前回の記事では、
「現役機械設計者が、AIを使ってSteamゲーム制作に挑戦する」
という企画をスタートしました。
ゲーム制作の経験はほぼゼロ。
Unityも未経験。
それでも、AIを開発パートナーとして使えば、
Steamで実際に販売できるゲームまで作れるのではないか。
そんなところから始まった今回の挑戦です。
ただし、当然ながら最初の時点では、
「どんなゲームを作るのか?」
すら決まっていませんでした。
機械設計者がゲームを作る。
せっかくなら、自分の仕事や経験を活かせるものにしたい。
そこで最初にAIへ投げたのが、こんなざっくりした相談でした。
今回は、モノづくりのゲームを作りたいです。
アイデアをたくさん出して。
ここから、今回作るゲームの方向性が少しずつ見えてきます。
まず決めたのは「モノづくり」をテーマにすること

ゲームを作るといっても、
RPG、アクション、シューティング、経営シミュレーションなど、
ジャンルはいくらでもあります。
しかし、私が一から挑戦するのであれば、
自分が普段から考えていることをゲームにした方が面白いのではないかと思いました。
普段の機械設計では、
といったことを繰り返します。
これをゲームにできないだろうか。
単純に機械を眺めるだけではなく、
プレイヤー自身が「どう作るか」を考えるゲーム
にしたいと思いました。
そこで最初のテーマを、
『モノづくり』
に決めました。
でも「モノづくりゲーム」は範囲が広すぎる
ここで、早くも一つ問題が出てきます。
「モノづくりゲーム」といっても、かなり範囲が広いのです。
例えば、
- 部品を一つひとつ自由に配置して機械を作る。
- ギヤやリンクを組み合わせる。
- ロボットを組み立てる。
- 工場を丸ごと作る。
- 生産ラインを設計する。
- 材料から製品を作る。
どれも面白そうです。
ただし、
面白そうなものを全部入れたら、完成しない。
ゲーム開発初心者としては、ここをかなり意識する必要があります。
実際の機械設計でも、
「できることを全部入れる」より、
「目的に必要な機能へ絞る」ことは重要です。
ゲーム制作でも同じなのかもしれません。
AIから出てきた重要な質問

いろいろアイデアを考えている中で、AIからこんな指摘がありました。

このまま作ると、どうしても「装置を自由に組み立てる」方向に進みやすく、
開発規模が大きくなります。
そして、ゲームの方向性として2つの案が提示されました。
A:自由設計型
プレイヤーが自由に部品を配置して、装置そのものを作るタイプ。
例えば、
- フレームを置く
- ギヤを置く
- モーターを置く
- リンクをつなぐ
- 自由に機構を組む
といったゲームです。
自由度が高く、うまく作れればかなり面白そうです。
その一方で、プレイヤーが自由に配置できるということは、
ゲーム側も自由な組み合わせに対応しなければならないということでもあります。
開発する側から見ると、一気に難易度が上がります。
B:選択・最適化型
もう一つが、
あらかじめ用意された設備をプレイヤーが選び、配置や設定を工夫するタイプです。
例えば、
などの設備はゲーム側で用意する。
プレイヤーは、「どの設備を、どこに、どう使うか」を考えます。
こちらは自由設計型に比べると自由度は下がります。
ただしその分、パズルとしてのルールを作りやすい。
そして何より、ゲーム制作初心者でも完成まで持っていける可能性が高くなります。
AIからも、

Bの方が開発規模を抑えつつ、Steamで完成まで持っていきやすい
という提案がありました。
ここは、今振り返ってもかなり重要な分岐だったと思います。
選んだのは「B:選択・最適化型」
私がイメージしていたのも、Bの選択・最適化型でした。
完全に自由な機械を作るというより、用意された設備を使って、
いかに効率よく目的を達成するかを考えるゲームです。
そして、このとき最初に思い浮かべたのが、
スタートからワークをゴールまで運ぶという非常にシンプルなルールでした。
スタート地点からワークが流れてくる。
↓
プレイヤーが設備を配置する。
↓
途中で必要な加工を行う。
↓
ゴールまで運ぶ。
これなら、ゲームの目的が一目で分かります。
ただ運ぶだけではゲームにならない

ただし、スタートからゴールまでコンベアをつなぐだけなら、
一度ルートを作れば終わってしまいます。
それではゲームとして面白くありません。
そこで、もう一つ入れたかったのが、パズル要素です。
例えば、
- 設備を置ける数が限られている
- コスト上限がある
- 加工機を必ず通す必要がある
- ワークが一定間隔で流れてくる
- 加工機には処理能力の上限がある
- 狭いスペースの中で配置する
- 一定時間、安定稼働させる必要がある
といった条件です。
つまり、
「運べたら正解」ではなく、条件を満たしながら最適なラインを作る。
ここにゲーム性を持たせたいと思いました。
機械設計者として面白いと思ったのは「正解が一つではない」こと
この方向性を考えていて、一番面白いと思ったのが、
一つの問題に対して、答えを一つに限定しなくてもいいという点です。
例えば同じステージでも、
いろいろな考え方ができます。
これは、実際の機械設計にも少し似ています。
同じ要求仕様でも、設計者によって構想は変わります。
必要な性能を満たしながら、
コスト、スペース、メンテナンス性、安全性などを考えて、最終的な設備構成を決めます。
ゲームでも、「正しい答えを当てる」のではなく、「自分なりの最適解を作る」
という面白さを入れられそうです。
「試運転を見る楽しさ」も入れたい
AIとの相談の中で、もう一つ面白いと思ったのが、試運転を見る楽しさです。
設備を配置して終わりではなく、実際にスタートボタンを押して、ワークがラインを流れていく。
そして、
「あ、ここがダメだ」と気付いてもう一度設計を直す。
この、設計 → 試運転 → 問題発見 → 改善
という流れは、今回のゲームの大きな特徴にできそうです。
機械設計の仕事でも、設備は図面上で完成ではありません。
実際に動かしてみて初めて分かる問題があります。
ゲームでも、作ったラインが実際に動くのを見る時間そのものを楽しめるようにしたい。
この方向性は、かなり自分好みでした。
この時点でゲームの骨格が見えてきた
ここまで考えたところで、ゲームの最初の骨格はかなりシンプルになりました。
ゲームの基本イメージ
スタート
↓
ワーク搬送
↓
設備で加工
↓
ゴール
プレイヤーは、
用意された設備を選んで配置する。
そして、要求された条件を満たす生産ラインを作る。
ゲームを実行すると、ワークが実際に流れ始める。
問題があれば修正する。
これなら、
「工場ラインを作る楽しさ」と
「パズルを解く楽しさ」
を両立できそうです。
最初から大規模なゲームを作らない
今回、自由設計型ではなく選択・最適化型を選んだ理由は、
ゲーム性だけではありません。
完成させるためです。
初めてのゲーム開発で、
最初から何でもできる工場シミュレーターを目指したら、
おそらく途中で開発規模が膨れ上がります。
それより、
- まずは小さく作る。
- ルールを限定する。
- 実際に遊べるところまで持っていく。
- そこから面白い要素を追加する。
これは機械設計でいう、
まず成立する構想を作ってから詳細を詰めるという考え方にも近い気がします。
このときは、まだゲーム画面すらない
今振り返ると、
この段階で決まっていたことは驚くほど少ないです。
決まっていたのは、
くらい。
まだ何も決まっていません。
でも、
「何を作るゲームなのか」
は、この時点で初めて見えてきました。
ゲーム開発のアイデア出しをAIと進めることは、
自分の創造力がブーストしているようで、非常にワクワクできる体験だと感じました。
次は、このアイデアを実際にゲーム画面にしてみる
企画だけ考えていても、ゲームは完成しません。
そこで次に必要なのは、
実際にゲームを作るための開発環境を決めること。
Unityとは何なのか。
AIでどこまでできるのか?
プロジェクトはどう作るのか。
AIにコードを書いてもらえば、本当に初心者でも動かせるのか。
いよいよ、「考えるだけ」から「実際に作る」段階へ進みます。
次回は、Unity未経験の機械設計者が、AIと一緒にゲーム開発環境を作るところから始めます。




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