 高い精度を必要としない用途で十分な性能を発揮します。
  3. コストパフォーマンスが高い
    • 材料コストが低く、大量使用にも適しています。

🔍用途

  • 建築用途:パイプフレーム、足場、建物の補強材。
  • 軽負荷の構造材:自動車部品の一部や簡易機械部品。
  • 配管用途:強度をそれほど必要としない流体輸送管。

STKMとSTKの使い分け

選定ポイントSTKMを選ぶべき場合STKを選ぶべき場合
強度が必要か高い強度が必要な場合(機械部品や動力伝達部品)標準的な強度で十分な場合(建築や軽負荷構造材)
寸法精度が重要か高精度が必要な場合(精密機器や加工部品)寸法精度がそれほど重要でない場合
用途機械構造部品、シャフト、フレーム建築構造材、足場、軽負荷の配管
コスト重視か品質重視でコストが二次的要素の場合コストパフォーマンスを最優先する場合

製管方法の違い

  1. シームレス(継目無鋼管)
    • 使用:STKMのみ。
    • 特徴:素材の均一性に優れ、強度や耐圧性が高い。精密機器や高負荷部品に最適。
  2. 電気抵抗溶接鋼管
    • 使用:STKMとSTKの両方。
    • 特徴:コストが低く、汎用的。建築用途や配管用途に適しています。

STKMは、強度や精度が求められる機械設計や動力部品に適しており、機械的特性が規定されているため安心して使用できます。
STKは、強度がそれほど必要ない建築用途や軽負荷構造材に最適で、コストパフォーマンスに優れています。

はじめ
はじめ

用途に応じて適切な材料を選定することで、設計の品質向上とコスト削減を両立できます。設計段階でこれらの特性を十分理解し、最適な選定を心がけましょう。

まとめ

STKMは、種類ごとの特性と規格寸法の豊富さから、機械設計で幅広く利用される材料です。設計時には、使用条件や加工方法、コストを考慮し、適切なSTKMの種類と規格寸法を選定することが求められます。特にJIS規格寸法を基準にした設計は、効率的でコストパフォーマンスの高い製品開発に寄与します。


はじめ
はじめ

設計において欠かせない材料の特性や用途を解説しています。
適材適所の選定をサポートします。

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