【ダンパー】ショックアブソーバーの機能と選定ポイント【種類と使いわけ】

機械要素

ショックアブソーバー(衝撃吸収装置)は、機械設計において衝撃や振動を吸収し、
機械や構造体の安全性と耐久性を向上させるために使用される重要な機械要素です。

特に、車両や産業機械、建築物においては、
運動中に発生する衝撃や振動を効果的に制御することで、
機械のパフォーマンスと快適性を高める役割を果たします。

本記事では、ショックアブソーバーの基本機能と
選定時に考慮すべきポイントについて解説します。

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ショックアブソーバーの基本機能

衝撃を吸収し、エネルギーを分散させる機能を持ち、以下のような役割を果たします。

振動の減衰

ショックアブソーバーは、振動や衝撃による振動を制御し、安定した動作環境を維持します。

衝撃の吸収と分散

外部からの衝撃を吸収し、エネルギーを熱に変換して分散させることで、
機械や構造体にかかる負荷を減少させます。

位置安定性の確保

ショックアブソーバーにより、機械や部品が過度に動かないように制御され、
位置の安定性が向上します。

寿命の延長

衝撃や振動を効果的に吸収することで、機械や部品の損傷を防ぎ、寿命を延ばします。

ショックアブソーバーの種類と使い分けのポイント

ショックアブソーバー(衝撃吸収器)は、機械や装置に加わる衝撃や振動を和らげ、
機械部品や構造を守る重要な要素です。

「バネだけでは振動が止まらない…」
「衝撃が機械に直接伝わってしまう…」
そんなときに活躍します。

ここでは、代表的なショックアブソーバーの種類と、
それぞれの使い分けのポイントをわかりやすく解説します。


オイル式ショックアブソーバー(油圧式)

オイル式ショックアブソーバーの特徴

  • 内部のオイルを流すことで衝撃を吸収
  • 滑らかで安定した減衰力が得られる
  • 調整式のタイプもあり、減衰力を変えられる

主な用途

  • 産業用ロボットのアーム停止
  • コンベア終端の衝撃吸収
  • 自動車のサスペンション

選び方のポイント

  • 高速で動く部品の停止や減速に最適
  • 繰り返し動作が多く、安定性が必要な場合に向いている

ゴム製ショックアブソーバー(防振ゴム)

ゴム製ショックアブソーバーの特徴

  • ゴムの弾性で衝撃や振動を吸収
  • 構造がシンプルで安価
  • 小型・軽量で取り付けが容易

主な用途

  • モーターの防振
  • 小型機械の振動吸収
  • 家電製品の脚部

選び方のポイント

  • 低コストで簡単に防振したいときに便利
  • 高速・高衝撃には向かない

空気式ショックアブソーバー(エアダンパー)

空気式ショックアブソーバーの特徴

  • 空気の圧縮で衝撃を吸収
  • 反発力が少なく、ソフトな動き
  • 減衰力が軽く、静音性が高い

主な用途

  • 開閉式カバーのゆっくりした動作
  • 精密機器の保護
  • 家具のソフトクローズ機構

選び方のポイント

  • 静かで優しい動作が必要な場合に最適
  • 重量物や高速衝撃には不向き

スプリング式ショックアブソーバー

スプリング式ショックアブソーバーの特徴

  • コイルばねの弾性で衝撃を吸収
  • 構造が単純でメンテナンスが容易
  • 単体では減衰力が弱い(反発が強い)

主な用途

  • 建設機械の座席サスペンション
  • 農業機械
  • 安価な防振機構

選び方のポイント

  • 長ストロークの衝撃を吸収するのに向く
  • 振動を早く止めたい場合はオイルやゴムと併用

使い分けの考え方

種類特徴向いている用途
オイル式高精度・高衝撃吸収・繰り返し性能◎高速部品停止、産業機械
ゴム製安価・軽量・簡単取り付け小型機械、防振
空気式ソフト動作・静音性◎精密機器、家具
スプリング式長ストローク吸収◎建設機械、農業機械

使い分けのポイント

耐久性・コスト
衝撃の大きさ(低・中・高)
必要な動作の滑らかさ

はじめ
はじめ

この3つを意識すると、
最適なショックアブソーバーを選びやすくなります。

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ショックアブソーバーの利点

動作の安定化

ショックアブソーバーは、振動や衝撃を抑え、
機械の動作をスムーズにします。

機械の耐久性向上

過度な振動を抑制することで、機械や部品の寿命を延ばし、
保守コストの削減が期待できます。

乗り心地や作業の快適性向上

車両や産業機械において、ショックアブソーバーは
快適な乗り心地や作業環境を提供します。

ショックアブソーバーの選定ポイント

荷重と衝撃吸収能力

使用される環境や荷重条件に応じて、
ショックアブソーバーが吸収できる衝撃や荷重を確認します。

減衰力の調整

振動や衝撃に対して必要な減衰力を調整できるかが重要です。
特に高精度な動作が要求される機器では、細かい調整が可能な製品が必要です。

使用環境

ショックアブソーバーが使用される環境(温度、湿度、腐食など)に
耐える素材を選定することが大切です。

過酷な環境では、耐腐食性や耐熱性のある製品が必要です。

応答速度と耐久性

繰り返し使用される環境では、応答速度と耐久性が求められます。
頻繁に動作する機械には耐久性の高いショックアブソーバーが適しています。

取り付けスペースと形状

ショックアブソーバーのサイズや形状が設計に適合するかどうか、
取り付けスペースに合わせた製品を選ぶことが重要です。

コストとメンテナンス

ショックアブソーバーの価格と、メンテナンスのしやすさも考慮する必要があります。
頻繁に使用される装置には、メンテナンスフリーの製品が望ましい場合があります。

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機械設計におけるショックアブソーバーの応用例

機械設計において、ショックアブソーバーは、
衝撃や振動を吸収・減衰させる重要な役割を担う部品です。

その用途は、自動車やバイクなどの乗り物から、
精密機器、産業機械、建築構造物まで多岐にわたります。

本項では、ショックアブソーバーの応用例を、その機能別に分類して詳しく解説します。

動作の制御

ショックアブソーバーは、その減衰特性を利用して、機械の動作を制御することができます。

  • ドアクローザー

ドアクローザーは、ショックアブソーバーの減衰特性を利用して、
ドアをゆっくりと閉めるように制御します。

  • リニアアクチュエータ

リニアアクチュエータは、ショックアブソーバーを組み込むことで、
動作速度や停止位置を制御することができます。

振動の抑制

ショックアブソーバーは、機械や構造物に発生する振動を抑制することで、
騒音や振動による悪影響を軽減します。

  • 建築構造物

高層ビルや橋などの建築構造物は、風力や地震による振動が発生することがあります。

ショックアブソーバーは、これらの振動を吸収することで、
構造物の安定性を高め、安全性を確保します。

  • 産業機器

振動が問題となる産業機械では、ショックアブソーバーによって振動を抑制することで、
製品の品質向上や作業環境の改善に役立ちます。

乗り心地の向上

ショックアブソーバーは、乗り物の走行中の衝撃を吸収することで、乗り心地を向上させます。

  • 自動車

サスペンションに組み込まれたショックアブソーバーは、
路面の凹凸や衝撃を吸収し、車体に伝わる振動を抑制することで、快適な乗り心地を実現します。

  • バイク

バイクのフロントフォークやリアサスペンションに組み込まれたショックアブソーバーは、
走行中の衝撃を吸収し、安定した走行を実現します。

機械の保護

ショックアブソーバーは、機械に発生する衝撃や振動を吸収することで、
機械の寿命を延ばし、故障を防ぎます。

  • 産業機械

搬送機やロボットアームなどの産業機械は、
動作中に衝撃や振動が発生することがあります。

ショックアブソーバーは、これらの衝撃や振動を吸収することで、
機械の破損を防ぎ、安定した動作を実現します。

  • 精密機器

精密機器は、衝撃や振動に弱いため、ショックアブソーバーによって保護されます。

例えば、ハードディスクドライブや半導体製造装置など、
繊細な部品を保護するのに役立ちます。


ショックアブソーバーは、機械設計において
衝撃や振動を制御するために欠かせない部品です。
用途に応じて適切なショックアブソーバーを選択することで、
機械の性能向上、寿命延長、安全性確保に貢献することができます。

主なメーカー

鍋屋バイテック会社 (NBK)   メーカーページはこちら

SMC株式会社        メーカーページはこちら

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まとめ

ショックアブソーバーは、衝撃や振動を吸収し、
機械や構造物を保護するために不可欠な要素です。

スプリングを用いたものを含め、選定時には
荷重や衝撃吸収能力、使用環境、耐久性などを考慮し、
適切なショックアブソーバーを選ぶことが、
機械のパフォーマンスと耐久性を向上させる鍵となります。


はじめ
はじめ

ボルトやナット、軸受け、ギアといった
基本的な要素部品の機能と選び方を
詳しく紹介します。

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