機械設計において、ゴム材料の選定は使用環境や用途に応じた適切な特性を持つものを選ぶことが重要です。その中でも、シリコンゴム(Si)は耐熱性・耐寒性・耐候性・電気絶縁性に優れたゴムとして、多くの用途で使用されています。
本記事では、シリコンゴムの特性や選定ポイントについて、わかりやすく解説します!
シリコンゴム(Si)とは?
シリコンゴム(Si)は、シリコーンポリマーを主成分とする合成ゴムで、一般的なゴムと比べて極端な温度環境(高温・低温)でも安定した性能を発揮するのが特徴です。
そのため、高温や低温環境でのシール材や電気絶縁部品として幅広く使用されています。
✅ 主な用途
✔ シール材(Oリング、ガスケット)
✔ 医療機器や食品機器のパッキン
✔ 高温部品(エンジン周辺、家電製品)
✔ 電気・電子部品の絶縁材
✔ キーパッド、ホース
シリコンゴムの主な特性
耐熱性が非常に高い
シリコンゴムは、200~250℃の高温環境でも性能を維持できるため、エンジン周辺部品や高温機械部品に適しています。
💡 ポイント
✅ 250℃程度の環境でも使用可能
✅ 一般的なゴム(NBRやCR)は100℃程度で劣化するが、シリコンゴムは長期間安定
🚫 耐熱性を最重視するなら、フッ素ゴム(FKM)も検討
耐寒性が優れる
-60℃程度の低温でも硬化せず、弾力性を維持できるため、極寒環境での使用にも適しています。
💡 ポイント
✅ 冷凍庫や寒冷地での使用もOK
✅ 一般的なゴム(NBRやCR)は-30℃程度で硬化するが、シリコンゴムは-60℃でも柔軟性を維持
🚫 極端な耐寒性が必要ならフッ素ゴム(FKM)やEPDMも選択肢
耐候性・耐オゾン性が高い
シリコンゴムは、紫外線やオゾン、風雨による劣化が少なく、屋外環境でも長期間使用可能です。
💡 ポイント
✅ 屋外環境や直射日光が当たる場所での使用に適している
✅ 劣化しにくく、長寿命
🚫 さらに耐候性が必要ならEPDM(エチレンプロピレンゴム)も検討
電気絶縁性が高い
シリコンゴムは、非常に優れた電気絶縁性を持っているため、電気・電子部品のカバーや絶縁材として使用されます。
💡 ポイント
✅ 高電圧環境でも安心して使用可能
✅ 絶縁保護カバーやコネクタ周辺のシール材として最適
🚫 さらに高い絶縁性が求められる場合はフッ素ゴム(FKM)も検討
耐薬品性は限定的
シリコンゴムは、酸やアルカリに対しては比較的強いですが、有機溶剤や石油系の油に対しては耐性が低いです。
💡 ポイント
✅ 酸やアルカリ環境では比較的安定
✅ 有機溶剤や石油系オイルには弱い(膨潤・劣化しやすい)
🚫 耐油性が必要なら、ニトリルゴム(NBR)やフッ素ゴム(FKM)を選ぶ
シリコンゴムの選定ポイント
シリコンゴムを選定する際は、以下の点に注意しましょう。
項目 | シリコンゴム(Si)の適性 | 代替材料 |
---|---|---|
耐熱性 | ◎ 250℃まで使用可能 | FKM(フッ素ゴム)は300℃対応 |
耐寒性 | ◎ -60℃でも柔軟性維持 | EPDMも耐寒性が高い |
耐候性 | ◎ 紫外線・オゾンに強い | EPDMがさらに優れる |
耐油性 | △ 弱い(石油系オイルNG) | NBR(ニトリルゴム)が優れる |
電気絶縁性 | ◎ 絶縁性が非常に高い | FKMも絶縁性がある |
✅ 高温・低温環境でのシール材や電気絶縁材に最適
✅ 屋外環境でも劣化しにくく、長期間安定した性能を発揮
✅ 医療・食品用途にも適した安全性の高い材料
🚫 耐油性が必要ならNBR(ニトリルゴム)を選ぶ
🚫 有機溶剤にさらされる環境では使用不可
まとめ:シリコンゴムは高温・低温環境に強い万能ゴム!
シリコンゴム(Si)は、耐熱性・耐寒性・耐候性・電気絶縁性に優れた合成ゴムであり、シール材、電気絶縁部品、医療・食品用途など幅広い分野で使用されています。
✅ -60℃~250℃の温度環境に対応可能
✅ 紫外線・オゾンに強く、屋外環境でも長持ち
✅ 優れた電気絶縁性を持つため、電子部品の保護に適している
✅ 安全性が高く、医療・食品分野でも使用可能
用途や環境に応じて適切なゴム材料を選定し、機械設計の信頼性を向上させましょう!
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