前回までで、MVP ver.0.1としてゲームの基本形がかなり見えてきました。
コンベアを配置する。
ストッパでワークの流れを整える。
加工機の能力に合わせて投入する。
NGが出たら原因を確認して、すぐ設計を修正する。
ここまで作ったことで、
「工場の生産ラインを設計するパズルゲーム」
として、ひとまず遊べる形にはなってきました。
ただ、実際にゲーム全体を考えていると、ひとつ大きな疑問が出てきました。
「このラインを完成させたあと、プレイヤーは次に何を目指すのか?」です。
加工機へ正しい間隔でワークを投入できれば成功。
もちろんパズルとしては成立します。
でも、Steamで販売するゲームとして考えると、もう少し
「次もやりたい」と思える成長要素が欲しい。
そこで今回は、ゲームの仕様をかなり大きく変更することにしました。
新しく追加するのは、「お金」と「設備購入」です。
きっかけは「最大受注数」という考え方
これまでのゲームでは、加工機が0.5秒で1個処理するなら、
それ以上速くワークを投入しない。という考え方でした。
つまり、設備能力を超えないことが重要です。
これはこれで分かりやすい。
ただ、考えているうちに、
「2個/sまで出荷できるなら、2個/sを超えたらNGにして、
できるだけ2個/sへ近づけるゲームの方が分かりやすくない?」
と思いました。
例えば出荷先から、最大受注数:2個/sという要求がある。
0.5個/sしか生産できなければ、まだ設備能力が足りない。
1.2個/sなら少し改善した。1.8個/sならかなり良い。
2.0個/s近くまで持っていければ理想。
逆に2.0個/sを超える設備構成にしても、受注できる量には上限がある。
この方が、「どこまで生産能力を上げればいいのか」
という目標がかなり分かりやすくなります。
「止めるゲーム」より「流し続けるゲーム」にしたい

これまでの仕様では、加工機がBUSY中に次のワークが来たらNG。
というルールを中心に考えていました。
ただ、このルールを強くしすぎると、
プレイヤーは「ワークを止める」
ことばかり考えるようになります。
ストッパで止める。
加工機の前で待たせる。
タイミングを合わせる。
もちろん実際の設備では重要です。
でもゲームとして見たとき、
私はもう少し、大量のワークがライン上を
途切れず流れている爽快感を出したいと思いました。
白いワークがどんどん流れて、加工機を通るたびに青くなって、
そのままゴールへ次々と出荷される。
そして、0.8個/s → 1.2個/s → 1.7個/s → 1.95個/sと生産能力が上がっていく。
こっちの方が、見ていて気持ちいい。
しかも、「あと0.05個/s上げたい」という改善欲も出てきます。
ここでゲームの方向性が大きく変わりました。
さらに「お金」を入れたら一気にゲームらしくなった
そして、もう一つ思いついたのが、
最初から必要な設備を全部使えるようにしないということです。
例えばゲーム開始時の所持金が、1,000円だったとします。
でも、高性能な投入機が800円。高性能な加工機が1,200円。
となれば、当然最初から理想のラインは作れません。
お金が足りないから、まずは安い設備を使う。
生産能力は低い。
それでも製品を出荷する。
少しずつお金が貯まる。
そのお金で設備を増設する。
あるいは、より性能の高い設備へ更新する。
そして、最大受注能力へ少しずつ近づいていく。
この流れです。
ここで一気に、「ステージを解いて終わり」ではなく、
工場を育てるゲームになってきました。
最初から要求能力を達成できなくてもいい
ここも今回かなり重要な変更です。
今までは、要求された条件を満たせなければ失敗。
という考え方が強めでした。
でも新しい仕様では、
最初は受注能力に届かなくてもいいことにします。
例えば、出荷先の最大受注数が
1.0個/s
だったとします。
ところが初期資金で買える設備だけでは、
ライン能力が0.4個/sしか出せない。
それでもいい。
まず0.4個/sで生産する。
製品を出荷する。
お金を稼ぐ。
加工機をもう1台買う。
ラインを分岐する。
投入機を高性能なものへ交換する。
すると、
- 0.6個/s。
- 0.8個/s。
- 0.95個/s。
と少しずつ能力が上がっていく。
そして最終的に、1.0個/s近くまで能力を引き上げる。
この方が、ゲームとして成長を実感しやすいと思いました。
「受注数」はゴール側に持たせる
新仕様では、ゴールもただの到着地点ではなくなります。
ゴールには、最大出荷能力を設定します。
例えば、
最大出荷能力:1.0個/s
というゴールがある。そのゴールへ製品を送り、
出荷できた分だけ売上が発生する。
そしてお金が貯まると、
さらに能力の高い出荷先を解放できる。
例えば、
1.0個/s → 2.0個/s → 3.0個/s
といったイメージです。
ただし、出荷先だけ能力を上げても意味がありません。
加工機が0.6個/sしか処理できなければ、
ライン全体も0.6個/s程度しか出せません。
つまり、出荷先の能力を上げるほど、
工場側の設備も強化しなければならない。
ここにゲームとしての成長ループが生まれます。
ボトルネックを見つけて設備を増設する
この仕様になると、機械設計や生産技術らしい要素もかなり自然に入れられます。
例えば、
投入機:1.2個/s
加工機:0.6個/s
出荷:1.0個/s
だったとします。
このラインで最大能力を決めているのは、加工機の0.6個/sです。
つまり加工機がボトルネック。
なら、加工機を増設する。
あるいは、もっと高性能な加工機へ更新する。
すると次は、コンベアや投入機がボトルネックになるかもしれません。
こうやって、「今どこがライン全体を遅くしているのか」を探して改善していく。
これは、今回作りたかった機械設計者らしい工場パズルにもかなり合っています。
ゲームの流れが大きく変わった

ここまで考えると、以前のゲームと新しいゲームでは、目的がかなり変わっています。
以前は、
Start
↓
ランダム供給
↓
ストッパで整流
↓
加工機
↓
Goal
というゲームでした。
これからは、
資金を使って設備を購入する
↓
生産ラインを設計する
↓
試運転する
↓
ライン能力を確認する
↓
生産・出荷してお金を稼ぐ
↓
設備を増設・更新する
↓
より高い出荷能力を目指す
というゲームになります。
これはかなり大きな仕様変更です。
「工場を作る」ではなく「要求能力へ近づける」
今回の変更で、ゲームの軸もかなり明確になりました。
一般的な工場ゲームでは、工場そのものを大きくすることが目的になることがあります。
でも今回のゲームでは、単純に設備を増やせばいいわけではありません。
目標となるのは、要求された生産能力です。
例えば最大受注数が2.0個/sなら、3.0個/sの設備能力を持たせても、
その分すべて売れるわけではない。
むしろ、高価な設備を買いすぎれば、
投資効率が悪くなる可能性があります。
つまり今後は、性能とコストのトレードオフ
も自然にゲームへ入れられそうです。
これは最初に考えていた、
「最小コストで要求仕様を満たせ」
というゲームコンセプトにも戻ってきます。
でも、ゲームを最初から作り直す必要はない
ここまで仕様が変わると、「もう最初から作り直した方が早いのでは?」とも思いました。
ただ、ChatGPTに相談すると、今まで作った土台はかなり流用できるという話になりました。
- 12×8グリッド。
- コンベア配置。
- 設備の回転や削除。
- ワーク移動。
- 渋滞処理。
- 試運転。
- 30秒タイマー。
- 早送り。
- NG表示。
- EDITモードへの復帰。
- 加工機のアニメーション。
- ステージ管理。
この辺りは、新仕様になってもそのまま使えます。
変える必要があるのは、その上に乗っている「ゲームルール」です。
つまり、エンジンは残して、ルールだけ大きく入れ替える。
という方針になりました。
Ver.0.1は残して、Ver.0.2へ

ここで怖いのが、せっかく動いている現在のゲームを壊してしまうことです。
なので、今までのプロトタイプは残します。
旧仕様を、Prototype v0.1として保存。
そして今回のお金・設備購入・出荷能力を追加した新仕様を、
Ver.0.2として開発することにしました。
仕様書も同じです。
これまでのMVP仕様書を消して上書きするのではなく、
旧仕様を残したまま、新しいGameSpec v0.2を作ります。
これなら、「新仕様、やっぱり微妙だったな」となっても戻れます。
ゲーム開発初心者なので、こういうところはかなり慎重に進めます。
いきなり全部Codexに作らせない
仕様変更が決まったところで、すぐCodexに、
「お金を追加して経営ゲームに変更してください」と投げたくなります。
でも、これはやめました。
変更量が大きすぎるからです。
今回も、小さいSTEPに分けて実装する方針を続けます。
まずは既存ルールを整理。
次に所持金。
その次に設備価格。
さらに投入機、加工機の購入。
出荷能力。
ライン能力測定。
生産モード。
利益。
そして最終的に設備増設と成長ループ。
という順番です。
一気に作らせるより、1個作る → Unityで確認 → 次への方が、
今の自分には圧倒的に分かりやすいです。
最初に追加したのは「MONEY ¥1,000」
そして新仕様Ver.0.2で、最初に目に見えて追加されたのが、お金です。
画面に、MONEY ¥1,000と表示されました。
正直、まだ何も買えません。
試運転しても増えません。
設備価格もありません。
ただ数字が表示されているだけです。
でも、これまでずっと「無料で好きなだけ設備を置く」
ゲームだったので、画面に所持金が出ただけでも、
かなりゲームの雰囲気が変わりました。
MoneyManagerを独立して作る
Codexには、所持金を管理する
MoneyManager
を作ってもらいました。
役割はかなりシンプルです。
現在のお金を持っておく。
お金を増やす。
お金を使う。
金額が変わったらUIを更新する。
今の段階ではそれだけです。
でも、このMoneyManagerが、これから
設備購入 → 売上 → 増設 → 更新
というゲーム全体の成長システムの土台になります。
たった「¥1,000」でゲームの見え方が変わった
まだ設備を買えるわけでもありません。利益もありません。
でも、画面にMONEY ¥1,000と表示されると、
自然に考えることが変わります。
「このコンベアはいくらなんだろう?」
「加工機は高そうだな」
「安い加工機を2台置くのと、高性能な1台ではどっちがいい?」
「あと500円貯まったら増設できる」
こういう発想が出てきます。
つまり、パズルに「経済」という制約が1つ加わったということです。
そして、この制約が、今後かなり重要になりそうです。
今回の仕様変更でゲームのゴールがかなり見えてきた

第14回では、MVP ver.0.1が完成に近づき、
加工機の能力に合わせて安定した生産ラインを設計するというゲームになりました。
そして今回、そこへお金を追加しました。
すると、
限られた資金で設備を購入し、生産・出荷して利益を得ながら設備を増設し、
要求される生産能力へ近づけていく工場パズル
というゲームへ変わってきました。
個人的には、こっちの方がかなり面白そうです。
ラインを完成させて終わりではありません。
最初は貧弱な工場。
少しずつ製品を作る。
お金を稼ぐ。
加工機を追加する。
ラインを増やす。
ボトルネックを改善する。
そして、
画面いっぱいにワークが流れる工場へ育っていく。
ここまで来ると、最初に作っていたゲームとはかなり違います。
でも、今まで作ってきたものが無駄になったわけではありません。
むしろ、MVP ver.0.1を実際に作って動かしたからこそ、
「もっとこうした方が面白い」
という次のアイデアが見えてきました。
大幅仕様変更。でも、これは前進だと思う
ゲーム制作を始める前は、一度仕様を決めたら、
その通り最後まで作るものだと思っていました。
でも実際には、
- 作る。
- 動かす。
- 遊ぶ。
- 違和感を感じる。
- 変更する。
- また遊ぶ。
この繰り返しです。
なんだか、ゲームの中でやろうとしている
「設計 → 試運転 → 問題発見 → 改善」を、
ゲーム開発そのものでもやっています。
今回はかなり大きな仕様変更になりました。
でも、今のところは、ゲームとして一段面白い方向へ進んだ気がしています。
次回からは、いよいよ設備に価格を付けて、
「無料で置き放題」のゲームから卒業していきます。
お金が足りなければ、当然、設備は置けない。
その制約の中で、どうやってラインを成立させるのか。
ここから、「設備能力」と「コスト」のトレードオフが本格的にゲームへ入ってきます。




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