機械設計では、摩耗(まもう)は避けて通れない重要な課題です。
摩耗によって部品がすり減ると、性能が低下し、寿命が短くなります。
この記事では、摩耗の種類や対策、材料選定のポイントをわかりやすく解説します!
摩耗とは?
摩耗とは、部品同士が接触している部分が、
摩擦によって少しずつ削られる現象です。
🔍 例)
歯車のかみ合い部分、軸とベアリングの接触部分
摩耗が進むと…
摩耗の種類と特徴
摩耗にはいくつかの種類があり、それぞれ原因が異なります。
| 摩耗の種類 | 特徴 | 主な発生例 |
|---|---|---|
| アブレシブ摩耗(研磨摩耗) | 硬い粒子がこすれて削れる | ベルトコンベア、土砂搬送装置 |
| 凝着摩耗 | 金属表面が溶着し、引きちぎられる | 軸受、摺動部 |
| フレッチング摩耗 | 微小な振動で削れる | ボルトの接合部、ベアリング |
| エロージョン摩耗 | 気体・液体の流れで削れる | 配管、ポンプの羽根 |
| キャビテーション摩耗 | 液体中の気泡が弾けて表面が削れる | タービン、船のプロペラ |

どの摩耗が発生しやすいかを把握し、適切な材料を選ぶことが重要!
摩耗を抑えるための材料選定のポイント
摩耗を防ぐために、摩耗しにくい材料や適切な表面処理を選ぶことが重要です。
硬い材料の選定
硬度が高いほど、摩耗しにくい!
🔍例)
SKD11、超硬合金、セラミックス
ただし、硬すぎると脆くなる(割れやすい)ため注意!
潤滑性の高い材料を選ぶ
表面の摩擦を減らして摩耗を抑える!
🔍例)
POM(ジュラコン)、MCナイロン、PTFE(テフロン)
🛠️ 活用例
耐摩耗性の高い表面処理を活用する
金属材料の場合、表面処理で耐摩耗性を向上できる!
| 表面処理方法 | 特徴 | 適用例 |
|---|---|---|
| 浸炭焼入れ | 表面を硬化して耐摩耗性UP | ギア、シャフト |
| 窒化処理 | 摩擦に強い表面を形成 | 金型、スピンドル |
| 硬質クロムメッキ | 低摩擦&耐摩耗性向上 | シリンダー、ピストンロッド |
摩耗対策の実践ポイント|設計時にできる工夫を解説!
機械部品は、長期間使用するうちに摩耗してしまうことがあります。
摩耗が進むと、精度の低下や故障の原因になり、
修理コストやダウンタイムが増えてしまいます。
摩耗を抑えるために、設計時に以下のポイントを考慮することが重要です。
そこで本項では、設計段階でできる摩耗対策のポイントをわかりやすく解説します!
1. 接触面積を大きくする(圧力を分散)
部品同士が接触する部分の面積が小さいと、
その部分に集中して大きな力がかかり、摩耗が進みやすくなります。
対策方法
具体例
2. 潤滑油を適切に使用する(油膜で摩耗防止)
潤滑油を使用すると、接触面の間に油膜ができ、直接の摩擦を防ぐことができます。
油膜がないと、金属同士が直接こすれ合い、急速に摩耗が進みます。
対策方法
具体例
3. 硬い材料×柔らかい材料の組み合わせを考える
硬い材料同士が接触すると、表面が傷つきやすく、摩耗が進みやすくなります。
逆に、一方を柔らかい材料にすると、摩耗の影響を抑えられます。
対策方法
具体例
4. 摩耗部品を交換しやすい設計にする
摩耗する部品は、長く使うと必ず劣化します。
もし交換が難しい設計になっていると、修理の手間が増え、コストも上がります。
対策方法
具体例
摩耗を抑えるための設計ポイントは以下の4つ!
接触面積を大きくして圧力を分散させる
適切な潤滑油を使用し、油膜で摩耗を防ぐ
硬い材料と柔らかい材料を組み合わせて摩耗を抑える
摩耗部品を交換しやすい設計にすることでメンテナンスを容易にする

これらの対策を考慮することで、部品の寿命を延ばし、
メンテナンスコストを削減することができます!
まとめ
🔹 摩耗は、部品がすり減る現象で、機械の寿命に影響を与える!
🔹 摩耗の種類(研磨摩耗・凝着摩耗・フレッチングなど)を理解しよう!
🔹 耐摩耗性の高い材料や表面処理を選ぶことが重要!
🔹 適切な設計・潤滑管理で、摩耗を最小限に抑えよう!
摩耗対策をしっかり考えた設計をすることで、機械の寿命を延ばし、コスト削減にもつながります!



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