機械設計において、非常によく使われる材料のひとつが「S45C(エスヨンゴーシー)」です。
強度と加工性のバランスがよく、旋盤加工から熱処理まで幅広く対応できる万能な炭素鋼として、多くの設計現場で採用されています。
この記事では、S45Cに関する重要な情報を以下の6つの視点から総まとめでご紹介します。
S45Cの特性と材料選定のポイント

S45Cは、中炭素鋼(炭素量0.45%程度)に分類される機械構造用炭素鋼です。
以下のような特性を持ちます。
✅ 適度な強度と靭性があり、部品の耐久性確保に最適
✅ 加工性(切削性)も良好
✅ 焼入れによって表面硬化も可能
✅ 一般構造用鋼(SS400など)に比べて強度が高く、応力のかかる部位に適している

どのような場面で使うか、SS400などとの使い分けも含めて検討する必要があります。
S45Cのミガキ丸棒の規格寸法と活用法

「ミガキ棒(引抜材)」とは、黒皮材よりも寸法精度が高く、表面が滑らかな材料です。S45Cではよく使用される規格形状であり、シャフトやピンなどに活用されています。
- 精度の高い外径公差(h9程度)
- 小径シャフトなどに最適
- 直径はΦ3〜Φ100程度まで広く対応

加工精度を求める場面では「黒皮材」ではなくミガキ材の選定がポイントになります。
【ミガキ棒】【研磨棒】違いと使い分けのポイント

ミガキ棒と研磨棒は混同されがちですが、実際は目的や精度に大きな違いがあります。
種類 | 加工方法 | 精度 | 主な用途 |
---|---|---|---|
ミガキ棒 | 引抜き | 外径公差h8〜h9程度 | 一般シャフト |
研磨棒 | 研削加工 | 外径公差h6以下も可能 | 高精度ガイド、軸受など |

コストと精度要求に応じた選定が重要です。
【初心者向け】S45Cの焼入れをわかりやすく解説!【比較と選定】

S45Cは焼入れ可能な材料であり、焼入れ方法によって得られる硬度や仕上がりも異なります。
- 全体焼入れ(ズブ焼入れ):HRC40程度。変形に注意。
- 真空焼入れ:精度を保ちやすく、変色しにくい。
- 高周波焼入れ:S45Cと相性抜群。HRC60程度の表面硬化が可能。
- ソルト焼入れ:均熱性が高く、複雑形状にも対応しやすい。

必要硬度や変形リスクに応じて、焼入れ方法を選ぶことがポイントです。
【SS400】【S45C】徹底比較!どっちを使う?【生材比較】

設計初心者がよく悩む「SS400とS45Cのどちらを選ぶか?」という問題も解決!
比較項目 | SS400 | S45C |
---|---|---|
材料種別 | 一般構造用鋼 | 機械構造用炭素鋼 |
強度 | 低い | 高い(引張強さ 約570MPa) |
加工性 | 良好 | 良好。特に旋盤加工は◎ |
熱処理性 | 不可 | 焼入れ可能 |

強度・耐摩耗性が必要な場所にはS45C、コスト重視ならSS400が適しています。
特に強度問題がなければ、丸物加工(旋盤)ではS45C、平鋼ではSS400という使い分けでも可。
【炭素含有量】S45CとS50Cの違いと使い分け【S○○C】

S45Cとよく比較される「S50C」についても要チェック!
項目 | S45C | S50C |
---|---|---|
炭素量 | 約0.45% | 約0.50% |
焼入れ性 | 標準 | やや高い |
加工性 | やや良い | やや劣る(硬い) |
用途 | 一般的なシャフトや治具 | 高強度が必要な型枠など |

「少しでも硬くしたいけど加工性も残したい」場合、S45Cが最適なバランスです。
まとめ:S45Cは「強度・加工性・熱処理性」を兼ね備えた万能素材!
S45Cは、以下のような場面で特に効果を発揮する材料です。
✔ 中程度の強度と加工性が必要な部品
✔ 熱処理によって局所的に硬化させたい場合
✔ シャフト・ピン・カムなど、機械要素の中核を担う部品
同じ炭素鋼でも使いどころと処理方法の選定で性能に差が出るため、部品設計時は材質選定の知識が重要です。
本記事で紹介した各詳細記事もあわせてご覧いただき、S45Cの正しい理解と使いこなしに役立ててください!
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