【高性能】フッ素ゴム(FKM)の特性と選定ポイント【FFKM】

材料選定

機械設計において、ゴム材料の選定は環境や用途に応じた適切な特性を持つものを選ぶことが重要です。その中でもフッ素ゴム(FKM)は、耐熱性・耐薬品性・耐油性に優れた高性能ゴムとして、多くの厳しい環境で使用されています。

本記事では、フッ素ゴムの特性や選定ポイントについて、初心者にもわかりやすく解説します!

フッ素ゴム(FKM)とは?

フッ素ゴム(FKM)は、フッ素を含む合成ゴムの一種で、耐熱性・耐薬品性・耐油性に優れた特性を持ちます。そのため、一般的なゴムでは対応できない過酷な環境で広く使用されています。

✅ 主な用途

✔ Oリング、ガスケット
✔ シール材
✔ 燃料ホース
✔ 自動車部品
✔ 化学プラント設備

フッ素ゴムの主な特性

耐熱性が非常に高い

フッ素ゴムは、約 -20℃~200℃の範囲で使用でき、高温環境でも安定した性能を発揮します。

💡 ポイント

  • 200℃以上の高温環境でも性能を維持
  • 短時間であれば250℃程度にも耐えられる
  • 一般的なゴム(NBRやCR)よりも高温での耐久性が高い

🚫 注意点

  • 極端な低温(-20℃以下)では硬化しやすくなる
  • 低温用途ではシリコーンゴム(VMQ)やエチレンプロピレンゴム(EPDM)が適する
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耐薬品性が非常に高い

フッ素ゴムは、酸・アルカリ・溶剤・油などの化学薬品に対して優れた耐性を持ちます。

💡 ポイント

  • 燃料・溶剤・酸性・アルカリ性の薬品に強い
  • 航空機や化学プラントのシール材として使用される

🚫 注意点

  • 一部のケトン類、エステル、アミンには侵される可能性がある
  • これらの化学物質が含まれる環境では、別のゴム材(FFKMなど)を検討
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耐油性に優れる

フッ素ゴムは、鉱物油・合成油・燃料油に対して高い耐性を持つため、エンジンや油圧機器などのシール材として適しています。

💡 ポイント

  • ガソリンやディーゼル燃料にも耐える
  • 高温の潤滑油や作動油の環境でも劣化しにくい

🚫 注意点

  • エーテル系溶剤には弱いため、注意が必要

圧縮永久歪みが少ない

フッ素ゴムは、長期間使用しても圧縮永久歪みが少なく、シール性を維持しやすい特性があります。

💡 ポイント

  • Oリングやガスケットに適している
  • 高温・高圧環境でも形状を維持しやすい

🚫 注意点

  • 低温環境では硬化しやすく、柔軟性が低下する

フッ素ゴムの選定ポイント

フッ素ゴムを選定する際は、以下の点に注意しましょう。

項目フッ素ゴム(FKM)の適性代替材料
耐熱性◎ 200℃まで耐えるシリコンゴム(Si)はさらに耐熱性が高い
耐薬品性◎ 酸・アルカリ・溶剤に強い一部の薬品にはFFKMが適する
耐油性◎ 燃料・鉱物油に強いNBR(ニトリルゴム)はコストが低い
低温特性△ -20℃以下では硬化しやすいEPDMやSiが適する
圧縮永久歪み○ 低いが、FFKMの方が優れる

✅ 高温・耐薬品・耐油環境に適したゴム
✅ 航空機、化学プラント、自動車部品のシール材として最適
✅ 適切な環境で使用すれば長寿命・高性能を発揮

🚫 低温環境では硬化しやすいので注意
🚫 一部の溶剤には耐性が低いため、用途によって適切な材料を選ぶ


FFKM(パーフルオロエラストマー)の特性と選定ポイント

機械設計において、シール材の選定は耐熱性・耐薬品性・耐久性などの要求特性に応じて適切な材料を選ぶことが重要です。その中でもFFKM(パーフルオロエラストマー)は、ゴム材料の中で最も高い耐薬品性と耐熱性を誇る特種な材料として知られています。

本項では、FFKMの特性や選定ポイントについて、わかりやすく解説します!


FFKM(パーフルオロエラストマー)とは?

FFKM(パーフルオロエラストマー)は、フッ素ゴム(FKM)をさらに改良し、分子中の水素をすべてフッ素に置き換えた高性能エラストマーです。これにより、FFKMはフッ素ゴムよりも耐熱性・耐薬品性に優れ、化学プラントや半導体製造装置などの過酷な環境で使用されています。

主な用途

✔ 化学プラントのシール(Oリング、ガスケット)
✔ 半導体製造装置のシール部品
✔ 航空宇宙分野の特殊シール
✔ 高温・高圧環境下でのバルブ・ポンプ用シール


FFKMの主な特性

圧倒的な耐薬品性

FFKMは、ほとんどの化学薬品や溶剤に対して優れた耐性を持ちます。特に、酸・アルカリ・ケトン・エステル・エーテル・有機溶剤など、一般的なゴムが劣化しやすい環境でも影響を受けにくいのが特長です。

💡 ポイント
✅ フッ素ゴム(FKM)よりも幅広い薬品に耐えられる
✅ 化学プラントや半導体製造装置の厳しい環境でも長期間使用可能
🚫 ただし、一部の高濃度フッ化水素(HF)には注意

非常に高い耐熱性

FFKMは、連続使用温度が約 260℃~320℃ と非常に高温環境に対応できるゴム材料です。特に高温環境下でのシール材として優れており、高温でも硬化や劣化が少なく、安定したシール性能を発揮します。

💡 ポイント
✅ 260℃以上の高温環境で長期間使用可能
✅ 一般的なフッ素ゴム(FKM)が耐えられない環境でも使用可能
🚫 長期間の熱負荷がかかると多少の膨潤や硬化が発生する可能性あり

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耐プラズマ性に優れる

FFKMは、半導体製造装置のプラズマ環境にも耐える特性を持つため、クリーンルームや化学薬品を使用する産業でのシール材として採用されています。

💡 ポイント
✅ プラズマエッチング装置やCVD装置のシール材として最適
✅ フッ素ゴム(FKM)では劣化してしまう環境にも対応

耐圧縮永久歪が小さく、シール性能が長持ち

一般的なゴムは長期間使用すると**圧縮されたまま元の形に戻らなくなる(圧縮永久歪)**ことがありますが、FFKMはこの変形が極めて小さいため、長期間シール性を維持できます。

💡 ポイント
✅ 過酷な環境でもシール性能が長期間持続
✅ メンテナンスの頻度を減らし、装置の安定稼働に貢献

高価であることが最大のデメリット

FFKMは高性能なゴムですが、その分コストが非常に高いのが最大の課題です。一般的なフッ素ゴム(FKM)と比較しても数倍~数十倍の価格となるため、コスト対効果を考慮して選定する必要があります。

💡 ポイント
✅ どうしても耐薬品性・耐熱性が必要な場合に選定
✅ コストが高いため、必要最小限の使用を推奨


FFKMの選定ポイント

項目FFKMの適性代替材料
耐薬品性◎ ほぼ全ての薬品に耐性ありFKM(フッ素ゴム)やPTFEが代替可能な場合もある
耐熱性◎ 260℃~320℃の高温に対応FKM(フッ素ゴム)は200℃程度まで
耐圧縮永久歪◎ 変形が少なく長期間シール可能FKMやシリコンゴムより優れる
耐プラズマ性◎ 半導体製造装置で使用可能PTFEも選択肢
コスト× 非常に高価FKMやPTFEがコストを抑えられる

FFKMを選ぶべきケース
極めて強い耐薬品性・耐熱性が求められる場合
半導体・化学プラント・航空宇宙分野などの特殊環境
高温・高圧下でも長期間安定したシール性能が必要な場合

🚫 FFKMを避けるべきケース
一般的な耐薬品性・耐熱性で十分な場合(FKMやPTFEが低コスト)
コストが制約となる場合


FFKMは究極の耐薬品・耐熱ゴム!

FFKM(パーフルオロエラストマー)は、最高クラスの耐薬品性・耐熱性を誇るゴム材料であり、化学プラント・半導体製造・航空宇宙分野などの過酷な環境に最適なシール材です。

ほぼ全ての化学薬品に耐える優れた耐薬品性
260℃~320℃の高温環境でも使用可能
耐プラズマ性・耐圧縮永久歪に優れ、シール性能が長持ち
コストが非常に高いため、用途を慎重に選定する必要あり

FFKMは、その優れた特性から「究極のゴム材料」とも呼ばれますが、コストが高いため、必要な環境に限定して選定することが重要です。用途やコストを考慮し、最適なゴム材料を選びましょう!

まとめ:フッ素ゴムは過酷な環境で活躍する高性能ゴム!

フッ素ゴム(FKM)は、耐熱性・耐薬品性・耐油性に優れたゴムであり、過酷な環境下での使用に適しています。

200℃の高温環境でも使用可能
酸・アルカリ・燃料・溶剤に強い
燃料ホースや化学プラントなどのシール材に適する

用途や環境に応じて、適切なゴム材料を選ぶことで、機械設計の信頼性を向上させることができます!

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