【角パイプ】STKRの規格寸法と選定ポイント【箱型断面】

材料選定

角パイプ(STKR)は、強度や剛性が求められる構造物やフレーム部品に多く使用される材料です。形状が正方形または長方形であることから、「角形鋼管」や「角パイプ」とも呼ばれます。本記事では、角パイプの基本的な規格寸法や特性、選定ポイントについて解説します。

角パイプ規格寸法

以下は、角パイプの正方形および長方形の代表的な規格寸法の一覧です。具体的な寸法はメーカーや製造条件によって異なる場合がありますので、参考値としてご活用ください。

代表的な角パイプの規格寸法表

正方形断面(単位:mm)

外寸(幅 × 高さ)肉厚(t)備考
16 × 161.21.6小型部品や軽量用途
20 × 201.62.3軽量構造物向け
25 × 251.21.62.3汎用フレーム構造
30 × 301.62.33.2設備フレームや装置に適用
40 × 401.62.02.33.24.5中荷重構造物向け
50 × 501.62.33.24.56汎用性が高い用途に適用
60 × 601.62.33.26
75 × 752.33.24.56高剛性フレーム向け
80 × 802.33.24.5
90 × 902.33.2
100 × 1002.33.24.569重量物用の構造体向け
125 × 1253.24.569
150 × 1504.569

長方形断面(単位:mm)

外寸(幅 × 高さ)肉厚(t)備考
40 × 201.21.62.33.2軽量構造物向け
50 × 301.62.33.2中程度の荷重用途
60 × 301.62.33.2中荷重のフレームや装置
75 × 452.33.2中荷重用途で汎用的
100 × 502.33.24.56剛性を重視する用途
125 × 752.33.24.56重荷重構造物向け
150 × 502.33.2大型機械のフレーム
150 × 753.24.56
150 × 804.56
150 × 1003.24.569

使用上の注意点

設計強度の確認
肉厚によって曲げ剛性や耐荷重が異なります。必要な強度や剛性を確認して選定してください。

  1. 溶接性と加工性
    肉厚が薄い場合、溶接時に変形が生じやすい点に注意しましょう。
  2. 寸法公差
    製造時の寸法公差(幅、高さ、肉厚)があるため、設計においては余裕を持たせる必要があります。
  3. 腐食対策
    屋外や腐食環境で使用する場合は、表面処理(防錆塗装やメッキ)を施すことを検討してください。

角パイプ(STKR)の基本特性

STKRは「Steel tube K Rectangular」の略で、日本工業規格(JIS G 3466)で定義された構造用角形鋼管です。以下は主な特性です。

  • 高い剛性
    中空構造により軽量でありながら、優れた曲げ剛性とねじり剛性を持っています。
  • 加工性
    切断、溶接、穴あけ、曲げ加工が容易で、多様な形状設計に対応可能。
  • コストパフォーマンス
    汎用性が高く、他の構造用材料と比較して安価。
  • サイズの多様性
    規格化された寸法が豊富に用意されており、設計の自由度が高い。

STKRの規格と寸法

JIS G 3466に基づく角パイプには、さまざまなサイズが規格化されています。以下はその例です:

標準的な断面寸法と肉厚

  • 角形(正方形):断面寸法が等しい
    例:50×50 mm、100×100 mm
  • 長方形:断面寸法が異なる
    例:50×100 mm、75×150 mm

肉厚(t)

  • 一般的には2.3 mm、3.2 mm、4.5 mmなどが標準的。
  • 用途に応じて、薄肉(軽量化目的)から厚肉(高負荷対応)まで選択可能。

長さ

  • 標準長さは6,000 mmが多いが、特注で異なる長さも可能。

材質

STKR材質の例:

  • STKR400:引張強度400 MPa以上
  • STKR490:引張強度490 MPa以上
    強度が異なる材質が用意されており、用途に応じた選定が可能。

角パイプの選定ポイント

角パイプを選定する際には、以下の要素を考慮します:

必要な強度と剛性

  • 構造物の使用環境や荷重条件に応じて、STKR400やSTKR490などの適切な材質を選択します。
  • 静的荷重動的荷重の条件を評価し、断面積や肉厚を決定します。

軽量化の必要性

  • 軽量化が重要な場合は、肉厚を薄くするか、長辺と短辺の比率を調整します(例:長方形断面)。
  • 軽量化により、材料費の削減や取り扱いの容易化が期待できます。

加工性

  • 溶接部の強度を確保する必要がある場合、適切な溶接性を持つ材質を選びます。
  • 穴あけや曲げ加工が多い場合、加工性の良いSTKR400を採用すると効率的です。

コストパフォーマンス

  • 材料費と加工費のバランスを考慮し、必要以上に高強度の材料を選ばないようにします。

環境条件

  • 屋外使用や腐食環境では、表面処理(防錆塗装やメッキ)が必要になる場合があります。
  • 耐候性を考慮して選定することが重要です。

角パイプの用途例

角パイプは、以下のような用途で幅広く使用されています:

  1. フレーム構造
    • 機械のフレームや支柱として使用され、剛性が求められる部分で活躍。
  2. 建築構造物
    • ビルや倉庫の骨組みとして採用。
  3. 輸送機器
    • トラックの荷台や自転車のフレームなど。
  4. 治工具や架台
    • 生産設備や実験装置の架台として利用。

まとめ

角パイプ(STKR)は、機械設計や建築設計において非常に汎用性の高い材料です。規格化された寸法と材質が豊富であるため、用途に合わせた最適な選定が可能です。
選定時には、強度、加工性、軽量化、環境条件などを総合的に評価し、適切な断面寸法と材質を選びましょう。また、防錆対策や表面処理の計画も重要なポイントです。角パイプを効果的に活用することで、設計の効率と信頼性を向上させることができます。

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