コンベアのワーク搬送間隔を広げる方法とは?均等搬送を実現する代表的な2つの方法を解説

設計の基礎知識

コンベアでワークを搬送する際、
「ワーク同士の間隔がバラバラになってしまう」
という問題は、生産設備でよく発生します。

ワーク間隔が不均等になると、

・ロボットが取り出せない
・センサが誤検知する
・次工程で詰まりが発生する

など、設備全体の安定稼働に影響を与えます。

そのため機械設計では、ワークを一定間隔で搬送するための
「間隔調整(ピッチ送り)」を考慮することが重要です。

本記事では、実務でよく使用されるワーク搬送間隔を広げる代表的な2つの方法について、
仕組みやメリット・デメリットを交えながらわかりやすく解説します。


スポンサーリンク

なぜワーク間隔を広げるのか?

コンベア上のワークは、

  • 人が投入する
  • 前工程から流れてくる
  • ばら積み供給される

などの理由で、間隔が一定ではありません。

しかし、次工程では、

・ロボットハンド
・画像検査
・加工機
・組立装置

などが一定間隔でワークを受け取る必要があります。

そのため、ワーク間隔を均等にする装置が必要になります。


方法① ストッパで間隔を広げる

最も一般的な方法です。

📌 仕組み

コンベア途中にストッパを設置し、先頭のワークを一旦停止させます。
その間に後続ワークが並び、一定時間後にストッパを解除して、1個ずつ送り出します。


イメージ

流れてくるワーク

■ ■   ■  ■ ■  ■ ■ ■

↓

ストッパで停止

■|■   ■  ■ ■  ■ ■ ■

↓

1個ずつ送り出す

■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■

  • メリット
  • 搬送間隔を正確に制御できる
  • ピッチ送りが容易
  • ロボットとの同期がしやすい
  • センサ制御との相性が良い

  • デメリット
  • シリンダやストッパ機構が必要
  • 停止・再発進が発生する
  • ワークへの衝撃が発生する場合がある

🔍 使用例

  • 自動組立機
  • ロボット供給
  • 検査装置
  • パレット供給

方法② コンベア速度を変えて間隔を広げる

ストッパを使用しない方法です。

📌 仕組み

ワークを、遅いコンベアから、
速いコンベアへ受け渡します。

すると、先頭ワークほど早く加速するため、
自然とワーク間隔が広がります。

イメージ

低速コンベア

■ ■  ■ ■ ■  ■

↓

高速コンベア

■   ■    ■   ■   ■    ■

なぜ間隔が広がる?

先頭ワークは先に高速コンベアへ乗るため、後続ワークより速く進みます。

その結果、ワーク同士の距離が徐々に広がります。


  • メリット
  • ストッパ不要
  • 衝撃が少ない
  • シンプルな構造
  • 高速搬送に向いている

  • デメリット
  • 広げられる間隔に限界がある
  • ワークが滑る場合がある
  • コンベア速度比の調整が必要

🔍 使用例

  • 食品搬送
  • 包装機
  • 印刷機
  • ラベル貼付装置

低速コンベアでワークを詰めればさらに効果的

コンベアの速度差を利用して搬送間隔を広げる場合は、前段のコンベア速度を十分に遅くし、
ワークが渋滞する程度まで詰めて流すと、より安定した効果を得られます。

前段でワーク同士の間隔をほぼゼロにそろえておけば、
後段の高速コンベアへ移載されたタイミングで、各ワークが順番に加速します。

その結果、不均等だった搬送間隔を、
一度リセットしてから広げられるというメリットがあります。


イメージとしては、次のような流れです。

1. 低速コンベア前の間隔

ワークの間隔がバラバラ

■  ■ ■ ■■■ ■

2. 前段の低速コンベア

ワークを接触させる、または接触直前まで詰める

■■■■■■■

3. 後段の高速コンベア

速度差によってワーク間隔を広げる

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


単に低速コンベアから高速コンベアへ受け渡すだけでも間隔は広がりますが、
低速側でワーク間隔がバラバラなままだと、高速側でも間隔のばらつきが残ります。

そのため、

  • 前段でワークを整列させる
  • 後段で一定の速度差を与える

という2段階で考えることが重要です。


ワーク同士を接触させても問題ないか確認する

低速側でワークを渋滞させる場合、最初に確認したいのが、
ワーク同士を接触させてもよいかという点です。

接触させられないワークを無理に詰めると、

  • 変形
  • 欠け
  • 姿勢崩れ
  • 製品同士の乗り上げ

などが発生する可能性があります。

特に注意したいのは、次のようなワークです。

  • 塗装面や化粧面がある
  • 柔らかい樹脂やゴム製品
  • 液体が入った容器
  • 倒れやすい背の高い製品
  • 角や突起がある部品
  • 精密加工面を持つ部品

このようなワークでは、完全に接触させるのではなく、

  • ガイドで姿勢を安定させる
  • 小さな間隔を残して整列させる
  • 仕切り板やアタッチメントを使用する
  • 接触面に緩衝材を設ける

などの対策を検討します。

量産設備では、ワーク同士が1回接触できるかではなく、
何万回接触しても品質に影響しないかまで考えることが重要です。


低速コンベアの搬送能力不足に注意する

前段コンベアを遅くするほどワークは詰まりやすくなりますが、
遅くしすぎると必要な搬送能力を確保できないという問題があります。

ワークが接触した状態で流れる場合、
低速コンベアが1分間に搬送できる個数の目安は、次のように考えられます。

搬送能力[個/分]
= コンベア速度[mm/分] ÷ 搬送ピッチ[mm/個]

ワークが密着している場合は、搬送ピッチをおおむねワークの搬送方向長さとして計算します。

計算例

ワークの搬送方向長さが100mm、低速コンベアの速度が6m/minの場合、

・6m/min=6,000mm/min
・搬送ピッチ=100mm

したがって、

6,000÷100=60個/分

となります。

この条件で前工程から70個/分のワークが供給されると、低速コンベアでは処理しきれません。

その結果、

  • ワークが上流へあふれる
  • 供給装置まで詰まる
  • コンベア上の滞留量が増え続ける
  • 設備停止につながる

可能性があります。

したがって低速コンベアの速度は、少なくとも、
必要搬送個数 × ワークピッチ を満たすように設定する必要があります。

例えば、100mm長さのワークを毎分50個流したい場合は、

100×50=5,000mm/min=5m/min

が理論上必要な最低速度です。

ただし実際には、

  • ワーク間の微小な隙間
  • 滑り
  • 一時停止
  • 供給ばらつき
  • 移載時間

があるため、理論値ぴったりでは余裕がありません。

実務では、設備条件に応じた余裕を持たせ、
実機テストで安定して処理できるか確認することを推奨します。

なお、コンベアの搬送能力は速度だけではなく、
ワーク総重量、モータトルク、摩擦、ベルト幅、コンベア長さなどでも変化します。

メーカー資料でも、使用条件や負荷状態によって搬送能力が変わることや、
速度低下に伴って搬送可能重量が下がる機種があることが示されています。


必要な滞留スペースを確保する

低速コンベアでワークを詰める方式では、
一時的にワークをためる長さも必要です。

前工程からの供給が一時的に増えたり、後工程が停止したりすると、
低速コンベア上のワーク数は増加します。

例えば、ワーク長さ100mmの製品を10個ためたい場合、
単純計算でも約1,000mmの滞留長さが必要です。

実際には、

・ワーク同士の隙間
・入口と出口の余裕
・センサ位置
・ガイド部分
・停止位置

なども必要になるため、さらに余裕を持ったコンベア長さを設定します。

滞留量を考えずに設計すると、少し供給が乱れただけで
上流側までワークがあふれるため注意が必要です。


高速コンベアへの移載時に姿勢が乱れないか確認する

低速側から高速側へ移る瞬間は、ワークが急に加速します。

速度差が大きすぎると、

  • ワークが滑る
  • 回転する
  • 斜めになる
  • 転倒する
  • 後端が低速側に残って引っ張られる

といった問題が発生する可能性があります。

特に搬送方向に長いワークは、前端が高速コンベアへ乗っても、後端がまだ低速コンベア上に残ります。
このとき前後で異なる速度が作用するため、ワークが回転したり、ベルト上で滑ったりする場合があります。

対策としては、

  • 速度差を段階的に付ける
  • 中間速度のコンベアを追加する
  • サイドガイドで姿勢を保持する
  • 移載部の隙間を小さくする
  • ワーク底面の摩擦状態を確認する

などが有効です。


速度比だけでは完全に等間隔にならない場合もある

低速側でワークを密着させた場合、
後段コンベアで得られる搬送ピッチは、理論上は速度比に応じて広がります。

例えば、

  • 低速側:5m/min
  • 高速側:10m/min

であれば、速度比は2倍です。

ワークが安定して速度に追従すれば、
100mmピッチで流れていたワークは、後段で約200mmピッチになるイメージです。

ただし実際には、

  • ベルトとワークの滑り
  • 移載タイミング
  • ワーク寸法のばらつき
  • 前後コンベアの速度変動
  • モータの個体差

によって間隔にばらつきが出ます。

そのため、高精度な一定ピッチが必要な場合は、
速度差方式だけで完全にそろえようとしないことも重要です。

ロボット取出しや画像検査など、正確な位置とタイミングが必要な場合は、

・高速コンベアで大まかに間隔を広げる
・センサでワーク位置を検出する
・最後にストッパやピッチ送り機構で整える

という組み合わせが安定します。


設計時に確認したいポイント

低速側でワークを詰め、高速側で間隔を広げる方式では、次の項目を確認します。

確認項目主な注意点
ワーク同士の接触傷、変形、欠け、姿勢崩れが起きないか
必要搬送能力低速側の処理個数が供給個数を下回らないか
滞留長さ最大何個のワークをためられるか
押し合い力先頭ワークや容器が変形しないか
ベルトとの滑り摩耗、発熱、粉塵が発生しないか
移載時の加速滑り、回転、転倒が起きないか
速度比必要なワークピッチを確保できるか
ワーク姿勢サイドガイドや姿勢保持が必要か
下流設備との能力差高速側や次工程が十分に処理できるか
異常時の処理満杯検出、停止制御、あふれ対策があるか

実務では「遅くすればよい」ではない

低速コンベアを渋滞する程度まで遅くすると、
ワーク間隔を一度そろえられるため、速度差方式の効果を高められます。

ただし、コンベア速度を遅くするほどよいわけではありません。

重要なのは、

  • ワークを傷付けずに整列できる
  • 必要な搬送能力を確保できる
  • 十分な滞留スペースがある
  • 高速側で安定して間隔を広げられる

という条件を同時に満たすことです。

したがって実務では、

「密着させられるか」
「毎分何個必要か」
「何個ためる必要があるか」
「速度差で姿勢が乱れないか」

を確認したうえで、低速側と高速側の速度を決定することが重要です。

スポンサーリンク

ストッパ方式と速度差方式はどちらを選ぶ?

どちらが優れているというものではなく、
求める間隔精度やワークの特徴に合わせて選ぶことが重要です。

ストッパ方式と速度差方式の比較

項目ストッパ方式速度差方式
間隔精度◎ 高精度にそろえやすい○ 滑りなどでばらつく場合がある
搬送速度○ 停止・再発進がある◎ 連続搬送しやすい
機構の簡単さ△ ストッパやセンサが必要○ コンベアの速度差で対応できる
ワークへの衝撃△ 停止時に衝撃が出やすい◎ 比較的滑らかに搬送できる
高速搬送△ ストッパの応答速度に左右される◎ 高速の連続搬送に向く
ロボット供給◎ 位置とタイミングを合わせやすい○ 追加の位置検出が必要な場合がある
ワーク間隔の自由度◎ タイミング制御で変更しやすい○ 主に速度比で決まる
メンテナンス△ 可動部品の点検が必要○ 比較的シンプル

高精度な間隔が必要ならストッパ方式

ストッパ方式は、ワークを一旦停止させてから、設定したタイミングで1個ずつ送り出します。

そのため、

  • ロボットの取出し
  • 画像検査
  • 加工機への供給
  • 組立装置への投入

など、ワークの位置とタイミングを正確に合わせたい用途に適しています。

ストッパの開放間隔を制御すれば、搬送ピッチを変更しやすい点もメリットです。

一方で、ワークを停止させるため、

  • 停止時の衝撃
  • ストッパへの負荷
  • ワーク同士の押し合い
  • シリンダやセンサの追加

などを考慮する必要があります。

特に傷付きやすいワークや倒れやすいワークでは、
ストッパ形状や減速方法を工夫することが重要です。


高速・連続搬送なら速度差方式

速度差方式は、低速コンベアから高速コンベアへワークを受け渡し、
速度差によってワーク間隔を広げます。

ワークを停止させずに連続して流せるため、

  • 食品搬送
  • 包装設備
  • ラベル貼付装置
  • 高速検査ライン

などに向いています。

ストッパのような往復機構が不要なため、構造を比較的シンプルにできます。

ただし、実際のワーク間隔は、

  • ワークとベルトの摩擦
  • 移載時の滑り
  • ワーク寸法のばらつき
  • コンベア速度の変動

などの影響を受けます。

そのため、ストッパ方式ほど正確な間隔にならない場合があります。


実務では2つの方式を組み合わせることも多い

実際の設備では、ストッパ方式と速度差方式を組み合わせることも珍しくありません。

例えば、次のような構成です。

① 低速コンベアから高速コンベアへ移載する
② 速度差によってワーク間隔を大まかに広げる
③ センサでワーク位置を検出する
④ ストッパで停止させて最終ピッチをそろえる

この方法であれば、速度差方式の高速性と、
ストッパ方式の位置決め精度を両立できます。

速度差方式だけで正確な間隔を作ろうとすると、大きな速度差が必要になり、
ワークの滑りや姿勢崩れが発生しやすくなります。

一方、ストッパ方式だけで大量のワークを処理しようとすると、
ストッパの動作回数が増え、サイクルタイムや耐久性が問題になることがあります。

そこで、速度差で大まかな間隔を作り、
ストッパでは小さな補正だけを行う構成にすると、
設備全体を安定させやすくなります。


設計時はワーク間隔だけを見ない

ワーク搬送間隔を設計するときは、必要なピッチを確保できるかだけで判断してはいけません。
ワークの形状や搬送条件、次工程の能力まで含めて検討する必要があります。

■ ワーク形状

背が高いワークや底面が小さいワークは、速度差による加速で転倒しやすくなります。
また、丸形状のワークは転がりやすく、重心が偏ったワークは向きが変わる可能性があります。

必要に応じて、

・サイドガイド
・上部ガイド
・専用アタッチメント

などを設けます。

■ ワーク重量

軽いワークは、高速コンベアへ移る際に滑ったり跳ねたりしやすくなります。

反対に重いワークは、加速に時間がかかるため、
コンベア速度にすぐ追従できない場合があります。

また、重量物ではベルトやモータにかかる負荷も確認が必要です。

■ 搬送速度

高速化すると処理能力は上がりますが、

  • ワークの滑り
  • 移載時の衝撃
  • 振動
  • 騒音

も大きくなります。

必要な搬送能力を満たしながら、
ワークが安定して流れる速度に設定することが重要です。

■ 摩擦係数

速度差方式では、ベルトとワーク底面の摩擦状態が搬送間隔に大きく影響します。

摩擦が小さすぎると、ワークがベルト速度まで加速できず、想定した間隔が得られません。

一方で摩擦が大きすぎると、急加速によってワークが転倒したり、
姿勢が変わったりすることがあります。

さらに、

  • 水分
  • 粉塵
  • ワーク底面の状態

によって摩擦係数は変化するため、実際の使用環境で確認する必要があります。

■ ワークの姿勢

後工程がワークの向きに影響される場合は、搬送中の姿勢維持が重要です。

例えば、ロボットが決まった方向から把持する場合、
速度差によってワークが回転すると取出しに失敗します。

必要に応じて、ガイドによる姿勢規制や画像センサによる位置補正を行います。

■ 次工程のサイクルタイム

コンベアの搬送能力だけを高くしても、
次工程が処理できなければワークが滞留します。

例えば、コンベアが毎分60個供給できても、
次工程が毎分50個しか処理できない場合、毎分10個ずつワークがたまります。

したがって、

  • 前工程の供給能力
  • コンベアの搬送能力
  • 次工程の処理能力

のバランスを取る必要があります。


実務では必要精度と搬送能力のバランスで決める

方式選定で重要なのは、どの程度正確なワーク間隔が必要なのかを明確にすることです。
大まかに間隔を広げるだけなら、速度差方式がシンプルで高速です。

一方、ロボット取出しや加工機への投入など、
正確なタイミングが必要な場合はストッパ方式が適しています。

さらに、高速性と精度の両方が求められる場合は、速度差方式で大まかに広げ、
ストッパで最終調整するという組み合わせが効果的です。

ワーク形状、重量、摩擦、姿勢、必要搬送能力、次工程のサイクルタイムを
総合的に確認し、設備全体として安定する方式を選定することが重要です。

まとめ

コンベアのワーク搬送間隔を広げる代表的な方法は、
① ストッパで間隔を空ける方法と、
② コンベア速度を変えて間隔を空ける方法の2つです。

ストッパ方式は高精度なピッチ送りに適しており、
自動組立機やロボット供給で多く採用されています。

一方、速度差方式は構造がシンプルで高速搬送に適しており、
食品・包装・搬送設備などで広く使用されています。

実際の機械設計では、それぞれの特徴を理解したうえで、
ワーク形状や搬送速度、次工程の要求精度に合わせて最適な方式を選定することが重要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました