SUS304は、ステンレス鋼の中で最も一般的に使用される
オーステナイト系ステンレス鋼で、
優れた耐食性、耐熱性、加工性を持つため、
多くの機械設計や設備、建築、産業用部品に採用されています。
SUS304の材料形状としては、薄板(シート・プレート)や
平鋼(フラットバー)などがあり、
それぞれの種類に応じて使用用途や選定ポイントが異なります。
ここでは、SUS304の薄板について詳しく解説し、
選定時のポイントも紹介します。
SUS304薄板の『価格感覚』について
SUS304薄板を使いたい設計者へ:まずは「価格感」を知ろう!
なぜ価格感が重要?
SUS304の薄板材には、表面仕上げや面粗さの違いにより
「No.1」「2B」「#400片面研磨」といった種類がありますが、
設計時にはまず「どれくらいコストがかかるのか」を把握することが大切です。
特に、後から予算調整で材料を変えると、
仕上げや納期にも影響しますので、
早めの段階で価格感を掴んでおくと安心です。
ミスミでの価格例(SUS304薄板)
2025年8月(現在)のミスミで購入できるSUS304(薄板)の価格になります。
| 2B(1000mm×1000mm) | #400片面研磨/2B(1000mm×1000mm) | ||||
| 板厚 | 価格(税別) | 材料単価 (/kg) | 板厚 | 価格(税別) | 材料単価 (/kg) |
| 1mm | ¥14,012 | \1,767 | 1mm | \15,676 | \1,977 |
| 1.2mm | ¥16,200 | \1,702 | 1.2mm | \18,195 | \1,912 |
| 1.5mm | ¥19,393 | \1,630 | 1.5mm | \21,719 | \1,826 |
| 2mm | ¥24,524 | \1,546 | 2mm | \27,552 | \1,737 |
| 2.5mm | \29,576 | \1,492 | 2.5mm | \33,295 | \1,679 |
| 3mm | \34,697 | \1,458 | 3mm | \39,108 | \1,644 |
| 4mm | \45,959 | \1,449 | 4mm | \52,978 | \1,670 |
| 5mm | \56,102 | \1,415 | 5mm | \65,121 | \1,642 |
| 6mm | \66,444 | \1,396 | 6mm | \77,143 | \1,621 |
| No.1(1000mm×1000mm) | #400片面研磨/No.1(1000mm×1000mm) | ||||
| 板厚 | 価格(税別) | 材料単価 (/kg) | 板厚 | 価格(税別) | 材料単価 (/kg) |
| 3mm | \34,777 | \1,462 | |||
| 4mm | \45,859 | \1,446 | |||
| 5mm | \56,232 | \1,418 | |||
| 6mm | \66,404 | \1,396 | |||
| 8mm | \89,179 | \1,406 | 8mm | \105,934 | \1,670 |
| 9mm | \100,612 | \1,410 | 9mm | \118,286 | \1,657 |
| 10mm | \129,120 | \1,628 | 10mm | \149,894 | \1,890 |
| 12mm | \153,314 | \1,611 | 12mm | \178,541 | \1,876 |
| 14mm | \177,558 | \1,599 | 14mm | \206,978 | \1,864 |
| 16mm | \202,102 | \1,593 | 16mm | \234,725 | \1,850 |
設計者へのアドバイス
最初から「仕上げ」や「厚さ」を決めず、
「このくらいの価格感か」を把握しておくことで、
設計選定に柔軟性が持てます。

価格感を持っておくことで、
材料仕様の選定やバランス判断がしやすくなります。
SUS304薄板の種類について
No.1仕上げ
No.1仕上げの特徴
No.1仕上げは、熱間圧延過程を経た後に、
熱処理(焼鈍)および酸洗いを行った、粗い表面を持つ仕上げです。
表面には酸化スケールが除去された状態ですが、光沢はほとんどありません。
No.1仕上げのメリット
コストが比較的低く、厚板にも対応した強靭な素材。
No.1仕上げのデメリット
見た目が粗く、美観が必要な用途には適さない。
2B仕上げ
2B仕上げの特徴
2B仕上げは、冷間圧延された後、熱処理と酸洗いを施し、
さらに軽く焼き戻しした仕上げ。
表面は銀白色で、ややマットな光沢があります。
2B仕上げのメリット
コストパフォーマンスが良く、広範囲な用途に適する。
2B仕上げのデメリット
光沢がBA仕上げより低く、鏡面仕上げほどの美観はない。
#400仕上げ
#400仕上げの特徴
#400仕上げは、研磨加工により明るく磨かれた仕上げで、
一般的には流通している中で比較的高い光沢を持ちます。
鏡面に近い滑らかさを持つ場合もあり、精密な仕上がり。
#400仕上げは片面研磨材として利用されることが多い。
#400仕上げのメリット
高い光沢と滑らかな表面で、洗練された見た目が得られる。
SUS304の耐食性と#400仕上げの美観が両立
#400仕上げのデメリット
表面が傷付きやすく、美観を維持するためのメンテナンスが必要。
#400仕上げは片面研磨材として広く使用される理由
#400仕上げは、ステンレス材の中でも特に
片面研磨材として多く使用されている定番仕様です。
この仕上げは、
片面に鏡面に近い光沢を持つ研磨加工(#400番手)が施されており、
もう片面は未研磨のまま。
そのため、外観を重視する面だけを見せる用途に最適で、
コストを抑えながら美観を確保できます。
🔍 主な用途例
このように、SUS304 #400仕上げは「見せる面」と
「加工する面」を分けて使える合理的な材料として、
機械設計や製造現場で広く採用されています。
HL仕上げ(ヘアライン)
HL仕上げの特徴
HL仕上げは、縦方向に連続した細かい
研磨模様が施されており、絹のような質感が特徴。
規則的なラインがあることで、落ち着いた印象を与えます。
HL仕上げのメリット
美しいラインのため、高級感やデザイン性が高くなる。
HL仕上げのデメリット
加工工程が増えるため、コストが高くなる可能性があり、
製造難度が上がる場合があります。
SUS304薄板の選定ポイント
① 使用環境を考慮する
まず最初に考えるべきは「どんな環境で使うか」です。
- 屋内装置や一般環境なら
- 2B仕上げで十分。
- 屋外や水分が多い環境なら
- #400やHL仕上げがより適しています。
(表面が緻密で汚れにくい)
- #400やHL仕上げがより適しています。
- 溶接や加工を多く行う構造部品なら
- No.1仕上げがコスト面で有利です。
特に食品機械や医療機器などでは、清掃性や耐食性も重要なため、
2Bまたは#400仕上げが選ばれることが多いです。
② 美観の要求レベルを考える
部品が見える位置にあるかどうかも大きな判断基準になります。
③ コストとのバランスを取る
仕上げがきれいになるほど、
研磨や加工の工程が増え、コストも上がります。
おおまかな価格感(同板厚での比較)は以下の通りです。
No.1 < 2B < HL < #400
設計段階では、
「必要な性能を満たしつつ、できるだけ安価にする」ことが基本です。
そのため、
といったように、用途によって使い分けるのが現実的です。
適材適所の選び方まとめ
| 用途 | 推奨仕上げ | 理由 |
|---|---|---|
| 構造フレーム・ブラケット | No.1 | 強度重視、外観不要、コスト安 |
| 一般カバー・ブラケット | 2B | 加工性と耐食性のバランスが良い |
| 外観パネル・デザインカバー | HL | キズが目立ちにくく美観◎ |
| 装飾部・見える部分 | #400 | 高光沢で高級感がある |
SUS304薄板は、仕上げ種類によって「見た目」「耐食性」「コスト」が大きく変わります。
使用環境・見た目・コストの3点をバランスよく考慮し、
設計段階で最適な仕上げを選ぶことが、長寿命で美しい製品づくりにつながります。

これらの仕上げの特性を理解することで、
最適なステンレス板を選び、求められる性能や見た目を持つ製品を
効率的に設計することが可能になります。
SUS304の種類と仕上げの選定がコストや生産性に与える影響
機械設計の材料選定において、
SUS304は優れた耐食性や強度を持つ汎用ステンレス鋼として
多くの設計者に利用されています。
2B仕上げ、#400仕上げ、No.1、HL仕上げ(ヘアライン)
といった多様な種類や仕上げがあり、
それらの特性を把握することが設計コストや生産性に大きく影響します。
適切な選定を行うことで、無駄な加工コストや生産トラブルを防ぐことができます。
SUS304の種類と仕上げの概要
| 種類/仕上げ | 特徴 | 適用例 |
|---|---|---|
| 2B仕上げ | 冷間圧延後の標準仕上げ。滑らかで艶消し。 | 一般産業機械 |
| #400仕上げ | 鏡面に近い光沢仕上げ。見た目が美しい。 | 装飾部品、建築部材 |
| 酸洗材(No.1仕上げ) | 熱間圧延後に酸洗処理した粗い表面。 | 溶接用素材、構造材 |
| HL仕上げ(ヘアライン) | 高級感やデザイン性が高い。 | 装飾部品、家電製品 |
各種類・仕上げがコストや生産性に与える影響
仕上げの選定が生産性に及ぼす影響
滑らかで表面品質が良好なため、
追加加工が不要な場合が多く、生産性を向上させます。
🔍 例)
食品機械や化学装置の内部パーツでは、
2B仕上げをそのまま使用することで加工工程を削減できます。
見た目が重要な部品に最適ですが、コストが高く、
表面を傷つけないよう取り扱いが慎重になります。
🔍 例)
装飾用部品で#400仕上げを選定しないと、
後から研磨処理が必要になるため、結果的にコストが増加します。
選定時の注意点
用途に応じた選定
用途に応じて必要な強度、耐食性、表面品質を正確に評価し、
最適な種類・仕上げを選定することが重要です。
🔍 例)
- 製品外観が不要な部品では、No.1(酸洗材)を使用してコストを削減。
- 外観や精度が重要な部品では、#400仕上げや2B仕上げを選定。
在庫と調達の効率性
材料在庫の管理や調達リードタイムを考慮し、
一般的に流通している仕様を優先することで、生産遅延を防ぎます。
具体例:SUS304の選定と仕上げの影響
- 食品加工機械
- 使用材料:#400仕上げ・2B仕上げ
- 理由:表面の滑らかさが重要で、衛生面で有利。
- 追加加工不要で生産効率向上。
- 工場配管フランジ
- 使用材料:No.1(酸洗材)
- 理由:外観を気にしない場合は、安価な酸洗材を選定。
- 必要に応じて追加処理を実施。
- 建築装飾用パネル
- 使用材料:#400仕上げ・HL仕上げ(ヘアライン)
- 理由:外観が重要なため、光沢のある#400仕上げを選定。
SUS304の種類と仕上げを正確に把握し、
用途や予算に応じて最適な選定を行うことは、
設計や生産の効率化に直結します。
特に、必要以上に高精度な材料や仕上げを選定すると
コストが増加し、生産性が低下するリスクがあります。

設計初期の段階で、使用条件に最も適した種類と
仕上げを選ぶことが、最終的なプロジェクトの成功につながるでしょう。
まとめ
SUS304の平鋼と板は、それぞれ特有の特徴を持ち、
使用される用途に応じて選定することが重要です。
機械設計においては、耐食性や加工性を考慮しながら、
目的に応じて適切な形状を選び、
製品の性能や寿命を最大限に引き出すことが求められます。
例えば、精度が要求される機械部品には平鋼を、
軽量化や曲げ加工が必要な部品には板を、
強度が求められる圧力容器や重機部品には
平鋼を使用するといった使い分けが効果的です。



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