ここまで、AIと一緒に少しずつゲームを作ってきました。
最初は、「Steam向けのゲームって作れる?」
という、かなり軽い質問から始まりました。
そこから、
- Unityを入れる。
- Codexを使う。
- 四角形を動かす。
- グリッドを作る。
- コンベアを置く。
- ワークを流す。
- ストッパを追加する。
- ゴールを作る。
- 加工機を入れる。
そして今では、
「加工機の能力に合わせてワークの供給を調整する工場パズル」
という形まで、かなり具体的に見えてきました。
今回は、第1回からここまで作ってきた内容を整理しながら、
『 MVP ver.0.1 』
として、何ができるゲームになったのかを一度まとめてみます。
そもそもMVPって何だった?

この連載の途中で出てきたのが、MVPという考え方です。
MVPはざっくり言えば、
「最小限で遊べる試作品」
です。
最初から、
- たくさんの設備
- 豪華なUI
- 複雑なステージ
- 収益計算
- メンテナンス
- センサ
- PLC
- ロボット
まで全部作るのではありません。
まずは、
「このゲームの核は面白いのか?」
を確認できるところまで作る。
この方針で進めてきました。
振り返ってみると、これはかなり良かったと思います。
もし最初から全部入れようとしていたら、たぶんまだ基本システムすら完成していなかったと思います。
最初に決めたゲームの方向性

今回作りたいゲームは、自由に何でも作れる機械設計ゲームではなく、
あらかじめ用意された設備を組み合わせて最適なラインを作るゲームです。
いわゆる、選択・最適化型です。
プレイヤーは、
- コンベア
- ストッパ
- 加工機
などを使いながら、
要求された条件を満たすラインを作ります。
最初に考えていたのは、
スタートからゴールまでワークを運ぶという、
かなりシンプルなゲームでした。
でも、そこから少しずつ、
「ただ運ぶだけでは面白くない」
という問題が見えてきました。
ただ運ぶゲームから「設備能力を考えるゲーム」へ

最初は、コンベアをつないで、ワークをゴールへ送れれば成功。
という形でも成立するかなと思っていました。
でも、それだと一度ルートを作れば終わってしまいます。
そこで、ストッパを追加しました。
不規則に流れてくるワークを、一定間隔に整える。
これだけで、「設備を置く意味」が生まれました。
さらに加工機を追加すると、もっとはっきりしました。
加工機には、処理能力があります。
例えば、0.5秒で1個処理できる加工機なら、
それより速いペースでワークを投入すると処理しきれません。
つまりプレイヤーは、加工機の能力を超えないように、
ライン全体を設計する必要があるということです。
ここで一気に、今回のゲームの目的が見えてきました。
現在のゲームを一言で表すと

今のMVP ver.0.1を一言で表すなら、
加工機の能力に合わせて、安定した生産ラインを設計する工場パズル
さらに具体的に言えば、
白い未加工ワークを加工機へ適切なタイミングで供給し、青い加工済みワークだけをゴールへ送り続ける。
というゲームになりました。
最初の頃より、かなり分かりやすくなったと思います。
MVP ver.0.1でできること
ここまで実装してきた内容を整理すると、かなりゲームらしい形になっています。
12×8のグリッド

ゲーム画面は、
12×8の正方形グリッド
を基本にしています。
設備は1マス単位で配置します。
自由配置にしなかったことで、
- 操作しやすい
- 接続が分かりやすい
- パズルにしやすい
- Codexでも実装しやすい
というメリットがありました。
コンベアを自由に配置できる

プレイヤーは、グリッド上にコンベアを配置できます。
現在できる操作は、
- 左クリックで配置
- Rキーで90°回転
- 右クリックで削除
- 同じマスへの重複配置は不可
というシンプルなものです。
見た目は、
緑色の正方形+白い矢印
という最低限のデザイン。
でもMVPでは、これで十分でした。
ワークがコンベア上を滑らかに流れる
ワークは、マスからマスへ瞬間移動するのではなく、
セル中心からセル中心へ滑らかに移動します。
ここは初期段階からこだわった部分です。
工場ゲームなので、やはりワークが
スーッ
と流れる方が見ていて気持ちいい。
さらに途中から、ゲーム全体の速度も見直しました。
最初は少し遅かったので、標準速度を約4倍にする方向へ変更。
試行錯誤のテンポもかなり良くなりました。
ワークは不規則に供給される

スタートから出てくるワークは、
最初からきれいな一定間隔ではありません。
バラバラです。
例えば、
● ● ● ● ●●
という感じです。
この「ばらつき」があることで、
ストッパを使う意味が生まれます。
そして重要なのが、
再試運転しても同じランダムパターンを再現すること。
改善前と改善後を比較するゲームなので、試すたびに条件が変わってしまうと、
ライン改善の効果なのか、単に運が良かっただけなのか分からなくなります。
そこで、同じステージでは同じ供給パターンを使う。
かなり設備試験っぽい考え方です。
ストッパで投入タイミングを整える

次に追加したのが、ストッパです。
ストッパは、
- 閉:赤
- 開:緑
で表示。
閉じている間はワークを停止させます。
そして、設定された周期ごとに開いて、
先頭のワーク1個だけを通します。
これによって、バラバラだったワークを、
一定のリズムで送り出せます。
ここで初めて、ラインを改善する面白さが見えてきました。
ストッパの周期は調整できる
ストッパには、
- 開放周期
- 開放時間
を持たせています。
つまり、ステージや加工機に合わせて、ストッパの性能を変えられます。
加工機の処理能力が変われば、当然、ストッパの設定も変えなければいけません。
ここが、パズルとしてかなり重要になってきます。
加工機がゲームの中心になった

MVP ver.0.1で最も重要なのが、加工機です。
加工機には、処理時間があります。
例えば、0.5秒。
ワークが加工機へ入る。
↓
加工開始。
↓
加工機はBUSYになる。
↓
0.5秒後に加工完了。
↓
ワークが青色になる。
↓
次のワークを受付可能。
という流れです。
この処理能力が、ステージの基本条件になります。
加工中に次のワークが来たらNG

加工機がBUSY中に、次のワークが投入位置まで到達したら、NG。
これは、加工機の能力以上の速度で供給してしまったという意味です。
この失敗条件はかなり分かりやすいです。
プレイヤーは、コンベアやストッパを使って、
加工機へ入るタイミングそのものを設計する必要があります。
未加工と加工済みを色で区別
ワークにも状態を持たせました。
現在は、
- 白:未加工
- 青:加工済み
加工機へ入る前は白。
加工が完了すると青。
これだけでも、ゲーム画面がかなり分かりやすくなりました。
どのワークが加工済みなのか、一目で判断できます。
ゴールは加工済みワーク専用
ゴールも、単なる到着地点ではなくなりました。
現在の考え方では、加工済みワークだけが出荷可能です。
つまり、青い加工済みワークならOK。
白い未加工ワークがそのままゴールへ行ったら、NG。
これで、加工機を通す意味が明確になりました。
工場ゲームとしても、必要な工程を終えた製品だけを出荷する
という自然なルールになっています。
渋滞もNGになる
加工機へ投入しすぎれば、当然ワークが溜まっていきます。
そしてその渋滞が、上流まで広がり、
スタートエリアまで到達したらNGというルールも追加しました。
つまり、加工機だけ見ていればいいわけではありません。
ライン全体として、ちゃんとワークをさばけている必要があります。
これは今後、ボトルネックやライン能力を考える
ゲームへ発展させるうえでも重要になりそうです。
NGになったら、原因を見せてすぐ再設計
NG時の動きも、かなりゲームらしくなってきました。
流れは、
NG発生
↓
速度を通常へ戻す
↓
赤いNG表示
↓
問題箇所を赤く点滅
↓
少しだけ原因を見せる
↓
試運転終了
↓
EDITモードへ戻る
そして重要なのは、配置した設備は消さないこと。
消すのはワークだけ。コンベアもストッパも残します。
なので、「ここが悪かった」と確認したら、
その場で少し修正して、すぐ再試運転できます。
これは、設計 → 試運転 → 問題発見 → 改善
というゲームループにかなり合っています。
30秒間の連続運転を目指す
ゲームとしては、一瞬だけ動けば成功ではありません。
目標は、30秒間の安定稼働です。
最初はうまく動いていても、時間が経つと、
- 加工機前で詰まる
- スタート側まで渋滞する
- 投入タイミングが崩れる
ことがあります。
つまり、短時間では成立していても、連続運転すると破綻する
という状態が起こります。
これはかなり工場設備らしいです。
現在のゲームループ

ここまでをまとめると、現在のゲームループは、
スタート・加工機・ゴールが配置されている
↓
コンベアを設計
↓
ストッパの位置や周期を調整
↓
試運転
↓
30秒連続運転
↓
加工NGや渋滞を確認
↓
評価
↓
改善
↓
再試運転
という形です。
第5回で最初に考えた、
依頼を受ける → 設計する → 試運転する → 問題を発見する → 改善する → 納品する
というコンセプトにも、かなり近づいてきました。
MVP ver.0.1では「能力」に集中する
ここまで作ってくると、さらにいろいろ入れたくなります。
例えば加工機なら、
- サイズ
- 加工能力
- 付加価値
- 耐久性
- メンテナンス費
- 消費電力
- 設備価格
など。ゲームとしては、かなり面白そうです。
ただ、MVP ver.0.1では、まだ入れないことにしました。
今は、加工機の処理能力だけでいい。
なぜなら、評価軸が一つなら、プレイヤーも
「何を改善すればいいのか」がすぐ分かるからです。
MVPでは「足すこと」より「削ること」が大事だった
今回ゲームを作っていて感じたのが、MVPでは、
何を追加するか以上に、何を入れないかが大事だということです。
現時点では、まだ、
- センサ制御
- PLC
- 分岐
- ロボット
- コスト評価
- 利益
- メンテナンス
- 複雑な加工条件
などは入れていません。
でも、それでもゲームの核はかなり見えてきました。
むしろ、余計な要素を入れていないからこそ、
「加工機へ適切なタイミングで供給する」
という面白さを確認しやすくなっています。
ここまでの設備を整理すると
現時点のMVP ver.0.1では、
主に次の設備があります。
| 設備 | 役割 |
|---|---|
| スタート | 未加工ワークを供給 |
| コンベア | ワークを搬送 |
| ストッパ | 投入タイミングを調整 |
| 加工機 | ワークを加工 |
| ゴール | 加工済みワークを出荷 |
たったこれだけです。
でも、この5つだけでも、かなりライン設計ができます。
逆に言えば、最初から大量の設備を用意しなくても、
ルールさえ噛み合えばゲームになるということが分かってきました。
MVP ver.0.1の成功条件
現段階でのMVP ver.0.1は、次の状態を作れれば成功と考えています。
- 未加工ワークが供給される
- プレイヤーが搬送ラインを作れる
- ストッパで供給タイミングを調整できる
- 加工機の能力を超えずに投入できる
- 加工後にワークが青くなる
- 加工済みワークだけをゴールへ送れる
- 渋滞を発生させない
- 30秒間安定して運転できる
これだけでも、十分ゲームの目標として成立しています。
一番大きかったのは「ゲームの目的」が見えたこと
MVP ver.0.1まで作ってきて、一番大きかったのは、
コードが増えたことでも、設備が増えたことでもありません。
「プレイヤーに何を考えてほしいゲームなのか」が見えてきたこと
最初は、コンベアをつないでワークを運ぶゲームでした。
でも今は、設備能力に対して、どこに何を置き、
どのタイミングで供給するかを考えるゲームになっています。
かなり機械設計らしいです。
ゲームの中でも「能力と余裕」を考える
例えば、加工機が0.5秒で処理できるからといって、
0.5秒ぴったりでワークを送り続ければいいのか。
0.55秒?
0.6秒?
どのくらい余裕を持たせる?
ワークが一時的に多く来たら?
加工機がボトルネックになったら?
こういう話は、実際の設備設計でもよくあります。
そして今後、設備の性能とコストを組み合わせれば、
最初に考えていた、「どこにコストをかけ、どこで性能を妥協するか」
というゲーム性にもつなげられそうです。
AIだけを頼りに、ここまでゲームになった
第1回の頃は、UnityもCodexも使ったことがありませんでした。
.mdって何?
WorkMover.csって何?
というところから始まっています。
それでも、ChatGPTに相談する。
Codexに実装してもらう。
Unityで確認する。
失敗したらまた相談する。
という流れを繰り返すことで、ここまで形になりました。
自分でコードを書けなくても、
「何を作りたいか」を考え続ければ、少しずつゲームになっていく。
これは、この連載を始める前にはあまり想像していませんでした。
MVP ver.0.1は「完成」ではなく、ようやくスタート地点
ただし、もちろんゲームはまだ完成していません。
むしろ、MVP ver.0.1でようやく、
「この方向でゲームを育てていけそう」
というところまで来ただけです。
これから、
- UI
- 評価画面
- ステージ構成
- 新しい設備
- コスト
- 性能差
- ボトルネック
- 渋滞表現
- センサ
- 分岐
- ロボット
- Steam公開
など、まだまだやることがあります。
でも、土台はできました。
そして何より、ゲームの核が見えた。
これはかなり大きいです。
ここまでのMVP ver.0.1を一言でまとめると
最後に、現在のゲームを一文でまとめるなら、

不規則に流れてくる未加工ワークを、加工機の能力に合わせて整流し、
30秒間安定して加工・出荷できるラインを設計する工場パズル。
今のところ、これがこのゲームの一番分かりやすい説明かなと思っています。
最初の、「ゲームって作れる?」から考えると、かなり具体的になりました。
そしてここから、このMVPをベースに、
本当にSteamで販売できるゲームへ育てていきます。
次回からは、MVPを作る段階から少し進んで、
「ゲームとしてどう面白くしていくか」という部分に入っていきます。




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